ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

109話 ジュリアスさまは何気にヤキモチ焼きみたいです。

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 色々良いのかな?って思いつつ、王都を出発です。

「リーシャちゃんと二週間も会えないなんてぇ」
 タウンハウスの門までお見送りに出て来てくださったお義父さまとお義母さまが半泣きです。
 お世話になった使用人さんたちも「またのお越しを~」って寂しげでちょっと切ない。
 オレイユの家を出た日とは比べようがない温かい気持ち。えへへ。

「母上、大物狩ってきますから」

 んー?お土産買ってきますじゃなくて?

「そうね!海の魔獣も楽しみにしているわ」
「ワシも行きたいのぅ。リーシャちゃんの海の料理、気になるのぅ」

 やっぱり魔獣を狩ることになってる。海獣?
 タコってイカってそんな大きいの?葛飾北斎のタコくらい?海賊の映画のクラーケンみたいなのなの?あれって食べれるの?
 
「旦那さま!アタシがバッチリ買い付けしてきますから~」

 ルルゥがバチコーンとウィンクしちゃってる。
 王都出るまでは騎士服らしいけど行動は普段のになってる。ちょっと違和感☆

「ともかくリーシャちゃんだけは無事に連れ帰ってくるんじゃよ」

 ええ~!?

「みんな強いから心配してないけどリーシャちゃんを怖い目に合わせちゃダメよぉ」

 なんかフラグが立ったよう?

「では行ってきます」

 最後にお義母さまが私の中身が出ちゃいそうなハグしてくれて、お義父さまも頭をポンポンしてくれて。
 ジュリアスさまの抱っこで馬車に乗せられ。
 内装がちょっと薄ピンクで枠組みとかは金の細工~。いつの間にか可愛くデコされている。なぜ!

 私とジュリアスさま、ニーナ、サラ、メルの馬車2台と護衛さんたちは騎馬と言う貴族の旅行には少人数ならしい編成で出発です。

 アランとジェイク、ルルゥ、チェイスさん、あとはこの旅行の護衛権を勝ち取った5人で、馭者さん交代しつつ行くそう。

 前に王家の馬車で送ってもらった時は何が何やらで流されるままだったけど、今回は全部楽しみ!!
 ジュリアスさまがずっと一緒だし。

 パステルピンクが可愛い空間にジュリアスさまがデンっと座ってるのちょっと面白いんだけど、多分お義母さまの趣味だから仕方なし。
 椅子はスプリングが効いてるし、浮力軽減もちゃんと作動していて、馬車が軽やかに動いてて音も静かだし超快適!!

「やっとくつろげるな」

 ジュリアスさまが甘えるような声で私の肩に顔を埋める。
 やっぱちょっとお疲れだったね。
 王都にいる間、普段出来ない交流と私の問題で王宮にも行ってたみたいだし。

「少し寝ちゃいますか?」
「いや、せっかくリーシャとゆっくり出来るから起きていたい」

 いつも通りの膝抱っこだけど、新婚旅行って言う特別感かなんか甘い雰囲気~。照れる。

「海に街に行く途中に二ヶ所寄り道だ。昔学園の遠征訓練で寄った森が良い場所だったからそこに行く」

 絶景のデートスポットみたいな感じかな?
 訓練に行ったってことは魔獣か何か出るんじゃ?

 そんな話をしてたら王都の門を通過。馬車に紋章でスムーズに出られたみたい。

 門はとっても大きくて、魔道具も仕込んであるから静電気みたいな不思議な魔力を感じた。前回は分からなかったことが分かるようになったのはちょっと嬉しいかも。
 結界や魔物避けなど色々な仕掛けがされてるんだってジュリアスさまが説明してくれた。

 壁も同じように魔力を練った頑丈な物らしい。王都にもそんなに魔物がくるのかと思ったら、昔に作られた物で今は滅多に襲われないと。
 辺境領で魔物の発生源を管理したり、各地で王国騎士団が頑張ってるから王都に強い魔物は来ないらしい。スタンピードになる前に対処出来てるから王都近辺では大きな被害が長いこと起きてないそう。

 王都以外は・・・どうなんだろうね?

 しばらく馬車を走らせてると馭者席から声が掛かった。

「ルルゥさんが休憩をと。リーシャさまが好きそうな草原だそうです」

 ジュリアスさまがすぐ止まるように行って街道を少し外れて停車した。

 降りてみると確かに綺麗なお花が咲き乱れてる草原だった。

「リーシャちゃん、疲れてなぁい?ここ良い感じだからお休みしましょう♫」
 
 すぐに簡易なテーブルセットが用意されて、お茶の用意を始める。

 ルルゥたちはすでに騎士服の上着を脱いでベストみたいな軽い冒険者服に着替えてる。
 馬車からもグレーデン家の紋章を外したけど、豪華すぎてどうみても貴族の馬車のまま。馬たちも立派だしね。

 私はジュリアスさまからやっと下ろしてもらえてお花を観察。

 白詰草っぽいヤツ。
 これはグレーデンにも咲いてるので採らない。
 でもたくさん咲いてるのは綺麗で好きな景色。

 他にも食べられる草がいくつかあるんだけど、美味しいかどうかといえば判断に困る。あえて食べようと思うのはないかな?

 あまり採取に欲を出すと旅程に響きそうだしね。

「ここは何もなし~?」

 ルルゥがちょっと残念そう。
 胡椒の木みたいなラッキーはそうそう無いみたい~。

「お茶の用意できましたよ」

 ニーナがお茶とお菓子を並べてくれた。
 
 蒼空の下でお花畑の中でお茶って贅沢だよね。

 アランたちも一緒に座ってお茶。

「リーシャさま、これ美味しいです」
 ジェイクがクッキー皿を私に差し出してくれる。

 それをジュリアスさまが取って私の口に運ぶと言う。お家に外でまで餌付けしないでぇ!文句を言いたかったけど、ジュリアスさまも食べさせて欲しそうにしてるのでその視線に負けてクッキーを口元に運ぶ。

「うはー、独身男の前で残酷だなぁ」

 チェイスさんが大笑いしてる。

「ジェイク、ジュリアスさまはこんななりでもヤキモチ焼きだから気をつけてねぇ☆」

 くそう。ネタにしないで!

 でもヤキモチなんだ。ちょっと嬉しいかも。
 言われた本人は気にしてなさそう。

 ふと座ってたそばの地面を見たら四葉があったので思わずゲット。

「あら?葉っぱ食べたいの?」

 いや、なんでも食べるって思わないでぇ!

「これ、葉っぱが四つだったから」
「へぇ、珍しいの?」
「うーん?なんとなく?」

 幸運のジンクスとかこの世界でも当てはまるのかわかんないので流しておこう。

 ちょっとした悪戯心で雑な花冠を作ってルルゥに被せてあげた。

「あはは、ちょっと似合わないかも!!」

「ちょっと失礼ねぇ!!私にお花はに合うわよぉ」

 ゴージャスな薔薇とかなら似合うけど、可愛い野花はなんか違ったよー。

 私たちがふざけてるうちに片付けが済んだので再び馬車に。

「これ乾燥させたら栞にしてジュリアスさまにあげますね」

 四葉を見せたらジュリアスさまが「ん?」ってなった。

「四葉は珍しくて見つけると幸運らしいだから取っておくんです」

「そうなのか?」

「ただのおまじないみたいな物ですよ」

 そう言うと目を細めて笑って抱きしめてくれた。

「花冠より良い物がもらえたな」

 あれ?実は拗ねてた!!?





 


 





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