ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

127話

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 馬車はしばらく海岸沿いの道を進んだ。
 アルジェさまのお家は白が基調だったけど点在してる庶民の個人宅かな?テラコッタな感じで屋根は少しカラフルで可愛い。

 海も少しずつ見えてる景色が変わっていって楽しい。
 
 しばらく眺めていたら少しずつ海が遠くなった。
 島ではびっくりだったけど海に来られて良かったな。

「また来ような」
「はい」

 ジュリアスさまの休暇はなかなか取れないみたいだけど、セリウスさまとクラウスさまがグレーデンに残ってくれるみたいだから協力しあえば大丈夫なはず。

 途中で小腹が空いちゃったジュリアスさまは馬車を停めてみんなでオヤツタイム。
 馬車道の横にそれて休憩が取れる場所を確保。
 よく使われてるのか草が少なく焚き火の跡も残ってる。

 ニーナたちが場を整えてくれて、ルルゥがポケットコンロを出して、お茶とスープを用意してくれた。
 私はたくさん焼いておいたたこ焼きとお好み焼き、クッキーやパウンドケーキをアイテムボックスから出したら、みんなすごい勢いで手を出した。

 その中に小さい手も出てきて和む。
 和むけど!ポムもティムも体の形が変わりほど詰め込んでて。
 アズライトはミニサイズだけど結構な勢いで消化してるから食べてる量が可愛くない。

 ちなみにポムとティムはニーナたちの馬車で、アズライトはなぜかチェイスさんにくっついて移動してる。
 おっさん同士気が合ったのかしら?

「美味しそうに食べてるから良いけどねぇ?」
 ポムの頬袋をつついてみる。
 まだ入れようとしてるけど、本当にパンパン。

 初めて会った時もクッキーを食べて喜んでたけどほんと食べるの好きだねぇ。

 まったりしてたら、サーキスさまがいきなり指先から氷の矢を放った。
「にゃ!?」

 50mくらい離れた場所で何か毛のある動物倒れてる。

「失礼。ちょうど良いオヤツを見つけたもので」

 弓要らず!

 アモンさんが回収しにいって戻ってきたんだけど、結構大きいウサギ?80cmくらい?

 鑑定してみたらウサギと羊が交じったような生き物で美味って出た。

「すごく眼が良いのね?」
「普通ですよ」

 絶対嘘だよ。

「ルークは投擲も上手いからな」
 
 そういう問題ではないと思う。

 ルルゥはいそいそと血抜きと解体して串焼きにする。
 ハーブで揉んで一味つけるのも忘れない。

 さすがに一頭分じゃみんなで食べれないと思ったら、すでにクラウスさまとチェイスさんたちで3頭狩ってきていた。

「一頭いれば近くに仲間もいるってことだからな」

 クラウスさまたちニカっと笑ってるけど、フットワークがすごい。

「食べれれそうなものを見つけたら狩るのは普通だ」

 普通がわかんないのでニーナを見てみたら、ニーナたち女性陣が小さめに首を振ってた。普通じゃないらしい。

 こんなのが普通だと都会の令嬢は確かに逃げ帰るかもしれない。


 ともかくオヤツな串焼きを食べ終わって再び馬車移動。

「もうじき国境だ」

 予告通り、少し開けた街道に出て、前回とは違う国境門を通ってレイドラアースに戻る。

「ここからはグレーデンの領域だ。この辺りはうちの遠縁の男爵が受け持ってる」

 ここからお家に戻るまでの通る土地の管理者に視察がてら挨拶をしていくらしい。
 
「少し話して茶をもらうくらいだから気を張らなくても良いぞ」

 んにゅにゅ!
 普段回れないからついでに寄るのは仕方ないけどいきなりか~。

 でも一応領主夫人なので顔を見知って貰わないとだしね。

「立ち寄る土地の人たちは私たちの婚姻式に来てくれた方ですか?」

 前情報がないから聞いておかないと。

「基本的には戦力的に土地を離れられないから奥方が来てくれたり、代理で息子が来たとかだな。その都度教える」

 ほえ~やっぱグレーデン全体が危険区域なのか~。

「国境付近は魔獣より野盗や密入国者、密輸入の取り締まりが大変だな」

 また顔に出てたかしら?

 少し走った先で馬車が停まって、ハンオール家に到着。
 先触れをしていたからかお出迎えをされてお屋敷内に案内される。

 ハンオール男爵はお義父さまと近い年齢っぽくちょっと野生みがある感じのしっかりした体格のオジサマだった。
 密入国を取り締まってるだけあって眼光が鋭いよ!
 奥様はほんわりした優しげな感じの良い方で。

「ようお越しくださった。ジュリアスさま。やっと奥方を迎えられましたなぁ!クラウスさまも大きくなられて・・・」
 
 私を見て一瞬眼が丸くなったけどすぐさま表情を立て直した!

「私は式には行けませなんだが妻がご夫人の衣装や出された料理を絶賛しておりましたぞ」

 奥様が来てくださってたのね。多分個人的なご挨拶をしてなかったはず。

「手土産にいただいたお菓子なぞほぼ食べられてしまいましたわい」
「美味しすぎちゃって・・・」
 あらぁ!奥様がほんのり顔を赤くしちゃった。

「そういえば演習に参加したうちの息子や騎士たちも兵舎の飯が美味かったと自慢してきましたでな!私も近いうち仕事を息子に押し付けて参加しようと思っておりますのじゃ」
 
 国境で大変なお仕事を受けもってるのに美味しいご飯にありつけないなんてお気の毒だよ。

「はは、ダイアンはしょっちゅう顔を出してくれておるが飯が目当てだったか!」

 ハンオール男爵は気さくでたくさんお話をしてくれた。

 今のところ地域内での問題はないらしい。
 一応こうして話してる間にハンオール家の騎士さんたちとチェイスさんたちが近辺を見て回ってるらしい。

 水路や街道に異常があったら人手を出したり、戦力的に問題があったらテコ入れしたりするみたい。

 残念ながらたくさん時間が取れないので早々にお暇を告げる。

 ハンオール男爵も承知しているから引き留めるようなことはなく、お見送りしてくれた。

 そのあとは、どこかに泊まるとその地の管理者が気を使うからと街道から少し外れた場所で野営をすることに。

 私やニーナたちは馬車で寝られるけど男性陣は地面だよ。疲れが取れないじゃんね?

 でも演習や訓練でしょっちゅうで慣れてるから良いんだって。

 簡易テントと調理台を準備してルルゥが簡単な調理を始めたら、サーキスさまたちが近場で狩りをしに行ってしまった。

「たくましいね・・・」

 ジュリアスさまも私を抱き上げて木が繁ってる場所に連れていってくれる。

「この辺りは少し変わった草や木が生えてるんだ」

『主よ!あっちのは食べれるものだぞ!』

 アズライトがいきなり走っていった。
 ポムとティムも走っていき、木の下を掘ってる。
 どうも三匹で対抗心があるみたい。

 少し奥まった場所までついて行くと、見覚えのある木・・・木なのかなぁ?

 まぁいわゆる竹林が現れたのだ!






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