ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
83 / 764
二章

81話 ランダーさんは強心臓。剛毛が生えているに違いない。

しおりを挟む
 竜の肉は、痺れ牛よりより極上で。魔力が濃くて力が漲る感じで翌日はみんなツヤテカ!どんだけ。独身のお人はどう過ごしたのか超気になるよ。

 ちなみにジュリアスさまはセーブして食べてたし、私はあまり魔力が強すぎる食べ物はまだ良くないって少し食べただけ。
 なので素敵な展開にはならず!!
 いい加減ウェルカムなのにね!健全で優しい旦那さまですよ~!



 しばらくして近くの空き地に魔の森の植物を移植して、引退騎士さんを中心に警備するチームが組まれて、宿舎も隣接して監視を厳しめにする事になった。
 どうしても調味料向上の植物は捨て難いと。

 魔の森産だけに頼ると外部への融通がコスト的に難しいんだって。
 騎士さんたちは仕事のうちだけど、有事の際は当然戦場や魔獣討伐に出る。
 冒険者さん達はレベルの高い森に入れる人は当然依頼料が高い。騎士さんと同じく有事の際はそっち優先。

 ちなみに魔獣が出るとか魔素溜まりが出来るようなら炎上させて浄化っていう感じ。
 仕方ないよね。
 魔獣研究者や植物学者も招いて観察だって。

 出来れば魔の森産じゃないノーマルな植物を探したいなぁ。

 でも魔力が多い人にとって魔の森の食べ物は積極的に取り込む方が良いらしい。
 魔力維持?循環的にって?

 今日もルルゥがクネクネっとレシピをおねだり。
 そんなパパ~っと出てこないよ。

 午前のお茶を飲み終わって今日は何するべきかと悩んでたら玄関が騒がしくなった。

 ニーナとアランとジェイクが緊張して私を庇う感じで前に出る。

「あらぁお屋敷の中なのに随分過保護ですこと」

 騎士さんや侍従が止めようとするのを押し切って、ゴテゴテした令嬢が入ってきた!
 無理やり入ってこれるのってまずくない?

 どうやら貴族女性相手にどうすべきか困惑状態。

「ランダー伯爵令嬢、お待ちください!」
 ハロルドが上から降りてきて令嬢の前に入り込んだ。
 結婚式の時に毒吐いて来た人か。

「今日ご訪問されるとは聞いておりませんが?」
「嫌だわ、幼馴染み何だから遊びに来るくらい良いでしょう?」

 ランダー嬢はコロコロとしてるけど、良い年の人がいきなり遊びに来るって何ぞ。

「お坊っちゃま方はお仕事中ですからご不在にございます」

 ハロルドが丁寧だけど慇懃無礼な感じで応対。かっこいいよ!執事さんっ!

「ええ、そうでしょうね。私そのお嬢さんにお願いがあってきましたの」

 ん?仲良しでもないのに先触れなしでやって来てお願い事?

「ほう、ランダー嬢。うちの嫁に随分無礼な態度で何を願う?」

 お義父さまとお義母さまがお部屋から出て来てくれた。

「おじさま!!昔のようにレインと呼んでくださいませ」

「あらぁ、お嫁にいかれた他所のお嬢さんの名前を呼ぶなんて致せませんわ」

 出戻ってるらしいけどね!
 お義母さまが扇で口元を隠しながら笑ってる。ちょっと怖い。

「みなさま、聞いてくださいませ。そちらのリーシャさまでは奥様のお役目を果たせませんでしょう?私は第二夫人で構いませんのでジュリアスさまの妻になりたく存じます」

 ん?お役目って・・・社交とか領地運営?

「何を言っておる?」

「ですからそのような子供ではジュリアスさまを満足させる事もお子を授かることも難しいでしょう?私が後継を産んで見せますから」

 そっちかーーーい。お子様体型で悪かったね!

「其方は何を言っておる?随分破廉恥な」
「出戻って恥を捨てておしまいになったのかしら?」

 お二人が不快気に眉を顰めているのにランダー嬢はへこたれない。

「ですから出戻りなので第二夫人で良いと申しているのです。そんな子供しか嫁に来ないなんてお困りでしょう?」

「ますます何を言っておる?うちは子供は出来なければ親族の中で後継を決めるし第二夫人も妾も要らぬ。随分とウチを舐めておるようだな」

「ですがセリウスさまもクラウスさまもまだ婚約者もいらっしゃらないではありませんか」

 なお言い募る強心臓。貴族令嬢ってあれくらい心強くないとやっていけないのかな?義姉をちらりと思い出す。

「下の息子たちでは一度出戻った其方では不利だからジュリアスと言うことか?」

 え、消去法でジュリアスさまなの?贅沢~。

「そもそもウチは結婚も強制しない。うちの環境でやって行ける令嬢しか嫁いでこれないからな」

「私は隣の領ですから慣れています」

 ランダー領も魔の森いっぱいで隣国との境界もあるの?地図思い出してみる。あまり広くないし魔の森もなさそう?

「其方は田舎暮らしが嫌で王都貴族に嫁いだのだろう?」

「ですから私は普段は王都のタウンハウスで社交をして暮らします」

 あ"?ジュリアスさまを満足させるとかなんとか言ってなかった?

「っふふ!貴女は確か贅沢が過ぎて婚家を追い出されたのに無理やりウチに嫁いできて王都で暮らしますって何を仰っているの?」

「っ!!」

「こんな辺境に情報が入っていないと思ってらしたの?情報収集は戦場に出るグレーデン家では一番重要なお仕事ですのよ」

 おお~!お義母さまが普段私に見せない顔をしてる。ザ・貴族女性って感じだよ。カッコいい~。

「でもそんな子供よりは・・・!!」

「子供と侮るが、其方はこのリーシャより役に立つことなないだろうの。最近ウチの領地の評判が上がっているのはほとんどリーシャのおかげじゃ」

 どんどん追い詰められてるような焦りを顔に出してるランダー嬢。めっちゃ私睨まれてる。

「まぁそもそもジュリアスが其方を娶ることはあり得ない。隣のよしみで今回は見逃してやるから二度とおかしな事は言わないことじゃな」

 ランダー伯爵とは良好な関係だからってお義母さまが耳打ち。近隣で揉めるのは面倒だからお義父さまが見逃すって仰るならそれで良いや。

「嫌よ!私はジュリアスさまと・・・」

「俺はリーシャ以外を嫁に貰うことはない」

 いつの間にやら帰ってきたジュリアスさまがキッパリお断りしてくれる。少し髪が乱れてるから急いで帰って来てくれたんだと思う。

「何よ。そんな子供が良いなんて貴方おかしいんじゃないの!!」

 子供子供うるさいな。ジュリアスさまとの年齢差を考えたら普通体型でも子供だろうよ。

「そもそもウチとの縁談は昔お前が断っただろう。今更なんなんだ」
「だって王都に憧れるのは普通のことでしょ?」
「上手くいかなかったからと今更ウチに来るのは図々しいだろう」

 さっと近くに来て私を抱き上げちゃうからお子様扱いされるんだよー。

「だって嫁の来手無かったんだからその子なんでしょう?私でも良いじゃない!!」

 あまりの話の通じなさにお義母さまがイラッとされてる。

「いくらなんでも新婚のジュリアスに瑕疵のある貴女が強引に話を持ってくるのは無茶が過ぎるんじゃないかしら?」

 声にトーンがだいぶ低くなってる。

「・・・」

「昔なら家同士の関係で纏ったかもしれないが、それをダメにしたのはお前だろう?今は可愛い嫁を貰えて幸せなんだ。二度とおかしな事を言わないようにしてくれ」

 ジュリアスさまがキッパリ断ったところに髪がボサボサで着衣も乱れたランダー伯爵が高速スライディング土下座で入って来た。

 めっちゃ謝罪して後日またって言って帰られたよ。

 義姉並みに変わった人初めて見たよ。

 あの令嬢はきっとジュリアスさまのこと好きだったけど都会に行きたい欲が勝って、中々嫁をもらわないからそのうちチャンスをと思ってたら私がやって来て、あまりに子供だから暴走したってとこかな。

 ランダー伯爵はセリウスさまがワイバーンで連れて来たらしい。娘が乗って来た馬車で帰ったって。いきなり空の旅させられたのか・・・。初めてだったらお気の毒。

 庭に降りてたワイバーンをみたんだけどすっごい大きい。顔は可愛くないけど筋肉質な身体でカッコよかった。
 そのうち乗せて欲しい。


 ジュリアスさまが私をめっちゃハグして「心配要らないからな」って言ってからセリウスさまとお仕事に戻ってった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。 本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。 …………私も消えることができるかな。 私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。 私は、邪魔な子だから。 私は、いらない子だから。 だからきっと、誰も悲しまない。 どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。 そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。 異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。 ☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。 彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

【完結】身勝手な旦那様と離縁したら、異国で我が子と幸せになれました

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
腹を痛めて産んだ子を蔑ろにする身勝手な旦那様、離縁してくださいませ! 完璧な人生だと思っていた。優しい夫、大切にしてくれる義父母……待望の跡取り息子を産んだ私は、彼らの仕打ちに打ちのめされた。腹を痛めて産んだ我が子を取り戻すため、バレンティナは離縁を選ぶ。復讐する気のなかった彼女だが、新しく出会った隣国貴族に一目惚れで口説かれる。身勝手な元婚家は、嘘がバレて自業自得で没落していった。 崩壊する幸せ⇒異国での出会い⇒ハッピーエンド 元婚家の自業自得ざまぁ有りです。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/07……アルファポリス、女性向けHOT4位 2022/10/05……カクヨム、恋愛週間13位 2022/10/04……小説家になろう、恋愛日間63位 2022/09/30……エブリスタ、トレンド恋愛19位 2022/09/28……連載開始

我儘女に転生したよ

B.Branch
ファンタジー
転生したら、貴族の第二夫人で息子ありでした。 性格は我儘で癇癪持ちのヒステリック女。 夫との関係は冷え切り、みんなに敬遠される存在です。 でも、息子は超可愛いです。 魔法も使えるみたいなので、息子と一緒に楽しく暮らします。

処理中です...