ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

119話 オオナマズとタカアシガニいたよ

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 船は私たちと荷物を降ろして帰って行った。

「楽しんでくださいね」

って。物凄いタコ?が出る場所に置いてけぼりなんだよ!

 ジュリアスさまたちがワクワクしてるからもう良いけど。

 セバスチャンやニーナと騎士さんたちは先に別荘で過ごしやすいように整えてくれるって行っちゃった。ポムとティムも連行されてった。

 なので私たちは海辺を散策。
 さっきのちっさいカニを眺めてたら、
「リーシャちゃんあれも美味しいの?ちっちゃいわよう!」
とルルゥに言われてしまった。
 ここの世界の人にアサリ汁とかシジミ汁、サワガニのせんべい出してもお腹に貯まらないからしょんぼりしちゃうんだろうな。

「もう~ちっちゃいのがいるなって思っただけだよ!」

 ジュリアスさまに抱っこをやめて貰って波際まで行ってみようとしたら。

「リーシャ、引き込まれるからそこまでにしておけ」

 すぐに腕の中に戻されちゃった。

 引き込まれるって何!?

「リーシャちゃん、海の魔物は食べれそうな物を見つけたらすぐ嗅ぎつけて出てくるのよ~」

 ええ!?じゃ岩場で海苔とか打ち上げられた海藻とか探せないじゃん!

 浅瀬に潜って貝とかエビ探せなくない?

「貝とかどうやって獲ってるの?」
「そりゃ戦いながらだよ」

 チェイスさんもクラウスさまも当たり前のように言う。海ってサバイバルなの!?

「私が獲ったり出来ないって事?」
『其方が海辺に立てば向こうから飛んでくるから来たところで網を放ってやれば良いぞ』

 全然良くない!!

 潮干狩り的なことも釣りも無理じゃん!!

 めっちゃショックを受けてたら突然海からザッパァーーーン!!!って水飛沫が上がって10mくらいありそうなタカアシガニみたいなのが出て来た!
 何でピンクと紫のマーブルなんだ!!

 ジュリアスさまは私を後ろに庇ってすぐさま臨戦体制になっって。
 サーキスさまがターンと軽やかにカニの頭上に飛んで眉間を剣で差し込んで。
 ルルゥがカニの下に入って急所っぽい胸の真ん中を剣で刺して、チェイスさんも三段跳びくらいで一番上のアシを切りつけた。

「うおお!はっや!!」

 クラウスさまは観戦!やんややんやと大喜び。

 一瞬でカニが崩れて落ちた。

 ジュリアスさまは他に出てこないか見張ってたみたい。

「これはラッキーだな。美味しいはずだ」

 マギスパイダーと似たり寄ったりだけどね!

「リーシャちゃん、蒸す?焼く?ソースは何が良いかしらぁ♡」

 この人達にとって10mって大したことなさそう。

「フリュアにリポカ入れてちょっとビヤを足したら良いかも」

 ビヤって聞いただけでみんな渋い顔。
 ポン酢っぽいのダメかしら?

「じゃぁマヨネーズのタルタルにしたら良いよ」

「うーん?両方やってみるわねぇ」

 話している間にサーキスさまとチェイスさんとクラウスさまでカニを解体してる。

 ちなみにカニは、ビッグロングレッグって言うみたまんまの名前で、〈タラバの味。濃厚な味噌は旨味凝縮〉って《鑑定》がね。

「リーシャさま、もう一回波際に近寄ってみませんか?」

 サーキスさまがそう言うもんだからジュリアスがちょっと怒りかけ。

 餌と勘違いさせて呼び込むおとり漁ですか?

「リーシャちゃんじゃなくてクラウスさまでも出てくるんじゃない?」
「魔力に惹かれてるんだろ。一番美味しそうなのはリーシャさまだわな」
 
 妙な相談をされてる。

「お前たちでも十分良い餌だ」
『うむ!ここにおる者はみんな濃い魔力でうまそうぞ』

 アズライトが庇ってくれたと思いきや普通に美味そうとか言う。

 ってことは今ここは高級餌の溜まり場?

「内部には入ってこれないようにしてあるらしいが海沿いは狩場・・・漁場か、漁場だからな」

 ほほう!ちっともロマンチックじゃない海辺ですね!波打ち際を走ってキャッキャ出来ないですね!
 思ってた新婚旅行と違う。けどタコが手に入るならば・・・。

 悩んでたらまたドバーーンと水飛沫が。
 今度は何だ!


 ナマズだよ!!???

「お、これは俺が行く!」

 そう一言聞こえたと思ったらクラウスさまが二刀流でナマズの首を両断した。

 5mのナマズ・・・。

「これの身はプルプルしてて良いわねぇ。何味がいいかしら~」

 私は鍋を押します。

 ナマズを砂場に移動させたらまたダパァァーーーーン!ってもろ波が襲って来た。

 次こそタコが良い!

 私はジュリアスさまに抱き込まれて波を耐えたけど、みんなは上に飛んで青と緑が混ざったような甲イカみたいなのを切りつけてた。

「これはめっちゃラッキー!!甲は強度の高い盾になるぞ!!」

 いや貴方達は盾いらないでしょ!

 25mくらいはありそうなイカ。イカよりもっと恐ろしい見た目。

「これ食えんのか?」
「クランゴの最上位種でしょ」

 サーキスさまが飛びながら氷を出して足場を作ってイカの心臓部を狙う。
 脚が四方八方で襲ってくるからジュリアスさまが炎を出して焼いちゃう。
 こんがり良い匂い!!

「ルーデウス!足の付け根を頼む!!」
「はいよー」

 クラウスさまは襲ってくる脚を揶揄うように飛び回って。

 甲の部分は刃が効かないからみんなイカの正面?をねらってて、捕まえようと蠢く脚を一本ずつ切り払っていく。

 スッとジュリアスが飛んでイカの頭頂から胴へ縦に剣を振ってスタンッと戻って来た。

「あっぶね!!」
「一声掛けなさいよ!」

 サーキスさまと連携で心臓にトドメを刺したんだって。

「ここにいたらまた出てくるから一旦屋敷に向かおう」

 やっとここを離れる気になってくれた。
 私のドレスも海水がかかって磯の匂いとかでブルーだ。おニュウの衣装だったのに!


 あ、イェンゲ。すぐさまチェイスさんが獲ってくれた。






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