ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

154話

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 いつもよりちょっと静かな夕食が終わりかけの頃、お義母さまが戻ってきた。

「リーシャちゃん!これは素敵ね!妖精の粉をつけたみたいだわぁ」

 妖精の粉とはなんぞ?と思ったんだけど後から聞いたら、心の綺麗な主人公が妖精の祝福のでキラキラした粉を振りかけてもらえるっていうシーンが寓話にあるそう。

「私が物語の主人公になった気分だわぁ~♡」

 寓話の主人公はよくわからないけど、ばっちりファヴュラスでマーベラスなお姉様みたいです!

 夜会用の少しセクシーなドレスに結い上げた髪、繊細だけどゴージャスなお飾りで華やかで蠱惑的なお姉様が私の目の前に!

「おお!我が妻がますます魅惑的で美しいな!」

 お義父さまがスマートにエスコートして頬にキスを落としつつ、お席に案内した。

「うふふ、とってもサラサラで付けてると幸せな気分になるわ~シミがスッと消えたのよぉ~」

 ん?ただのお粉だぞ?お義母さまにシミもシワもないし!

 思わず自分の分をアイテムボックスから出して〈鑑定〉してみた。作った時は毒性がないかしか気にしてなかったよ。

〈パールパウダー。美肌、美白、潤い効果有り〉

 ぬお?何この女子希望がばっちり叶うパウダー。
 ポーションみたいに魔力使ったから何か付加されちゃったのかしら。
 魔力使う時は身内の分しか作らないでおこう・・・。

「リーシャちゃん、ありがとうねぇ!幸せよぅ~。自分のお肌がツヤツヤでプルプルでしっとりだなんていつぶりかしらぁ」

 ええぇ、世の中の美はいつだってお義母さまにあるってくらいのお美しいのにそんなこと思っちゃうんだ!

「リーシャちゃん、このパウダーは今後も手に入るかの?」
 お義母さまのためにお義父さまが仕入れの確認だ。

「真珠を細かく粉砕しただけですから可能ですよ~簡単なので」
「そうか!よし!最高級の真珠を仕入れようぞ!!」
「まぁ♡」

 お二人がイチャイチャしてるのはあまり見たことなかったけどどうやら今もアツアツなのですな。ラブで良いな。

「もう~息子の前でイチャつかないでよー」
 クラウスさまが呆れたように言うと、
「なぁに、お前も嫁を貰えば気持ちがわかるだろうて」
「そうよ~愛は温かいのよぉ」
 お二人とも見つめあう。厳つめ渋イケオジと蠱惑的な美女。絵になるなぁ。

 ジュリアスさまとセリウスさまは黙々とお菓子を摘んでる。矛先が来て欲しくないようで。

「結婚したからって愛があるかわかんないでしょ~」
 クラウスさまがうんざり気味に言う。
「もう~だから無理強いしてないんだから自分が愛せる子を選べば良いのよう~」
 
 お義母さまがコルセットでがっちりお腹固めてるとは思えない量を消費しつつ言う。

「めんどくさいからいらなぁい。セリウス兄さんが結婚したら考える~」
「ちょっ!待て!巻き込むなよ」
「兄上がやっと結婚したんだし、兄さんもかわいいお嫁さん貰えば良いんんだよぉ~」
「俺はまだまだ自由な身が良いんだよ」

 惜しい!「ちょ、待てよ」が聞きたかった。
 なんかここのイケメンたち女性に消極的だな。
 んー、レインさんとかの影響?まだ見ぬアンゼリカさんの影響かしら?

「まぁ焦らなくても良いし好きにしたら良いけど最初から拒絶してたらつまらないわよ~」

 貴族って結婚や後継にうるさそうなのにお義母さまさま達は本当に自由を尊重してくれるからすごいよねぇ。

「そういえば最近グレーデンの繁栄が噂になってたくさん釣り書きが来るようになっちゃったけど、今までの態度とか酷かったうちに限ってしつこいのよぉ!受けるわけないじゃないのねぇ」

 まぁセリウスさまもクラウスさまもお義父さまやジュリアスさまよりは細め(マッチョ界比)でイケメンでやさしい優良物件だからねぇ。

「お見合いに来て逃げ帰った令嬢の家からも来てるのよ!きっと娘の意思無視よねぇ」
「ああ、それは婿入りの方だったろう?」

 辺境には住みたくないけどグレーデン家と繋がりを持ちたいってヤツ?

「はぁ~婿入りはしつこいんだよね。なんで爵位を欲しがってるとか思うんだろ?騎士爵は持ってるし、男爵位くらいなら今までの功績でもらえるんだけど要らないから断ってるのに」

 セリウスさまもクラウスさまも魔物討伐でお金持ちで実家住まいと言っても家に寄生してるわけじゃないから、婿入りで得するとかはないし、辺境の気ままな暮らしが好きだから出ていく気は全くないらしい。

「あんまり断り続けると女嫌いとか男色とか言われるぞ・・・」
 ジュリアスさまが少し遠い目。
「あはは、今は幼女趣味とか稚児趣味とかもあるよねぇ」
 おおぅ!やっぱりロリの風評被害が!

「くだらないわよねぇ!自分たちが選ばれないからって理由をこじつけるのよねぇ!!」

 お義母さまは夕食をたくさん食べてからのオヤツタイムに突入してる。
 ケーキが物凄い勢いで吸い込まれていく。・・・あのコルセットって自動調整か時空魔法で何かしてあるのかしら?

「リーシャちゃんが可愛すぎるからの!妬心だの!」

 うーん?多分違うと思う。

「あー、領地運営や執務、魔力が豊富で即戦力じゃないと要らないって返事したらどう?」

 クラウスさまが言うと、
「甘いな!自分ならできる、もしくはそんな事出来なくても自分の魅力なら溺愛されるからやる必要はない!とか言っておしかけてくるぞ」
 セリウスさまがビシッと答える。

 何それ。怖い。
 過去に何かあったんだろうか?

「まぁ協調性のない人間が入ってきても碌なことはないからの。気の合う相手が見つかるまで好きにするが良いぞ」

 お義父さま素敵。結局は結婚を無理強いする気はないみたい。

「もうー父上たちがイチャイチャしなきゃ良い話だったのにー」

「仲が悪いより良かろう」
「ねぇ~?」

 話がループしてきたところでジュリアスさまが私を抱き上げて離脱。

「リーシャ、とっとと寝よう」

 精神的に疲れたみたい?
 お部屋に戻ってソファに一緒に座る。

「人の事をとやかく言う連中は自分の思い通りにならない苛立ちをぶつけているだけで、身近や仲間内でリーシャについて悪く思ってる者はいないからな」

 ん?

「リーシャは幼女じゃないからな」

 ああ、それか~。

「気にしてません。ジュリアスさまが悪く言われるのは気に入りませんが私が小さいことは事実なんで」

 成長限界は個体差だし、育たなかったのは栄養失調のせいだし。現状不具合はないし、会ったことのない人に何か言われててもどうでもいい。
 ジュリアスさまの活動や名誉に支障がでなければ良いんだ。

「そうか。俺は小さくても小さくなかったとしてもリーシャが好きだぞ」

 あら!

「でも欲情してもらえないですが?」

 思わず言っちゃったよね。

「!?ぃぃっぃいや・・・そんなことはないぞ!?」

 ええー?最後までしないのに?
 ちっぱいのせいかと思ってるんだけど。

「・・・そ、それは追々・・・」
 苦瓜食べました?くらいに眉を顰めてるけど、耳が赤いので照れてるんだろうか?
 実はすごい奥手なのかなぁ?

 久しぶりにお風呂二人で入って、まぁちょっとだけ糖度がマシマシで。
 
 多分優しさと奥手と心配がごちゃ混ぜでまだまだ先が長そうな気がします。

 残念ながら!




 
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