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二章

151話

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 ジュリアスさまが夕食の後もお義父さまたちと話をするってことだったので私はゆっくりお風呂でセレブエステをしてもらってから寝た。
 起きたらいつも通りジュリアスさまの脇にすっぽりがっちりで。

「おはよう。今日のバーベキューはリーシャのたこ焼きを作りたいってルルゥが張り切ってたぞ」

 大人数でたこ焼きはちょっとキツイね。でも海の食べ物の魅力を知れば、アッガスの統制に協力してもらえるよね。

 私は今日のお勉強のお休みを教授に連絡入れてもらって、仕込みでワラワラとコックさんがいる庭の隅で大鍋を用意してもらった。

「ニックス~これ鍋が焦げ付かないように混ぜつつ水分が少し残るとこまで煮込みたいの」

 大豆もたくさん煮込んでもらうんだ。

 海の利用価値いっぱいプレゼンしなくちゃ。
 塩もね。基本的に使われてるのは岩塩だから海が手に入るなら海の塩のが手に入れやすくなる。

 ルルゥとニックスに簡単に説明して。
 
 配合とかわからんけど、豆腐と湯葉ができるはず。
 おからも蒸しパンたドーナツやクッキー、あと白和えとかサラダも。
 ひゃっふー!ヘルシーなのが出来るね!
 ここの人たち肥満な人いないけどな!!

「魔法で一気に進めても良いっすか?」
 お鍋の中を見つめて時間くいそうだなぁって思ってたら若いコックさんが言ったので、オッケーしたら器用に熱を加えて撹拌させてる。
 すごい。錬金術師になれそうじゃん?

 濾して塩の方をさっきの子にさらに乾燥してもらう。
「ルルゥ、このお塩でお魚焼いてみて」
「了解~。海のお塩なんて久しぶりに見たわぁ」
 あるにはあるけど。やっぱ入手しにくかったのかなぁ。

 お豆もいい塩梅になったのですり潰して絞ってもらう。
 熱くないの!?ってびっくりしたら魔法で防御?してるんだって。なんでもありだね。
 大豆はかろうじて薄茶色だけど少しだけ薄い緑色の豆も混じってたので少し色がついちゃった。

 コックさんたちは豆乳を初めて見たらしくて匂いを嗅いで少し首を傾げてる。
 好き嫌い分かれるよね。

「この汁の方を煮込んで・・・」
 
 サッと湯葉を取り上げる。
 生湯葉~。フリュアとパバプでつるんと一口。懐かしい。お出汁でも食べたいな。

 ルルゥたちも真似して食べると美味しかったみたいでおかわりの連続。
 無くなっちゃうから!
 こっそりアズライトが一人用鍋セットをゲットしていったよ。

「これはとりあえず置いといて!ニガリ混ぜます!」

 少しずつ混ぜて固さを確認しながら混ぜ混ぜ。
 型抜きとかは用意してないから〈おぼろ豆腐〉っぽいのにしたよ。少しゆるくてもイケるから。

 フリュアと魚の粉末で簡単にスープ作ってパバプと薬味になるハーブを乗っけて味見。

 豆が若干野生味のある香りが残るけどちゃんと豆腐になった。

 おからの部分はニックスたちにぶん投げ。小麦の代わりに使ったらなんとなくいけるはず。昔オヤツ代わりにおから蒸しパンよく作ってたの超簡単だったもん。

 お魚が焼けたので少し味見。
 焼くだけでも美味しい。

 ちなみに魚たちは貯蔵庫で氷漬けにしてある。使う分だけ冷蔵貯蔵庫で自然解凍、間に合わない分は魔法で一気に解凍するとか。

 カマランの時ほど新鮮ではないけどちゃんと保ってるんだよ。うちの冷蔵、冷凍貯蔵庫すごくない?って私が作ったから自画自賛!!

「岩塩よりまろやかねぇ」

 ルルゥたちはお魚食べてから塩をひとつまみして舐めて味を確認。

 旨みとかミネラルとかマグネシウムとか、説明は出来ないけど栄養豊富なんだよ。

 私がニガリとお塩に集中してる間もコックさんたちが夕食の仕込みで動き回ってるし、ちょこちょこルルゥたちも指示出してる。

 庭に焼き台や木で組むお肉丸焼き用とかテーブルセットも侍従さんたちと協力してどんどん準備が進んでる。

「リーシャちゃん、海水ってあとどれくらいあるの?」
「・・・いっぱいあるよ」
 少し目を逸らしちゃう。あのゴソって海面が動いたのは自分でもびっくりしたもん。
「ふふふ!あるに越したことないじゃない!マークにやってもらうから用意した鍋に海水入れてちょうだい!」

 さっきの若いコックさんはマークさんか。
 早速ルルゥの指示で大鍋が10個用意された。マークさん少し引き攣ったよね。

 それから私はお魚料理のレシピを頭から捻り出したり、ニックスが作ったおからドーナツを味見したり。

 途中でお義母さまがお土産の相談に来たりで。

 夕方の早い時間に少しずつお客様が到着されると報告が来たのでお義母さまとお出迎えに。

「今日は親族と派閥の人間だけだから気負わなくていいわよ。ほとんど結婚の披露の時に顔合わせてるからねぇ」

 お式の時はかなりたくさんのゲストさまとご挨拶したからうろ覚えなんだよね。とにかく必死だったから。

「大丈夫よー。グレーデンはリーシャちゃんのおかげで暮らし向きが良くなったからリーシャちゃんに悪い印象なんて持ってないわ~」

 んー、お仕事は確かに増やしちゃったけど、なんていうのかな、領主夫人っぽくないっていうのかそっちが心配。
 自分に自信がないんだよね。多分。

 馬屋近くの広い場所にワイバーンやケルピーなど騎獣が到着していた。

 圧巻だなぁ。
 あんまり外に出てないからあのカマランの海の島以外でたくさんの魔獣を見たことなかったからこれだけ揃ってるとビビる。

 おっきな狼みたいな子もいる。わんこに乗れるってすごくない!!良いな。

「ようこそ!皆さま。まずはお部屋にてお寛ぎくださいな」

 お義母さまのお声掛けで侍従さんたちが本邸まで案内していく。
 少し待ってまたお客様がワイバーンで降り立つ。
 馬さんも到着。みたいな感じで先程と同じようにご案内って続いて。
 予定された時刻までに来客予定人は揃ったとにことで私たちも本邸に戻った。

 すでにお義父さまとジュリアスさま、セリウスさまとクラウスさまは応接室で皆さんと会議を始めたそう。

 お庭の準備も完了したそうなので、おもてなしに不備がないかお義母さまとハロルド、アンナさんで確認。

 外なので全員分の椅子はないけど休むための場所はたっぷり。

「野営に慣れてる方ばかりなので椅子などなくともいいのですが体裁は整えないといけません」
 ハロルドが教えてくた。
 バーベキューで優雅に座ってたら食いっぱぐれちゃうよね。

 お肉も丸焼きがセットされて焼きはじめてる。
 テーブルにたくさんの食材が用意されて自分で好きなの選んで食べられるようにもしてある。

 ブッフェみたくいろんな種類の食べ物も所狭しと並んでていい匂いが漂ってる。

 ポムとテイムが勝手に食べないようにすでに大皿を用意されて頬袋いっぱいにしてるし、アズライトはお肉とお魚にパバプをこんもり乗せてもらってご機嫌になってる。

 しばらくして、ジュリアスさまたちがお庭に入ってきた。

「今日は海のもの中心に用意させた。アッガスの海の有効利用については先程伝えた通りだ。まずは体感してくれ」
 
 ジュリアスさまがそういうとお客様方は食べ物に目を移し、嬉しそうにテーブルに向かった。

 みなさん顔色は悪くないし動揺もないみたいで、やっぱり魔の森の異変についてはあまり心配してなさそうかな。

「おお、クランゴというのは歯ごたえが面白いな」
「ほほう!生でも食べられるのか」
「海の塩は初めてだが私はこちらの方が好きだ」

 概ね海の幸は好評のよう。

 たこ焼きを焼いてる鉄板お義父さまとお義父さまのお兄様が張り付いてて、焼き上がったたこ焼きを食べて感激したあと自分たちで焼きたいと騒いでる。簡単そうに見えて案外丸くできないんだぞ~。

 イカ焼きとかシンプルなのからウツボの蒲焼きもどきまでそれぞれ好みが割れてて面白い。
 お肉も普通に消費されていってるし、ピザ類もサラダ類も楽しんでもらえてる。

 豆腐は半々って感じだった。ハイカロリーなものが好きな人が多いから物足りないみたい。
 まぁ海水からお塩が作れるってだけで衝撃的だったみたいだし、お魚美味しいって思ってもらえたからいいのだ。

 緊急で呼び出したものの随分と穏やかな会食?になった。











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