ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
115 / 764
二章

111話 滝と光る洞窟。

しおりを挟む
 お布団がいつもと違うから起きた時少し違和感。
 まぁ基本的にジュリアスさまを下敷きにしてるんだけどね☆

「おはよう」
 
 ハグとキスをしてからすぐにニーナを呼んでくれて洗顔とお着替え。
 早めに出るから朝ご飯は断ってあるそう。

 宿を出るとすでに馬たちと馬車が待機していて出発です~。

 中にバスケットが置いてあって朝ご飯にありつけたよ。
 ルルゥがタウンハウスで数食分作ってマジックボックスに入れてくれてたらしい。

「流石にずっと宿の料理は切ないからな」

 毎食が塩味の焼いただけ系は辛い。昨日のチーズ料理は大当たりだったけどね。

「このサンドイッチに昨日買った柔らかめのチーズ合いそうです♪」

 私は二つ食べただけで後はジュリアスさまのお腹に納まった。
 
 馬車はしばらく街道沿いを走っていたんだけど、道が地面剥き出しになって来たあたりで外れはじめた。

「少し山に入るんだ」

 話してくれてた絶景スポットに寄り道は山だったのね。

「途中から馬車は入れないから馬で入る」

 グレーデンで見た魔の森とは違った明るい感じの森道を進んで少し登った辺りで停車した。

 少し開けていて野営の後っぽい煤けた場所がチラホラ。

 騎士さんたちが休憩用に簡易テントを組んだり馬を繋いでお世話をしてる。

「ではしばらく待っていてくれ」

 護衛にはルルゥとチェイスさんと騎士の一人でアモンさんでニーナをチェイスさんの馬に同乗させて出発。

 しばらく細い山道を登っていくと水の香りがして来たので沢があるのかなぁと思ってたらドンドン水音が激しくなって来たので滝かな?

 道が開けてきたらまあまあな高さから流れ落ちてる滝が現れた。

 ザザザザザザーーーッ!!

 横幅が結構あるから水のカーテンみたいになってて。光加減も相待って幻想的な風景。

「わぁ・・・」

 水面に舞う水飛沫も反射して虹みたいなのが現れてる。

「滝の裏に行こうか?」

 ジュリアスさまに抱き抱えられて岩場を飛ぶように、霧状になった水の中を進んで滝の横?から洞窟みたいなってる滝の裏側に入った。

 ここにはルルゥたちは付き添わないらしい。

「リーシャ、ここは綺麗だろう?」

 滝を見上げてみたら光がいろんな方向から差し込んで乱反射してるみたい。 
 うっすらと森の木々も見えてファンタジーのアニメとかで観た妖精とか出てきそうな幻想的な風景。
 音はうるさいけどね!

 濡れたままの服は辛いのでジュリアスさまが〈温風〉で乾かしてくれた。
 
 抱っこされたまま今度は奥の方に進む。
 外からの光が届かなくなってきて少し不安に感じた頃、今度は壁や天井がキラキラ光ってる場所に着いた。

「綺麗・・・」

「これは淡蛍石と言って石自体はほんの少し光るだけで宝石としての価値はないんだが、ここでは密集しているからこれだけ光って見えるんだ」

 価値ないんだ!!でも光る石が鍾乳洞みたいに育って伸びてるみたいでおっきいし綺麗なのにねぇ。

 少しだとあまり光らないならランプにも出来ないから採石しないのかな。

「リーシャ、そこの草は母上が喜ぶからお土産に採って行くか?」

 ん?

 〈鑑定〉してみたらお肌が綺麗になる薬が出来るって!しかもレアだった。

 もちろんいっぱい採取だよ。

「くしゅん」

「寒かったか?」

 ジュリアスさまが慌ててマジックバッグからマントを出してぐるぐるに巻いてくれた。

 乾かしても空気が湿ってるし、地面も壁から滲みてる水で割と濡れてるしちょっと冷えるかも?


 採取も結構頑張っちゃったので外に向かうことに。

 来た道を戻って行ってもう一回滝の裏の景色を楽しんでからまた岩場を移動してみんなの元に戻った。

「楽しめたぁ?」

 ルルゥが何やらお肉を捌きながら聞いてきた。

「お肉どうしたの?」
「たまたま出会したのをチェイスが狩ったからオヤツに焼こうって思って」

 採れたての猪っぽいのをオヤツに・・・。

 ルルゥはサクサクと処理して、滝の影響が少ない水場で皮と内蔵を洗いに向かった。

「リーシャちゃん!ちょっと良い!?」

 川縁からルルゥが呼ぶもんだからまたジュリアスさまに抱き上げられて運ばれる。

「どうした?」

「これ!これは食べられそうな気がするのよぉ☆」

 指差された先には水場に青々と茂った葉っぱ。

 もしかして?って鑑定したらば。

《パバブ・葉や根茎は食用。ピリピリした味。ワサビより辛め。初めて食べた人が「パバブッーッハブェウェェーと咽せたのでパバブと名付けられた」》

 ・・・地球の誰か、翻訳ありがとう?ヒデブじゃなくて良かったよ?

「ルルゥ、これ根っこからたくさん採って欲しなぁ」

「あら♡」

「胡椒の木くらいの素敵食材なの」

「「!!!!????」」

 二人とも一瞬ピシャーンと電流受けたみたいになって、チェイスさんたちに採取を頼んだ。

「うへぇ、水つめてぇ!!」
 
 チェイスさんは文句言いながらも結構なスピードで引き抜いていく。

 ジュリアスさまも私を降ろしてから水辺に入って行った。

「これどうやって使うの?」

 ルルゥが採取しながら聞いてきたので簡単に説明。
 お刺身やステーキにちょっとつけて食べたりしか思いつかないけど。
 葉っぱはお浸しっぽく食べる。

「へぇ、じゃあさっきのお肉で試してみましょうねぇ」

 みんなで80%くらいの採取したら終了。

 ホットプレートを出して温めてる間にルルゥがアモンさんのお手伝いで肉を切り分けてアランとジェイクが焼く。

 パバブの根茎の皮を軽く剥いてチーズのおろし器で擦る。
 サメ皮とかないからね。

 ツーンとした匂いが漂ってきた。
 みんなちょっと眉間に皺寄ったよ☆

 葉っぱは湯通しして、ルルゥが持ってきたフリュアの実を煮詰めた醤油もどきで浸してもらって。

 ステーキは岩塩で。

 別皿にフリュアソースとパバブを乗せて。
 
 本当は牛肉で試してみたかったけど、猪っぽいのもきっと合うはず。

「では食べてみよう」

 私はとりあえずソース無しで岩塩とワサビで味の確認。

 ちょっとツーーン!!マジで辛めだ。ちょっとにしておいて良かった。でもちょっと野生の臭みがあるお肉をワサビの香りで中和?

「ッパ!ブゥ!ブェー」

 惜しい!!パバブじゃない。

 チェイスさんとジェイクが咽せた。
 どうやらお皿に分けた一匙分を一気に付けちゃったみたい。一応説明したんだけど?

「もう!貴方達、本当思い切りが良いわねぇ」

「ふむ。これはなかなか癖になりそうだ」

 ジュリアスさまが気に入ったみたいでお肉に葉っぱのお浸しを巻いて食べたりしてる。

『これ、そこな娘、我にもそれを食べさせてくれんかの?』

 ん?

 ちょっと聞いたことのない声が聞こえてきたよ?


_______

 エール、お気に入り、しおり、ありがとうございます。

 リーシャの重いところ考えてたら他のストーリーが遠くに行っちゃって困ってるので他のシリーズの流れを脳に呼び戻したいので、しばらくリーシャは食い意地と新婚旅行の明るい話で進む予定です。

 お付き合い頂けると嬉しいです♪
 



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

おさななじみの次期公爵に「あなたを愛するつもりはない」と言われるままにしたら挙動不審です

あなはにす
恋愛
伯爵令嬢セリアは、侯爵に嫁いだ姉にマウントをとられる日々。会えなくなった幼馴染とのあたたかい日々を心に過ごしていた。ある日、婚活のための夜会に参加し、得意のピアノを披露すると、幼馴染と再会し、次の日には公爵の幼馴染に求婚されることに。しかし、幼馴染には「あなたを愛するつもりはない」と言われ、相手の提示するルーティーンをただただこなす日々が始まり……?

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

聖女転生? だが断る

日村透
恋愛
生まれ変わったら、勝ち逃げ確定の悪役聖女になっていた―――  形ばかりと思っていた聖女召喚の儀式で、本当に異世界の少女が訪れてしまった。 それがきっかけで聖女セレスティーヌは思い出す。 この世界はどうも、前世の母親が書いた恋愛小説の世界ではないか。 しかも自分は、本物の聖女をいじめて陥れる悪役聖女に転生してしまったらしい。 若くして生涯を終えるものの、断罪されることなく悠々自適に暮らし、苦しみのない最期を迎えるのだが…… 本当にそうだろうか?  「怪しいですわね。話がうますぎですわ」 何やらあの召喚聖女も怪しい臭いがプンプンする。 セレスティーヌは逃亡を決意した。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

処理中です...