ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

155話

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 離れにいくついでについでに池を見ようと向かってみた。
 さらに進化してた。
 アランとジェイクはすでに知ってたみたいだけど、私とニーナはビックリだよ。

 大きさと小島と浮遊島?

 百歩くらい譲ってサイズアップと小島はまぁアリだなって思うだけど。
 浮いてる島ってなんだろうか?

 しかも浮いてる島から水が流れ落ちててファンタジー感満載だよ。

 ポカーンとしちゃうよね。

『どうじゃ!我の庭は最高であろ!』

 庭?池じゃなくて庭なのね。
 って言うかもう湖だよね。
 いくら土地が余ってるからって自由にしすぎじゃん!

「すごいけどやりすぎじゃない~?」

『せっかく水脈があるのに使ってなかったなど勿体無かろ』

 うーん?地図見た範囲だとたしかに川も池もあんまり無さげだったけど水不足とかは聞いてないから困ってはなかったと思うんだけど。

『まぁ地盤が硬かったから人間には難しいかったろの』

 あー、うん?ここの人たち多分拳で大地かち割るくらいしそうだけど。

 今までやらなかったなら問題なかったんじゃないかな?

 水が表面に出てきて、気温や湿度、天候に影響ないのかしら?

『ふむ。今よりは空気も地面も潤うからの。多少は変わるであろうが人間が暮らしやすくなると思うがの』
 
 そうなのかな。

『畑周りに水路も作っっておるし、ますます豊穣になるだろうし我は良い事をしたぞ』

 今日は1メートルくらいの白いイグアナっぽい風体でいるアズライトはなぜか胸を張ってる。

 まぁ水路作ってくれたなら偉いね。

『深い位置にある地下水だけで育っていた作物は旱魃に強いから今後も上手く残した方が良いぞ』

 たしかに。めちゃくちゃ強いね。

『魔素が濃いからこそだがの』

 ここらは魔素が弱かったらただの不毛の地だったのかな。

『主、これは見たことがあるかの?』

 アズライトが透明なプルプルしたのを咥えて運んできた。

「これなあに?」

 私の手に落としてもらったら、ひんやりしててプルプルで柔らかくて感触がゼリーっぽい感じ?

「ああ、プルルの実ですね」

 そのまんま!
 アランが教えてくれた。ファンタジー名物?のスライムじゃなかったのか。

「これ外側が多少丈夫で中身が少しとろみのある水なんで野営なんかで見かけると採るんです。でも1日で弾けちゃうんで忘れてると荷物がべちゃべちゃになって綺麗に落ちないんですよ」

 うーん?とろみが気になる。
 鑑定してみようか。

〈プルルの実。プルル草に成る。外殻は失敗したゼリーのような固さ。そのままかじると無味。乾燥してパウダーにするとゼラチンみたいに使える。内容物は外殻が溶け込んだ水〉

 相変わらず変な鑑定さん。

 ん?ゼリー?ゼラチン?!

 フロマージュとかジュレとか使える!!

「アズライト、これたくさん採れる?」

『ぬ?あの小島にたくさんあるぞ』

 池(湖?)の中にいくつか配置されてる島の一つを尻尾で指す。

「もしかして全部の島に色々植えたの?」
『うむ。お気に入りの植物をいくつか見繕って植えたの』

 マジかー!!

「うはぁ、見に行きたいな」
 島はそれぞれ違う形で見える木々も違うんだよ。

『我が乗せていこうか?』

 行きたい!!思わずアズライトに飛びつきかけたら、アランが抱っこから降ろしてくれない。

「ダメです。旦那さまか大旦那さまの許可を取ってからにしてください」

 デスヨネー。

「ボートを用意せねばですね」

 ジェイクは許可をもらって島に行く前提に提案してくれた。アズライトにみんな乗せてもらおうと思ったらかなり大きくなってもらわないとだしね。

「プルルは何かに使えるのですか?」

 アランが質問してきたので簡単に説明をする。

「料理にとろみをつけたり、ぷるんと涼しげなお菓子を作ったりできるの」

 葛じゃないけど羊羹とかもしてみたい。
 
「涼しげなお菓子?」
「作ってみないとわからないねぇ」
 みたことないのを説明してもピンとこないだろう。

「遅くなっちゃった。教授たちが待ってるから離れに入ろう」

 忘れちゃってたけど。

 魔力調整や攻撃魔法もそれなりにできるようになってきたから、魔導書の翻訳と教授たちと古代魔法と現代魔法の解釈の違いを考えるのだ。
 ぶっちゃけ、そんなの使えれば古代でも現代でもどうでも良いんだけど。
 
 研究者にとっては大問題らしい。

 お母さまやお祖母様が生きてたら押し付けちゃうのにね。

 私のお勉強というより研究のお手伝いな体になってきちゃったよ。
 教授達、食事のために寝には帰るけどほとんど離れにいるんだよね。
 
 

 お昼のお弁当をみんなで食べてから私はクラウスさまとお仕事に。

 おちびさんたち用の知育玩具はデザインを見せて職人さん丸投げが容易になってきた。

 大人用は一般的に必要な知識がどのレベルかを知ることが優先。クラウスさまが騎士仲間に色々聞いてきてくれる。
 手探りながら、子供たちの延長線上のお勉強をしてもらってる。
 
 大人は仕事があるから、勉強する習慣が身についてないからと言う面もあって1日1時間、お昼休憩のあとって感じに落ち着いた。

「なんかね。僕らは学園って仕方なく行ってた部分あるでしょ~?彼らはそう思う機会が無かったんだと思うと自分が情けないよ~」

 楽しそうにお勉強してるの見ちゃうと切ないよね。
 
 私は現地にはなかなか行けない。少しでも見に行けたら良いな。

「そういえば子供たちから料理を学びたいって声も出てるよ」

 家庭科?もいるんだ。音楽とか図工も必要かな?

「手伝いで畑仕事をしてお昼にその収穫物を使った料理が出るから料理がどうできるのか気になるらしい」

「コックさんの仕込みを見るんじゃなくて作ってたいのですか?」
「そうみたい。騎士以外の選択肢が出来たのかな?」

 あんまり小さい子だと心配だけど、10歳くらいの子たちなら大丈夫かな。

「コックさんたちが良いなら空き時間に簡単なものから教えてもらうのはどうですか?」
「そうだね~」

 料理の先生役の人が確保 できたら様子を見ながら進めることになった。



 夕刻前にクラウスさまと本邸に戻って、ルルゥにプルルの実を使ってみたいと話す。

「あらぁ、久しぶりに見たわ~」

 破裂しちゃうからあまり出回らないそう。
 でも乾燥した皮を使いたいって言ったらそれなら頼めば採って来てもらえるだろうって。
「アズライトの池でそれなりに採れるみたい」
「!?そうなの?乾燥してるところで見た記憶があるけど水場でもできるのねぇ」

 おお、そうなんだ。たっぷり水を含んでるのに乾燥してる場所に生えてるなんて優しい草だな。

「乾燥させてどう使うの?」

 とりあえずお湯で溶かして砂糖と果物でゼリーを作ってもらった。

 プルルン!

 お皿の上で揺れるゼリー可愛いなぁ。

 すでにポムとティム、アズライト、お義母さまがゼリーの前でスプーンを持って待ち構えてる。

「夕飯前なので少しにしてください」

 いや無意味って知っているけど一応ね。

 お義母さまもルルゥもゼリーの食感に驚いたみたいでお口の中でプルプルしてるのを確認してるよう。

 ポムたちはいつものように頬袋に詰めたいみたいなんだけど入れる側から口の隅にムリムリっとゼリーがはみ出てくる。諦めて飲み込んじゃいなさい。

『あの無味の実は味付けして使うんじゃのう』

 出汁やカラシを混ぜてジュレにしてたのも美味しくて好きだったな。

 ルルゥに料理に使う場合とか簡単に説明。

「アズライトの池に行けばいつでも手に入るのね?」

 ここの住人、全員分って結構な量なんだけどいつでもはどうかな?

『ふむう。別の島にも植えようかの』

 アズライトが前向きだった。

「素敵なのはたくさん植えてねぇ☆」

 ルルゥはおねだりが上手だな。

 そんなわけでゼラチンをゲットだぜ。

 骨の髄から取る方法で悩んでたけど、アズライトのおかげでラッキーだった。



















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