ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
145 / 764
二章

140話

しおりを挟む
「おくしゃま!!わかおきゅしゃま!!いらっしゃいましぇ~!!」
「っしゃいましぇ!」

 子供達に続いてまるまるふくふくな幼児がワラワラとお義母さまに集まって来た。

「おひぃしゃま?」
「はなよめしゃまにゃー」

 めっちゃ可愛い。ポテポテ歩いてオムツのお尻がモコモコぷりぷりしてるぅ!
 私のことお姫さまとか花嫁さまって言ったのかな。

 普段おっきいおじさまとお兄さんばかり見てるからこのプリティな空間はとっても可愛い~。
 癒されるねぇ♡

 ふと視線を感じて振り返ると8歳くらいの女の子たちが私を見てた。

「あら、お花をくださった子たちね」

 お花の冠やコサージュ、ミニブーケととっても可愛くて素敵な贈り物をくれた子供たち。
 まだアイテムボックスに入れたままだけど、クローゼットに保存機能付きのケースを作って棚に置いて飾るんだ。

「お嫁さま!今日もお姫さまみたい」
「花嫁さま素敵だった!!」
「今日のお洋服も綺麗!!」

 女の子はやっぱりお洋服が好きなんだねぇ。

 今日もお義母さまが用意してくれた中からニーナたちが厳選したパステルピンクなワンピースドレスなの。今思うとニーナは予定を聞いてて少しお出かけ向きのを選んだんだね。

「さぁさ、お前たちはお部屋にお戻り」
 お母さまたちが子供たちを屋内に移動させる。

「まずは畑を少し見せてもらうのよぉ」

 お義母さまが少し大きな子供たちにエスコートされて畑に向かう。
 私は安定のアランの抱っこ。
 子供たちが歩いてるのに・・・。

「お姫さまはやっぱり大事大事なんだねぇ」
「だねぇ!」

 うう!可愛い男の子たちに首を傾げられた。

「アラン~歩きたいよ」
「足場が悪いからダメです」

 ええ~舗装なしで少し石が転がってる程度だし、子供たち歩いてるから大丈夫だよ!!

「ここらが子供も収穫出来るエリアですけぇ」

 案内をしてくれてる少しゴツいおじさんたちがすでに作業をしてる人に声をかけて私たちが見に来たのを伝える。

「魔の森の魔素が濃い場所で見つかるようなものはもっと奥に配置してますんじゃ」

 ほほう、危なくないように配慮されてるんだ。

「今にところ見かけない魔獣が出たなどの報告はないですけ」

「そうなのねぇ、畑仕事が安全に出来て良かったわぁ」

 うん。居住区が魔の森化したら困る。

 ビュンビュン!!!

「!!!!???」
「ギャ!」

「やった~肉だ~!!」

 デジャヴ再び。

「これぇ!お客さまがいらっしゃる時はモノ飛ばしちゃいけん!!!」

 おじさんがカンカンになって逃げる子供を追いかける。
「ごめんなさい~」
「オヤツ大事だ~!」
「いつでも出るやつじゃ!」

 子供たちがクワみたいなのを投げたみたい。
 少し離れたところにウサギくらいのサイズの獣が倒れてる。

「さすがグレーデン。子供も咄嗟に動けるんですね。将来が楽しみですね」
「でしょでしょ~♫」
 リックさまが感心してる。お義母さまはそんなリックさまに嬉しそうに相槌。
 顔の真横にクワ飛んできた私はそんな気分にならないよ!

 お見合いに来た令嬢たちが逃げたのが何故か分かった気がする。

「このくらいなら子供達でも簡単に狩れるんでこの畑は安全なんですじゃ」

 ちょっと冷や汗かいてるおじさん。私は怒っていないよ。
 びっくりしたけど、サーキスさまもチェイスさんも投げて来たからグレーデンでは普通だって知ってるよ!
 私より小さな子たちもすでに狩人になれそうなんだね!!

「やはり生活環境は将来に関わりますかねぇ」

 自然の教科書に勝るモノは無いよね!

 子供たちは各々畑に散らばって収穫を手伝ったり、さっきみたいに獲物を狩ったりしてる。
 楽しそうでなにより。

「王都の子供達がクワ投げてきたら困りますけどね」

 獲物いないところでやったら猟奇殺人の犯人みたいじゃん。
 泥棒捕まえたりなら良いんじゃない。まぁ投げるのは石礫くらいで。

「リーシャちゃん、あっちはお米用よー」

 少し先には黄金色の畑!!畑!!!!!

 水耕栽培じゃない!!!だと!!!??

「・・・」

 陸稲は初めて見たな。
 ここの気候ならこれで正解なのかな。
 ご飯美味しいし、良いのかも。
 地下水が豊富ならいいんだっけ?

 今後味が気になるようなら提案してみようかな。

 って言っても田畑に詳しくないけど。

「金色の畑って壮観ですね」

「豊作な感じで気分がいいでしょう?」

 確かに枯れ地や未開地がいっぱいなグレーデンがこうやって開拓されていくの気持ちいいな。

「王都の近隣でもここまで肥沃ではないですよ」

 逆に都会なんて農地が少ないんじゃないかな?

「魔の森に侵蝕されない大地は王都の食糧庫の役割があるんです。グレーデンは大地に栄養が無いと思われていたし魔の森のせいで拡げにくかったのですよ」

 魔の森ってやっぱり普通に人には扱いにくいんだねぇ。ここの人たち大喜びで狩りに行くんだもの。

 危なくない畑を回ってお昼ご飯前に最初の工場?に戻った。

 中に案内されるとちっちゃい子供たちが一ヶ所にお母さんたちと集まってま豆のサヤを
取ったり、木の実の種を取り出したりしてた。

「あら、お手伝いしてくれるのねぇ」

 お義母さまがその中に入って行って子供を抱き上げる。

「今日は特別に山菜炊き込みごハーンを用意してもらったわよ~」
「ごハーン?」
「なんだりょ~」

 なぜか〈ごハーン〉になってしまってる。
 
 コックさんたちが数人こっちに出張してお昼ご飯を用意してくれてるらしい。

「ここで作った物がどんなに美味しくなるか知っておいた方が楽しいでしょう?」

 野菜をたっぷり使ったスープと大麦パンとかもすでにここでは当たり前に食べれるようになってるみたい。

「おうちで食べるよりここで食べた方がおいしいからお仕事を休むのが辛いのよねぇ」
「違いねぇな!!」

 うわぁ!ちゃんとおやすみは取りましょう!


「息子が兵舎のご飯もうめぇって言うからこっちは新鮮野菜じゃって言うてやるんじゃ」

「もう!兵舎にも使用人棟にも毎日運んでるから一緒よ!!」

 食事が楽しみなのって良いよね。
 みんなが笑顔で幸せそうなのが嬉しい。

「では恵みに感謝を!!」

 みんなで思い思いに手に取って食べる。
 ここでもよく食べるんだろう。テーブルの上に色々山盛り。

「ごハーンうまい!!」
「きにょこうみゃ!!」
「米って色々作れんだなぁ」

「きのこって森にいっぱいあるあれ?」

 あ、毒キノコの存在を周知しないと危ないかも!

「きのこは危ないのもあるので見分けのつく人しか採らない方がいいです」

「そうなんですか!?」

 葉っぱも全部が食べれるものじゃないって知ってるだろうから納得はしてくれるはず。

「今食べてるのは〈鑑定〉で美味しいって出た種類を見本で見たことがある人が採って来てくれたんでしょう、採取に行きたい人はまず一緒に行って教えてもらってくださいね」

「なるほど!それなら普段から森に行く連中に任せた方がいいな」

 すぐに確保に動くのもここの人の特性かな?それともこれが普通なんだろうか?

 地球人の私はそこまでガッツがなかったぞ。
  

 食後は少しまったりタイムがあって、みんなはそれぞれのペースで仕事に戻っていった。

 子供たちは大きい子から小さい子までお留守番。
 10歳以上の子たちは自分の気分で行くか行かないか。
 今日は私たちがいるのでほとんどなぜか残ってるらしい。















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

処理中です...