上 下
133 / 710
二章

128話

しおりを挟む

 なんだっけ。侍の映画で竹林の戦闘シーンかっこよかったな~。
 そんな聖地巡礼してるみたいな気分になる風景。
 
 結構広くて適度に間引きされたような良い感じの竹林でアズライトとポムとティムがここ掘れワンワンみたいに地面をカシカシしてる。

「何があるんだ?」
 ジュリアスさまがポムたちの手元を覗くとタケノコの頭がちょっぴり。

 OH~!

 これは念願の炊き込みご飯ができちゃう!
 っていうか憧れの採れたてたけのこの包焼きが出来ちゃうんじゃ!?
 ってアルミホイルが無いから皮のまま焼くか。

 採れたてはアク抜きしなくても良いって聞いたけどみんな大量に食べられるから抜いた方がいいよねぇ?
 味見分だけそのまま食べるか。

 後ろから着いてきてたアランたち木片をちょっと削ってスコップ代わりにして掘り始めた。

「これ食べれるんすか?」
「あーこれうっかり踏んで痛い目に合うやつ~」

 なんてこった。よく見つかるっぽいぞ。

「頭がちょっぴり出てるやつを採ってください。育ったやつは不味くなってるのでダメです~」

 食べごろをポム達が教えて回ってくれるので大丈夫そう。

 アズライトはすでに生で食べてる。採れたてなら食べれるらしいけどマジか。

「うーん?上手いかな?」

 アランが真似して口に入れたけど、初めてで生で食べても美味しく感じるとは思わないな~。
 せめて茹でてお醤油かけたい。

「バブーンならそこらに生えてるから常用できそうで良いな」

 今まで食べてなかったのか。勿体無い。
 バブーンって微妙にバンブー☆

「今まで狩りや採取の邪魔になる分は切り捨ててたから今後は食べれると思うと捗りそうだな」

 マジでかー。
 なんでも食べそうなのにねぇ。育ったやつ食べちゃったのかな?

 竹は籠とか罠に使ってるらしい。
 竹炭は使い道ないかな?

 たくさん収穫できたので馬車まで戻った。

 ルルゥがピザと魚、肉を大量に焼いてくれてた。

 早速たけのこを網焼きしてもらう。
 炊き込みご飯はお家に戻ってからね。

 フリュアのソースとネギっぽいハーブ、激辛な唐辛子を粉末にしたものを用意して。

 焼けるのを待つ間に出来てるご飯をいただきます~。

 うまー。自然の中で食べる気に櫛に刺さった焼き魚と謎肉の串焼き。

 ルルゥがミックスしたハーブや香辛料が使ってあるので異国っぽいのがまた美味しい。

 こんな中でもジュリアスさまの膝抱っこだけどね。
 みんな慣れすぎてもう気にしないんだ。

 たけのこが焼けたみたいでポムとティムが謎の踊りをしながら騎士さん達にむけ~って催促してる。

 あっちっちだからもう少し待ってあげてって思ったら騎士団の鎧の籠手?みたいなの出して使ってる。それアリなんだ・・・。

 焼けたたけのこを食べやすいサイズに切ってもらって、まずは塩だけふって味見。
 採れたて新鮮なのはまず素材の味でいきたい派です♪

 ・・・美味しい。
 流石にあっちの世界では自分で採ってすぐ食べるなんて機会はなかったからテレビとかで食べてるの観て「良いなぁ」って思うだけだったけど、実際食べたらやっぱり美味しい。

 たけのこの煮物とか大好きでお惣菜屋さんで焼いたのとか買った事もあるけど採れたての焼きたては別格だな~。

 ジュリアスさまも一口で幸せそうに口元を緩めてる。

「これは良いな」

 お代わりをしようとしたらポムとティムがお皿を抱えて逃げ回ってるし、アズライトはすでに食べるラー油をかけて痺れながら自分の分を確保してる。

 ルルゥがすでに追加で焼いてるけど早いな!!

 たけのこは受け入れられたっぽい。

「朝一番だと採りやすいはず・・・」

 明日の出発前にもう一回収穫できたら良いなぁ?

 私につぶやきを聞いたアラン達は早起きを決意したみたい。

 奪い合いな夕飯を済ませて、私はジュリアスさまと馬車に乗り込んだ。

「・・・ジュリアスさま」
「うん?」
「海でお酒飲ませてもらえなかった」

 たけのこってお酒のおつまみにも良いよねってチラッと思って思い出してしまった。
 少しだけ飲ませてくれるって言ってたことを。

「あ!」

 ジュリアスさまも食前酒くらいしか飲んでなかったもんね。悪くないよ。

 ただしょんぼりだ。

「すまん」

 しまった!ってお顔で宥めようと私を抱っこして背中をポンポンくれる。
 駄々っ子扱いなのだ。

「・・・ジュリアスさま、サーキスさまに内緒にしてくれる?」
「ん?」

 私はグレーデンの厨房でルルゥと作っておいた、干果物とルルゥが料理酒として置いてたお酒でつけたブランデーケーキもどきをアイテムボックスから取り出した。

「おぉー・・・」

 わりとアルコールが匂うな。
 
 こっそり食べる機会を探していたんだけど、基本ニーナがいるし、なんだかんだで食べ逃していたの。
 時間経過がないアイテムボックスさまさまだい。

 私は一切れだけ、あとはジュリアスさまにって切り分けた。

「悪い子だな」
 
 そう言いつつ、ジュリアスさまも嬉しそう。

 トントン!

「失礼しますよ」

 え?

 返事をする前に扉が開かれた。

 馬車にオートロックは無かった!!

「ジュリアスさま、甘やかしは愛情ではありません」

 サーキスさまが乗り込んできて良い笑顔でお皿を奪った。
 後ろからクラウスさまとルルゥも入ってきて。

「リーシャちゃん、ダメよぅ」
って笑顔で紅茶を出してくれた。

 ????

「これは濃すぎるから一欠片だけね」

 さらに切り分けられて、お皿が追加された。
 3人ともちゃっかり食べる気らしい。

 そういえば、何か作ってたらいつに間にか居るのは、お義父さまとお義母さまって印象だったけどルルゥもそうだったよ。

 鼻が良いっていうレベルじゃない気がする。

「せめて香り付け程度なら見逃したんですが」

 私に出されたのは一切れを1/3にしたもので、残りは4人と3匹で7等分になった。
 いつのまにかポム達までいたの・・・。

 何ちゃっかり食べちゃうんだよぉ!!
 しかも人数増えすぎて一切れすら小さいよ!!

「なんかすまんな」

 ジュリアスさまは悪くないよ!!










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。 大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。 見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。 黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…? 対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。

愛なんてどこにもないと知っている

紫楼
恋愛
 私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。  相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。  白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。  結局は追い出されて、家に帰された。  両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。  一年もしないうちに再婚を命じられた。  彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。  私は何も期待できないことを知っている。  彼は私を愛さない。 主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。  作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。  誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。 他サイトにも載せています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

もふきゅな
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

処理中です...