ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

148話

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 応接室にてお話を聞くことになった。
 夕食の前にってことなのでお茶なんだけど、お茶請けがおはぎとパイだよ。
 私はジュリアスさまとソファにがっちり肩を抱かれる感じで座ってる。その様子を陛下は微笑ましそうにみた。

「んー、どこから話をしたら良いのかな?」
 陛下はニコニコしつつも困惑なトーンで話し始めた。

「まずはハーボット家か。ハーボット侯爵家は爵位は男爵として残すが当主は交代になった。禁薬の流通と栽培、息子の殺害依頼が確認された。一緒に悪事を働いていた寄子や協力していた派閥も降爵や取り潰しになったよ」

 まぁ悪いことしてたなら当然。殺害依頼本当にしてたんだね。

「元侯爵は歴代の功績もあるからかなり揉めたが蟄居に決まった。鉱山行きって声もあったが老齢であるしね。ただ行き先は系列の土地では無いから居心地はよくないだろうし平民扱いで自由な金も持てないから辛いだろうね」

 権力持ってた人が誰もいうこと聞かない場所でお金もないって結構地獄かも?

「イダルンダ・オレイユは禁薬に奴隷売買、弟の殺害依頼を直接手配したこと、オレイユ家の乗っ取りとまぁあらゆる悪事が確定したので、男爵家は取り潰し、領地はマーベルハント家にオレイユ家からナタリアに対しての慰謝料として渡すことにした。イダルンダには余罪も含めて死罪相当だと思ったのだがナタリアやセラーナの友人達が激怒していてあっさり死なせるのでは足りないと鉱山での労役に加え、就業後に毎日百叩きだそうだ」

 領地は民に迷惑が最低限で済むならそれで良いんだけど、お母さまのご友人達怖いな!
 苦役に拷問じゃそんなに長生きできそうに無いからすぐ解放されそうかも?
 オレイユ家って乗っ取りだったんだ。元々ハーボットからもらったので弟亡き後で兄がって普通かなって思ってた。まぁ弟が先に爵位もらって兄が後から?とは思ったんだけどね。

「〈アタクシ達は悪魔では無いので毎日下級ポーションを差し入れてあげますわぁ、オホホホ〉っと言われた時は流石に背筋が凍ったよ」
 陛下がどなたかの声真似してくれたのだけど私にはわからない☆
 リックさまとお義父さまがプルプルしててお義母さまが少し蒸せたので多分どなたかに似てたんだと思う。
 下級ポーションも決してお安くはないから結構な執念なのでは?
 労役の疲労と拷問の傷が治りきらない程度で過ぎさせる感じ?

「マーガレットは実家に戻ることを拒否しているので比較的穏やかな地方の修道院に向かわせることにした。実家の方はオレイユ家からの圧力で内容は知らずではあったが奴隷売買の場所を提供していたのもあって、娘が戻ってこないことを知らされると娘に苦労をかけてしまったことも悔いて爵位も領地も返上してマーガレットが向かう地で平民として暮らすそうだ」

 巻き込まれただけなのに。お気の毒だよ。

「あとはキミー・オレイユか。あれはハーボットの禁薬の流出に関わっていた上、取り巻きたちと自分でも使用し、奴隷に虐待していた報告もあってな。まだ若いからと言う声もあったが関わっていた者全員が身分剥奪の上、鉱山で10年の労役だ」
 身分剥奪じゃ無事出て来てもキツいね。
 って奴隷を虐待って何!怖!

「奴隷に関しては薬物で気分が高揚している時に仲間達が初めて混ざるようにといっていた。貴族の者やリーシャに手を出さないだけの知恵があったのだけは良かった」
 まぁ身体的には何もなかったから確かに不幸中の幸い。

「奴隷達は元は誘拐された平民の子や孤児院の子だから奴隷の首輪を外して解放させたんだが、ほとんど行き先のない子達ばかりでな」
 
 ん~これはオレイユのやらかした事だから私の負の遺産?

「通常であれば里親を探すんだが、被害者は亜人や獣人多くてな。我が国にはほとんどいない上に魔素の薄い王都近隣では暮らしにくいだろうから辺境でお願いできないだろうか?」

 亜人と獣人がいるんだ!外国からさらって来てたんだ。あのクソハゲ!!

「うちは構わないがそう言う事ならホーン達にも声をかけた方がいいな」

 お義父さまが顎を撫でながら難しい顔をしてる。
「亜人達は基礎能力が高いからうちだけに来てもらうわけにもいくまい。まして生育環境が良くなかったなら力任せに育てるわけにもいかん」

 なるほど。過剰戦力な上に制御しきれない可能性も含められてるんだ。
 それを奴隷の首輪で抑えていたぶるってやっぱ非道いね。

「陛下、イダルンダに差し入れるポーションは私に用意させてくださいませ」
「ん?ポーションが作れるようになったのか!」
 陛下はよくやったと褒めてくれる。

「リーシャさま、あなたの作るポーションでは効きがよすぎるでしょう?」
 下級でも効きがいいってコスパ最高ってそんなわけないよ。良いものなんてあげるわけないじゃん!

「爆発した疲労回復薬の残骸は激クサヘドロだけど下級ポーション相当の効果があるみたいなので水で薄めて飲み薬になるはずです☆」
 失敗の爆発ヘドロはまとめて処分するために庭の隅に置いておいたらなぜか雑草が急成長!しかもその雑草は薬草だった。
 成分?が残ってたみたい。

「あれ飲用できるんですか・・・」
「飲みたいとは思わないんで知らないですけど、効果はあるみたいなんで。亜人や獣人に酷い事したんだから悶え苦しんだらいいですよ」

 あれ飲ませる薬の人が臭いに巻き込まれるから可哀想かも!

「まぁ、あなたもゴミばっか作るわけないですから通常にの混ざる程度でいいんじゃないですか?」
 え、嫌がらせのためにヘドロ量産するのも辞さないよ?
 リックさまが呆れたように首を振る。なんでさ。

「まぁリーシャ嬢にはそうする権利がある。好きにしなさい」

 陛下は話がわかる人♫

「んでその子らは今どうしておるのじゃ」
「王都の孤児院に護衛をつけて預かってもらっている」
「ふーむ、早めに引き取ったほうがいいな、ハロルド、ホーン達に連絡を入れてくれ」
「承知いたしました」
 隅に控えていたハロルドがスッと消える。有能執事さんは音も立てないよ。

「それとアッガスが欲しいと言っておったな、先日セリウスがゴールドカイザーサーペントを献上しに来たのでびっくりしたぞ」
「おお!またすごいのを狩ったな」
「なんだ、報告なしでこっちにくれたのか?」
「アッガスが欲しいから交渉してこいと言っただけだからの」

 セリウスさま、サーキスさま達と調査に出たきり帰ってないと思ったら何してるの。

 ってサーキスさま長期居ないのにジュリアスさまが平常心なんだよね。慣れたのかな。

「アッガスはハーボットの禁薬にもオレイユの奴隷売買にも積極的に関わっていたから取りつぶしだがあの土地はもともと大して価値がない。対価に見合っておらんがいいのか?」

「ふふん!これから価値がつくのじゃ!まぁ価値がなくともリーシャちゃんが海が好きなのじゃ!海の食べ物もうまいとわかったからの!それだけでうちには価値があるのじゃ」
「そうよぅ!陛下!海は美味しいのですわぁ」

 あれ?お義母さま、海は美味しくないです☆しょっぱいですよ~。

「しかしゴールドカイザーサーペントなんてどこにいたのか?ここ100年は報告になかったはずですが」
 リックさまが額に指トントンさせながら唸ってる。
「調査の途中ですが魔素溜まりが数箇所出来ていて例年より濃いそうだ」
 ジュリアスさまがそういうと陛下とリックさまの顔が真っ青になった。
「聞いてないぞ!スタンピードの前兆か!?ゴールドカイザーサーペントが出てくるクラスなんて対抗できんぞ!」

「報告するまでもないからです。すでに対処は済んで平常になってる」
「うちの森が原因のスタンピードなら王都に行く前に対処するから大丈夫じゃ」
 ジュリアスさまとお義父さまは屁でもないって感じで、陛下たちの動揺と見事な対比。

「確かにお前達は大丈夫だろうが、現在この近隣地はハーボットの余波で結構ガタガタなんだよ・・・」
 陛下がめっちゃ黄昏た。

「じゃぁそろそろセリウス帰ってくるわねぇ」
 お義母さまの明るい声が場を和ませ・・・きれないよ☆

 魔素溜まりってどう処理してるんだろ?

「サンダーバードとかお土産に持って帰って来て欲しいな~」
 クラウスさまも痺れたい派だった!!

「そろそろ食事出していいかしらぁ?」

 結構時間経っちゃったからかルルゥが声をかけに来た。
 普通に貴族家ならそんなことはしないだろうけど、ここは食べるの大好きグレーデンだからね!

「じゃぁ移動しましょう~。ルルゥ、陛下に海が美味しいって教えてあげてね~アッガスもらえるみたいだからー」
「あらぁ了解したわ~☆海は最高よー♫」
 ルルゥがちょっとクネクネって踊って厨房に戻って行った。

 そんなわけでジュリアスさまの抱っこで食堂に移動です。

「リーシャ、お前のうちはここだから何も気にするな」
 こめかみにチュウをしてもらったよ!
 心配症だね。オレイユ家のことは別に私を傷つけたりしないよ。
 私自身は2日しかいなかったもん☆

「ふふ、ジュリアスさまのそばが一番です」
 優しくて過保護で全然手を出してくれないけどここが安心できる居場所から大丈夫。





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