ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

150話

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 どうやら近々マーベルハント領に行くのが確定したのでジュリアスさまがお休みを取るために調整がはじまった。
 セバスチャンが少しげっそりした雰囲気。

 バタついた気配が落ち着いた頃にティムが慌てて私とルルゥを引っ張った。

 厨房の横の休憩室に置いてた卵に変化があったみたい。

「あら?そろそろかしらぁ」
 ルルゥは卵を指先で撫でながら様子を見てる。お兄さん、その指先から魔力喰われてますよー。

 卵ってこんな孵化まで時間かかるものなのかな?
 オオルリインコって言ってたけど別のなんじゃ?
 ・・・鑑定弾くんだよね・・・。

「モッキューン」
 卵は少しカタカタ動いてたみたいだけど私たちがちょっと眺めてる間にまた静かになっちゃった。ティムはまだだと知って少ししょんぼり。

「もう少しかかりそうねぇ~」

 ルルゥがティムの頭をコリコリ撫でて慰めた。
 どんな子が産まれるかなぁ。


 
 陛下が帰って3日後のお昼過ぎにセリウスさまとサーキスさまたちが戻ってきて、調査結果をお義父さが聞いてすぐ「領内会議だー」って領の親族や代官家に召集をかけるように指示を出した。
 何か問題が?ってドキドキしたらセリウスさまが「心配ないよー」って頭を撫でてくれ、お土産の魔獣、果物とかをドーンと置いてから、
「ルルゥ~腹減った!すぐさま食べさせてくれ~」
 お着替えとか気にせずサーキスさまたち同行した騎士さんたちを連れてすぐに食堂に向かった。

「うふふ、お疲れ様ねぇ!」

 お義母さまがニコニコと皆さんを労った。私も真似っこして「お疲れ様でした」って声をかけたら、騎士さんたちはほんわりしてくれたみたい。

 お土産の中に玉虫色の木の実があってよく見てみたらアボカドっぽいものらしいのでルルゥにサラダで出してって伝えた。
 私はあまり好きじゃないけど、どんな料理でも合うはず。

 普通の食べ物もいっぱいあるのにたまにバグったみたいな妙な色の食べ物出てくるな~。

「はぁ~やっぱ家で食べる食事が一番いい。リーシャちゃんとルルゥのおかげで美味い飯が食える~」
 セリウスさまがお肉を頬張りながら嬉しそうにルルゥを褒める。

「あらいやねぇ!でも農家もハンターもみんないてこそよ♡」

 ルルゥは決して自分の腕に驕らないんだ。このほぼ塩味しかなかった世界で誰もが美味しいって言うほどなのにね。

「はは、それを活かしてくれるのがすごいんじゃないか」

 1ヶ月近く野営してたみたいだから、みんなすごいスピードででも十分味わって食べてる。
 ルルゥたちはお昼が終わった後なのにフル回転だよ。

 食事が終わった後は騎士さんたちは家や寮に戻った。
 セリウスさまはお風呂に入ってから仮眠をって。

 その夜は、セリウスさまが帰ってきたからお義母さまとクラウスさまがずっと話しかけて道中のことを根掘り葉掘り。

 領内会議は明日のお昼からだって。
 すぐ集まれるんだ~って思ったら、ワイバーンいるんだった。
 
「まぁね、ちょっと多かったんだけどさほど心配はないと思うんだよ~」

 魔素溜まりが通常より出現が早くなってしかも多かったんだって。

 調査結果としては問題ないらしいけど、最深部の魔物が少し活動的になっていたから浅い方に出てきちゃったのがいるってことらしい。
 最深部の魔物はごくたまに活発的になるけど食べ物に困らない限り移動してこないらしい。不思議だね。

「魔素溜まりの監視だけ回数を増やす方向だな」

 会議をするのは一応の警戒を促すためらしい。
 普段見ない魔獣がちょこちょこ出てきてた理由が魔素溜まりと最深部の魔獣って結構心配な気がするんだけど。

『心配せずとも我が居るから大丈夫じゃぞ』

 アズライトが念話で話しかけてきた。

『亀もワームも再び寝るじゃろ』

 暴れてたの亀と芋虫なんだー。亀はいいけ
どワームは出てきて欲しくないな。

『ここの連中ならサイクロプスも雑魚じゃろうからなんの心配もないの』

 サイクロプスがどんなか知らないけど頼もしいお言葉だよ。

『スタンピード気配は微塵もないぞ。そもそもお前ら狩りまくるから供給が追いつかなかろう』
 マジか。って、供給って!

 1ヶ月も調査に行ってたのに身も蓋もない感じで「心配ない」って言われちゃったのを伝える勇気が出ないよ!


「明日の夜は持ち帰ってくれた肉を会議に出席する連中とみんなで食べよう」

 バーベキューをすることになった。新しい料理を食べさせたいらしい。

「ふむ。追加で狩るか?」
 お義父さまがウキウキしたけどお義母さまが「たくさんあるでしょう?」って却下。

「アッガスもほぼ確定したし、色々伝えねばならないからちょうど良い」

 なるほど。
 ただでさえだだっ広い領地(半分未開地)なのに増えちゃったから大変。

「海の状況も確認したいし忙しくなるな」

 海獣が出る場所とか知りたいね。
 あと海苔とか。

 あ、ニガリ作るの忘れてた。真珠パウダーも。
 何気に時間がなかったんだよ。

 リックさまは帰られたから朝のお勉強タイムを制作時間にしたいな~。

 教授たちはもう私が魔道具作る時見ててもらうくらいだしね。

 いろいろ魔道具作りもしたいからそうしよう。

「アッガスに別荘作らなくちゃ!」

「やっぱり島に作りたいな。カマランの島がサイコーだったんだー」
 
 お義母さまがとクラウスさまが楽しそう。

 海の中にいる海獣に餌認定されたらその島も入れ食いになっちゃうんだろうか?
 海の魔獣ってどこから発生してんだろ。

「まだ正式に貰ってないんだからそれはまた今度な」
 ジュリアスさまがクラウスさまをやんわり宥めた。

「それにあちらの領民たちは税金で疲弊していたようだからゆっくり慎重に進めたい」

 あー、ハーボット派閥の奴らマジで碌でもないなぁ。

「そうね~いきなり私たちが海が美味しいって言っても納得できないわね」

 お義母さま・・・。

「農地は改良を手伝って、漁は獲れたものが高く売れることを知ればやる気も出るだろう」

 暮らしが楽になるように持っていければついてきてくれるってことかな。

 いきなり領主が変わるってやっぱり不安だろうし、今までの領主より悪くなったらって思ったら領民たちは恐ろしいよね。
 信頼を得ることから始めないと統治できない。

 簡単に海を貰うって言ってたから深く考えてなかったけど、人が住んでるんだから簡単なわけ無かった。
 どうも現実感がない。
 もっとちゃんと考えないとだね。
 これが貴族教育を受けたか受けてないかの違いかなぁ?

 お義父さまもジュリアスさまもただ「アッガスをもらおう」って簡単に言ったわけじゃないんだ。
 領民の生活と命を預かるんだもんね。

 はぁー、やっぱ私はお飾りの辺境伯夫人。お義母さまのようになれる日は来るのかしら。


 





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