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二章

130話

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 朝です!
 さすがにベッドで寝たくなってきた。
 ジュリアスさまなんて私を抱っこしたままだから身体休まってないよね!

「おはよう」
って朝の挨拶とお着替えが済んで外に出てみたら、やっぱり獲物がてんこ盛り。

 それはもう慣れたといえば慣れたんだけど、今日は騎士さん達がお着替え中って言うか身体拭いたり髭剃ったりしてた。
 ある意味ラッキースケベ☆
 ナイス筋肉♪

 みんなヒゲ・・・生えるんだね。当たり前か。

 《洗浄》が使えてもなんとなく身体拭きたくなるよね。わかるー。

 今日は騎士服に着替えるみたいで上着のお手入れもしてたみたい。

「ご飯できてるわよーん」

 ルルゥはすでにパリッとしてて調理したり盛り付けたり。

 今朝のご飯はお肉焼いたのと魚のスープにパン。
 お肉からカレーパウダーの匂いがする。

「これ使っちゃったら肉食う手が止まらないっすよ!!」

 騎士さん達が嬉しそうに文句言ってる。器用。

 馬さん達達もたっぷりご飯食べてご機嫌なようで何より。

 魔馬はなんでも食べるそうで基本は飼料をあげてるけど獲物の肝とか内臓をあげることもあるんだって。
 私がいない場所で与えてるそう。優しい。

 食事が済んだらお片付けして出発。

 今日のお昼過ぎには帰宅できる予定。

 楽しかったけどやっぱり帰るのはホッとするな。

「ディゴーに寄ろうかとも思ったが帰ってすぐルルゥが食事を作ることになりそうだし、セバスチャンが仕事が溜まってるだろうと言うからこのまま帰ろうと思う」

 うはぁ、セバスチャン・・・。
 帰る直前になんてドSだよ。

「ディゴーはいつでも行けるから大丈夫ですよ」

 お義父さまやルルゥが付き添いになるんだろうけどね。

「なるべく時間をつくるからな」

 そう思ってくれるだけで十分幸せ。

「またヘインも連れてってくださいね」

 一応期待をしてるって事で追加でおねだりもしておくね。
 食堂のダートさんにもグレーデンのチーズじゃないのやお魚食べてもらって新しい食べ物生み出してもらいたいね。

 ここから街に寄らない道だから、馬車の《浮遊》の魔法陣を使ってさらに軽くしてスピードアップして進むらしい。
 騎士団とか軍事目的以外はほぼ使ってないから事故の心配がないとのこと。
 一応使用する報告は入れてるんだって。

 軽くなると他の騎馬たちと同じくらいの感覚で走れるから馬さん達のストレス解消にも良いとか。

 一般街道で大きい魔馬がハイスピードで走ってたら事件だよね!

 途中で一回、馬さん達にお水と食事を兼ねての休憩を取る。

 降りてみれば大草原。
 帰ってきたなぁって感じがして嬉しい。
  
 未開地かってくらい何もないけど、ホッとする。

 アズライトとポムとティムも嬉しそうに駆け回って、ポムとティムがなぜか赤色の草?茎?を抱えて持ってきた。

「?」
「プッキュ!」
「モキュッ!」

 小さい手でどうぞとばかりに渡されたそれは〈バニラビーンズの味。誰も採らない〉って鑑定で出た。

 なぜ素直に黒じゃないのか?
 そんなことよりお宝ですね!
 
「ポム、ティム!これいっぱいある!?」
「プッキュン!!」
「モッキュキュ!!」

 うんうんと頭を上下にしてくれたのでルルゥ達を呼んで採取してもらう。

「ルルゥ!!これお菓子が百倍美味しくなるお宝だよー!!根っこから引っこ抜いて欲しい~」

 離れの畑に植えたい。

 お菓子が美味しくなるって言葉にみんなが目の色を変える。
 ニーナやサラ、メルまでギラっとしちゃったよ!

 ポムとティムの案内で群生してる場所で狂喜乱舞だよ。

 グレーデンの未開地恐るべし!
 放置された場所をあちこち探せば良いものが他にも出てくるに違いない。

「なるべく土ごと持って帰りたいのでごっそり掘ってね」

 野太い声が「応!!」って返してくる。

「ルルゥ、このサヤ?を切り開いて中をケーキとかの生地に混ぜるんだけど、使ったサヤも別で残して欲しいの」
「サヤも使えるの?」
「うん!この匂いをシュガル(砂糖)につけたり、お酒につけてとかお菓子の匂いが際立って美味しいはずなの」
「へぇ、分量とかわかる?」

 ルルゥは適応力がすごいから頭の中で手順を確認してどう使おうかとか考えてるんだろう。

「そこらに生えてる食べれなそうな草がお宝だったりするのはわかっていてもこれ使い方がわからないから採らないわねぇ」

 そうねぇ、よくこれを食べようと思ったな?と思うのはたくさんあるけど自分がチャレンジするのは別の話だよ。

 って言うか、蜘蛛とかいろんな魔獣食べるのに見た目が不思議な植物は食べないとかなんでよ?

「リーシャ、これはかんたんに育つのか?」

 うーん!?この世界の植物は地球のと違うからなんとも言えないけど草原で勝手に増えてるなら多分丈夫なはず。

 あとバニラビーンズって熟成とかいるやつと思ったらバナナの時と一緒で成長中と熟成済みとか一本の木で色々。
 ファンタジー食材、バンザイ!!

「お義母さまも食欲がまた増加しちゃうかも?」
「母上、今より食べる!?」
 クラウスさまが衝撃を受けた。
 やっぱりケーキをホールで5台以上とかヤバいレベルなんだ!

「料理人また増員した方が良さそうだな」

 ジュリアスさまがちょっと遠い目になった。
 あれバニラビーンズ、闇に葬った方がいい?

「ケーキやクッキーは基礎さえマスターしてれば大量生産も難しくないから大丈夫よぉ」

 ルルゥのようなハイレベルなコックさんが言うのは当てにならないよ!

「人手が増えるのは良いけどねー」

 
 なんだかこの旅行でちょこちょこ立ち寄ってお買い物したのより、このバニラビーンズが一番喜ばれそうなお土産になりそう。


 ポムとティムにお礼とご褒美にクッキーあげたらまた踊り出した。
 嬉しいと踊るんだね。
 騎士さん達がポムたちを見る目がやばいよ。

 アズライトはマイペースにお散歩を済ませて戻って来た。

『ほほう、菓子の素材か。楽しみだの』

 君は辛いのが良いんでしょ。


 たくさんのバニラビーンズの木?をゲットして満足して帰路に。

 順調に進んで速度を緩めてグレーデン家の敷地に入った。

 アモンさん達が先に走って帰還を知らせに行った。

 馬車を玄関の馬車寄せにつけてジュリアスさまに抱っこされたまま降りると。

 ものすごい勢いで布の弾丸が飛んできた。
 この感じ懐かしい・・・ね!?

「っふぐぉ・・・」

 辺境の猛者の口からうめき声が!

 息子と嫁をまとめて抱きついてるお義母さま。
 歓迎は嬉しいけど、ジュリアスさまが声を出すって相当な強さだよね!?
 そばにいたクラウスさまが思いっきり顔を引き攣らせてる。
 
「お帰りなさい!」

「・・・ただいま帰りました」
「母上、その勢いでこられたらリーシャちゃん骨折しちゃうよ~」

 クラウスさまが苦笑いしてるけど、正直シャレにならないよー。

「お帰り」
「兄上、リーシャちゃんお帰りなさい」

 お義父さまとセリウスさまもお出迎えしにきてくれてたみたい。

「兄上の仕事、やっぱりキツイよ」

 セリウスさま、ちょっと目の下にクマが出来てる。ご愁傷様です。

「ああ。代行ありがとうな」
 ジュリアスさまがセリウスさまの頭を良い子良い子みたいな感じで撫でる。
「もう!そんな子供じゃないよ」

 兄弟やりとり可愛いね。

 やっぱりルルゥは早速厨房に向かった。新しい食材を思う存分使えるのが嬉しいから大丈夫ならしい。

 ハロルドやメリー達にも挨拶されて、とりあえず私たちはお部屋に。

「はぁ、母上のアレは都度威力が増すな」

 弱まるのじゃなく増すとな!?
 次の機会に私は昇天しちゃうんじゃ。

「さすがにリーシャを吹き飛ばすことはないだろう」

 本当かな・・・。

 夕食までに旅の疲れを流そうと一緒にお風呂に入ることに。
 ニーナ達がお手伝いに来たけどさすがに休んでほしいと断った。
 簡単な着替えなら出来るしね。
 アンナ達にお願いしても良いし。

「旅行も楽しいがやはり家が落ち着くな」

 ジュリアスさまが湯船でしみじみ。
 
 野営ではお風呂に入れなかったからやっぱりまったり出来るのは良いね。

 ゆっくりお湯に浸かってしっかり体をほぐしてから2人で夕食に向かった。

 食堂に入って、席についてたリック・ガーランドさまを見つけて、明日からお勉強なんだって現実に急に引き戻されちゃった。




















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