ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
147 / 764
二章

142話

しおりを挟む
 夕食にはいつものお肉山盛りやスープ、ピザ、パン色々。
 ちゃんと毎日味にバリエーションがあるんだ。
 手に入る調味料をあの手この手でアレンジしてる。ルルゥの味覚ってどうなってるんだろ。

 今日のお仕事見学を報告しがてら食べる。
 ジュリアスさまは私に餌付けをしながらお話も「うんうん」って優しい笑顔で相槌を打ってくれる。
 
「おチビにナタ投げられたってのが最高~アイツら自分で狩れるのが楽しくって仕方ないんだよ。まだ森じゃ狩れないだろうからな~」

 木の障害と足場が不安定だとかで狙いが逸れるから子供たちは森での飛び道具は禁止らしい。
 って言うか!なら私、畑とはいえ結構危なかったんじゃないか!?

「逞しくて良い」

 おおらかさんたちめ。

「さぁ~今日は新作のオヤツですよぉ」

 食後にお餅はな~って思うんだけどお義母さまなら別腹だしね。

 青いのと黄緑のとちょっと濃い黄色のきなこがドドーンと詰まれたお皿がやって来た。
 色合いがおはぎとは思えないんですけど。

 ぜんざいも白いスープ皿に入ってて青いトロトロした液体に泳ぐ丸餅~!
 映えそうだな!!
 花とか飾れば可愛いかもな!!

 お義母さまが特攻1号になって実食。

「まぁ~まろやか~お餅にあうわぁ♡」

 お豆の甘さが気に入ったみたい。

「丸めただけって珍しいね~」

 クラウスさまがおはぎをパクッと一口で食べる。ん~って顔がヘニョってなったから美味しんだね!?

 でもね、簡単そうに見えて手間暇はかかるんだぞ~。あんここだわったら大変なんだぃ。

「ジュリアスさま?」
「うまいんだが甘さがずっと残るな・・・」

 ジュリアスさまもおはぎ一口で食べたんだけど甘味が口に残るのが気になったみたい。

「じゃぁこれどうぞ」

 出汁とったあとの昆布を煮詰めて塩昆布にしてもらってたの。
 ニックスがあんこと合わせてお鍋に張り付いて作ってくれたんだって。
 捨てない工夫がコックさん的に嬉しいって言ってもらえるから面倒そうなこともお願いできるよ。

「昆布か?」
「お口直しに合間に食べると良いのです」

 私も一口。お酒は洋酒系だしみりんはないから色々違うけどちゃんと美味しいのだ。
 しょっぱうま~い。
 おにぎりに入れたい。

「ほう、これならたくさん食べれそうだな」

 えー、甘いの好きでもあんこは甘み強かったかな~。

 どうもあんこ系は口の中に甘さが残るから、ジュリアスさま的には少しで満足みたい。
 なるほど。甘さにも好みの範囲があるのね。

 ちなみにお義父さまとお義母さまは際限なく口に入れてる。

「お豆の甘いのって美味しいわ~♡」
「うむ!腹にたまる感じが良いな」

 ポムたちは口周りをあんこでベタベタにさせなからもりもり頬に詰め込んでる。
 馴染みすぎてもう誰も注意しないんだ。
 あとでサラたちが顔を拭いてあげるんだろう。

 アズライトは黄緑豆のおはぎが気に入ったみたいで塩昆布をたっぷりのっけて食べてる。それはなんか違うような?理にかなってるような?

 食後にルルゥに「明日の朝のパンにあんこ入れて焼いてほしい」ってアンパンとあんこ入り食パンっぽいのをお願いしてみた。

「あらぁ!確かにパンにも使える甘さね!」

 黄緑豆はモンブランみたいなケーキにも使えそうだし、パウンドケーキにいろんなお豆入れても美味しそう~。

 一応なんとなくな簡単レシピを伝えておく。

 ルルゥだけじゃなく他のコックさんたちの目もキラキラしちゃってるから今夜は寝ずに作ってそうで怖いな。

「あのね、ジュリアスさまはあんこのねっとり感がイマイチみたいだからおかず系のパンも焼いてね」
「そうなのね~了解よ!色々出すから心配しないでねぇ」

 お部屋に戻って入浴を済ませて。
 夫婦の時間~って言ってもセクシー注意ではなく。

「今日は楽しかったか?」
 髪を乾かしてもらいながらのおしゃべりタイムです。
「はい!子供がたくさんで驚きました」

 子供たちは近隣の工場や農地、騎士さん、使用人さんたちの子供たちが集まってるそう。
 そう言った場所が領内の新しく開拓した施設ごとに増えてるそうで。今までは隣近所で数人で集まってる程度だったのが多く集まるからお付き合いが広がってみんなが楽しそうなんだそう。
 人付き合いが苦手なタイプなら無理せず個人の作業をしてもらうそうで。
 さすがに子供のうちから引きこもるのは何かあった時気付かれないからだめだけどって。

「街方面の子供達は教会で勉強を見てもらってるがここらの子たちは親たちが見ているんだ」

 教会でお勉強なんだ。
 街の子達は商人になったり王都に働きに出たりが多いそう。

 農地や工場に親が勤めてる子たちは元は騎士さんの子だったりが多いから騎士や騎士の補佐を目指す子が多いそう。
 でも最近はコックさんが人気職らしい。

「ジュリアスさま、子供たち用におもちゃとかお勉強の道具を作ってみたいです」

 騎士さんでも補佐でもコックさんでも計算が出来た方が応用力が付くと思うし、読み書きのレベルが上がれば指令とか通りよくなったりで良いと思う。
 基礎学力が上がれば領地発展にもお役立ち!

「勉強道具?」
「遊びながら身につくとか覚えやすい勉強法とかなら子供たちが苦じゃなく学べると思うの」

 説明がうまくできないから現物を作ってから説明したい。

 幼児用に積み木とパカパカ乳母車も作りたいし。

 木の実を数えるのはそろばんをモチーフにおもちゃ作ってみたい。少し大きくなったらそろばんそのものを使うのも良いかも。
 あと九九表。
 んー?インド式ドリルとかのが良いのかな。

 紙が足りないなら黒板でいいのかな?石板だっけ?何か使い勝手のいいやつ探さないと。

 まぁお勉強っていうより、あの集まりの中だと遊んで覚える感じの方がいいと思う。

 草や木の実を覚えるのにカルタを作ってっていうのもしてみたいな。
 食べれるか食べれないか何に使えるかって口伝だと全部伝わらないよ。

「子守りの助けになりそうだな、無理のない範囲でやってみればいい。人手や必要なものがあれば言ってくれればいい」

 うん!ありあまってる貯金を使いたいんだけど使えなさそう。いい還元方法ないかなぁ。

「木工職人さんがいたらいいんですが」
「ああ、引退した連中のなかにもいるだろうから声をかけておこう」

 簡単なものしか頼まないけど良いのかな?
「子供好きの連中は色々手伝いたがるだろうから人手には困らんだろう」

 確かに~。

「子供はいつの間にやら育って狩りをして騎士になってる気がするが騎士以外の職も選べる方がいいだろう。勉強する機会があった方がいいな」

 ジュリアスさまは真剣に検討してくれる。

 貴族の子供くらいしか高等教育受けないから、領地の子達は親と同じお仕事に就く感じなのかしら。
 王国騎士は貴族中心で平民は入れても学園出てないとダメだったはず。
 辺境騎士団は平民でも入れて腕次第。

 うーん。ある程度読み書き出きないと報告書も書けないし出世できないよね。

 研究職や魔導士も狭き門だけど平民にもチャンスがあるんだから才能ある子を見つけるためにも小学校低学年くらいのお勉強は済ませられたら良いよねぇ。

「子供用のおもちゃというのが気になるから仕上がったら見せて欲しい」

 好奇心が強い!

「明日から午後は物作りをする事にします」

 午前スパルタ?リックさまの監視でお勉強だから。

「はは、母上とルルゥがお菓子の新作を強請って邪魔しそうだな~」

 お菓子のレシピはもうそんなにないよー。
 いやおかずもそろそろおしまい~。

「リーシャ、やりたいことはやれば良いが無理だけはしてはいけないよ」

 相変わらず過保護全開だな。

「楽しくやります♫」

 頭をポンポンされて幸せな気持ちで眠りについたよ。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

処理中です...