ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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二章

91話 たこ焼きに向けてソースを準備したい。

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 目の前ではたくさんのお手紙を選り分けている侍女長メリー。
 それを吟味しているお義母さま。

「もーぅ。断ってるのにしつこいのよぉ!」
 ぷりぷりしながら読んでる。

 いつもならお義母さまは執務室でやる事なんだけど、そろそろ私にも領主夫人のお仕事がどんなものか教えていこうって事らしい。
 でもあくまでも見学。
 まだまだ甘やかし期間続行なんだって~。

「どうしても断れないのは王族と公爵家、あとは境界を守る共闘関係の領地のね~。まぁ王族や公爵家はほとんど無理を言うことはないから式典や祝賀会の義理を果たしておけば問題ないのよ~」

 スっとお茶を出したりササっとお手紙回収したりでとってもスムーズ。

「侯爵家は相手によるけどウチに強要できる家はないと思って良いのよ~。王都にいる時に都合が合えばお茶って感じかしら」

 ふおー。グレーデン家強い。

「社交って言っても相手が謙り過ぎて面倒だから適度にお付き合いでいいのよぅ」

 うーん?お義母さまが強いだけな気もする。

「ほとんど王都にいないから相手は今回の王都行きをチャンスだと思って接触を図ってくるけどそう言った手合いはウチに利がほとんどないからスルーで良いの」

 そう言いながら代筆で良いらしい手紙をまとめて箱にいれる。

「グレーデン家と正式な仕事なり付き合いをしたい家はこちらに出向いてくるのよ」

 ははぁ、王都にいるから押しかける人は熱意が無いとかグレーデン家を下に見てるとかそう言うことかな?

「こちらからお願いとかお仕事をお願いしたい時はどうするのですか?」
「もちろん先触れを概要とともに送ってお伺いしたいとお願いするのよ~」

 そりゃそうですよね。うん。

「でも向こうが大喜びでこっちにきちゃう事の方が多いわねぇ」

 おおぅ!グレーデン家ってばすごい家だ。

「ここはね、騎士達がしっかりまもってくれてるけど、世間は魔獣が闊歩する荒地だと思われてるから寄り付きたがらないのよ。それでもウチから依頼があれば飛んでくる意味はわかるでしょう?」

 めっちゃビジネスチャンスとかグレーデンと縁が結べるとグレーデン辺境騎士団っていう最強戦力が付いてくる?

「王都に入り浸ってる連中にとってはグレーデン家を野蛮な辺境の一族だと思いつつも、王家が優遇してるから付き合っておくか、程度の家なの。でも王都から離れた地で真っ当に領地運営をしている家なら辺境騎士団やうちの豊穣な食糧は大切な切り札、付き合いを強固にしたい家なのよ」

 うーん?利用価値って感じ?

「ふふ、リーシャちゃんは魔道具とかお料理で貢献してくれるからお仕事しなくても良いのよ~セリウスのお嫁さんあたりに社交的な人が来てくれたらラッキーくらいの気持ちでいてね~」

 激あまー。世間知らずってわかってて嫁にもらってくれてるから最初から当てにされてないだろうけど、グレーデン家の当主の嫁これで良いのかー?


「ふふ、良いのよ~私だって実家にいる時より楽をさせてもらってるわぁ」

 私の微妙な顔を読み取ってさらに甘~い事を言ってもらえる。泣くよー。

「リーシャちゃん、あなたがここに来て畑だとか食べ物や魔道具とか思い付いてくれたのや、騎士達に漲るやる気を付与せせてくれて、ここ半年で経済効果がどれくらいあったと思う?」

 んん?私の口座の中身知らないけどそれ以上はあるってことかな?

「うちは魔物の素材や騎士の派遣、王家からの褒賞やなんだと元々豊かなのだけど、リーシャちゃんがもたらしたのは我が領地の三年分くらいの収益なの。これ以上に仕事なんてさせられないわ~」

 わー。よくわからないけどすごく儲かってるってことかな?

「ジュリアスにとっても私たちにとってもリーシャちゃんが居てくれるだけで幸せをもたらしてくれるのに富までついて来ちゃった上に美味しいモノもたくさんでこれ以上なんてバチが当たっちゃうわよ~」

 めちゃくちゃ誉め殺しぃ!

「さて、このお手紙の中で招待に応じなくちゃいけないのは王妃さまとファミーユ公爵家とシーランド侯爵家かしらね。あとはウチのお菓子の評判を聞きつけて王都でお茶会を開いて呼んで欲しいってのが多いわ」

 んー?王都行きまで馬車日程だと結構ギリギリだと思うんだけど今お誘いなの?

「うふふ、私たちが出席するって情報が出たのが遅いのよ~。あとは連絡する手段がマチマチだから、でも王家と公爵家以外は私たちが転移陣使うって知らないから返事は行き違ったと言う扱いでお断りできるの~」

 お義母さま、心読むのやめて下さーい。

「王都に滞在するのは数日なんだからそこまで詰め込めないわ~お茶会や社交界に出たって仕事の足しになるお話ができるご夫人はあまりいないのよね~」
 
 お義母さまは王都に行くのはあまり好きじゃないのかな。

「今回はリーシャちゃんとだから楽しみなの~嫁自慢が出来る日がやっと来たわ~」

 自慢出来るほどの嫁じゃないけど・・・。
 ジュリアスさまは貴族の嫡男としては晩婚だからやっとなのはわかるけど。

 嬉しそうなお義母さまに水を刺すのもなんなので大人しく頷いておこう。

 お手紙の仕分けが終わって解放されてから、何かオヤツでも作ってみようとまた厨房に突撃。

 今回のルルゥはカレーの仕込み中だった。
「あらリーシャちゃん。どうしたの~」
「スパイス仕入れ出来たの?」
 とっても漢方くさいようなスパイシーなような匂いが充満してる。

「そうなのよー。船便で定期的に買い付ける契約ができたのぉ☆ディゴーまで引き取りに行かなくちゃだけど使いたい時につかえるわよぉ」

 スパイスの調合は別に部屋でしたまえよ。
 もう今日は手遅れみたいだから、ついでに乗っかろう。

「ルルゥ、お野菜いっぱいみじん切りにして炒めて欲しいの」
「野菜を炒めるの?」
「ドロドロになるまで炒めて煮込みたいの」

 首を傾げながらマックスやベンに指示を出してくれる。
 野菜カレーもできそうだからついでにやってみよう。

 あとは~。
「新しい油をいっぱい出してほしいの」

 香辛料をジューサーで粉々にして。

 煮詰めた野菜に香辛料を入れてじっくりコトコト。

 ジュワジュワ煮たった油にも香辛料をイーーーン。粉々にしたモラ(かなり辛い唐辛子っぽいもの)もザパーーーー。

 様子を見てたルルゥがめっちゃ引いてる。

 得体の知れない黒い液体の鍋とグツグツと煮立った真っ赤な液体の鍋。
 さながら魔女の鍋のような色合い。

「リーシャちゃん、これフリュアのみたいなソースなの?」
 引き攣った顔してるけど味見したらすごい喜ぶと思うよう?

 仕上がったのはソース。作り方あんま覚えてないけど外国のスパイス強めな方の。
 たこ焼きが近づいて来てるはずなのでやっぱソースあったほうがいいよね。
 醤油味の好きだけど。

 あとは食べるラー油みたいなヤツ。
 
 スパイスに余裕があるなら作ってみたかったの。

 私はあまり辛いの好きじゃないけど、ここの人たちってば、痺れ牛食べるくらいだから好きじゃないかな。
 だから辛い目にしたよ。

 お義父さまたちちゃんと痺れてくれるかなぁ?









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