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二章

67話 馬車の乗り心地改良してみた。

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 離れにいつもの通りにアランに運ばれる私。いつになったら自力で動いて良くなるんだろう?
 そもそも誰がだっこで運べと指示したのか?

 ちなみにね、アランとジェイクってば16才なんだよ。今更だけど。
 同じ年の男の子に抱っこで運ばれる私。どーよ?
 15で入団して若手の中で有望だから私の護衛ってなんか気の毒な気もする。
 二人とも身体170くらいでまだ筋肉は薄めだけど筋肉鍛えてる系お笑い芸人くらいは軽く付いてる。すごいよね。
 半年前に比べて少し成長してるの。
 多分だけど身長も体重もマッスル度もまだまだ成長するんだよ。

「おお、リーシャ嬢、おはようさん」

 離れにはすでに教授たちがスタンバイしてて机の上には魔導書と色々試行錯誤してるっぽい書き込みいっぱいの書類。
 離れで寝起きしてそうな勢いだなぁ。
 ちゃんと休まないとダメじゃん?

「リーシャ嬢、この魔法陣なんじゃが」

 教授のテンションが高すぎて若干引いちゃうけど、キラキラした表情でちょっとかわいいかも?未知の物に出会うと嬉しいのは研究者に取ったら当たり前な事だもんね。

「ここのな、この文字をこう加えたらだなぁこう・・・」

 この国の既存の魔法陣と古代語の魔法陣の構成を比べたら、効果が全く違う魔術が発生出来ないかと言うらしい。
 どちらも完成度の高い魔法陣なのでイジる必要性を感じないのだけど・・・?
 
「教授、これは美しくない」
 
 え?ジュシュー先生、魔法陣に美しさが必要なの?

 何故か二人が熱く議論を始めちゃった。
 
 今のところこの国で威力が強い魔法とか必要なさそうだし、人の手にして良いレベルを超えるのは個人的には反対。
 悪用されたら被害が大きくなっちゃうもんね。
 ジョシュー先生は、魔法が人の暮らしに役立つことを目指していて、教授は魔法の可能性をとことん突き止めたい派らしい。
 相性悪そうなのに何故弟子入りしてついてるんだろう?

 机の上に散らばってる書類を見てみたら、色々翻訳して解釈を変えたり試行錯誤してるのがわかる。
 古代語は神代ー創世と少しずつ言葉が変わってるのでちょっと扱いに困るんだよね。
 地域言語も混じってくるし、マジで現代使い道のない言葉覚えるのダルいでしょ?

 教授は純粋に魔術、魔法を極めたいんだろうけど、これ全部翻訳して解釈を突き詰めるなんて骨が折れすぎるよねぇ。

 ニーナがお茶とお菓子を用意してくれたので一服。

 魔法陣の改良や新構築は楽しそうだけど、深淵を覗いたらダメな気がする。

「ですから、私はこうした方がより美しいと・・・」

 ん?結局イジるの?

 リーシャも魔道書読んだり魔道具いじってるの楽しんでたけど、魔法オタク濃いな!

 仕方ないので翻訳が全く進んでない魔導書を黙々と書き写し。
 私も翻訳の手引き見たって全部はわかんないんだけど、魔法陣イジろうとかしなきゃ早く進むよ。


 お昼を少し過ぎてから、鍛冶屋さんがスプリングとか持って来てくれたと連絡があったので馬小屋に向かった。

 いきなり馬車の座席引っぺがしてもらうのは不味い気がしたので、荷馬車の馭者席に作ってもらった。
 板とマットと布を使った簡易な物だけど感触だけ確認。
 
「いやぁ、同じサイズで同じ強度というのは何気に難しい」

 鍛冶屋さんは慣れない作業はやっぱりどんな物でも初心者に戻っちまうわ、と笑いながら設置してくれる。

 ドーリーも手伝ってくれて席ができたので馬を繋いでもらって少し動かしてみる。
 ドーリーと鍛冶屋さんが試乗。

「お、これは・・・」

 馬場を一周して戻ってくると二人とも良い顔で、
「これは尻に優しい!!」
「ケツが痛くない」
って報告してくれた。男の人でも慣れてる人でもお尻大変だったんだね。

 アランとジェイクもアランが馭者で一周。
「これはだいぶ楽になりますね?」

 私もお試しって思ったらお義父さまがドーンと座ってサクッと走らせる。
 二人席なのに二人乗れない感じです。

 いつの間に!!ご飯じゃなくても登場がいきなりなのね!

「リーシャちゃん、これは良いな!ベッドにも使うと言っておったな。わしは早くベッドで試してみたいぞ」
「ルドガーさま、スプリングがまだたくさん出来てません」
「なんと!?難しいのか?」
「慣れてしまえばそこまで難しくはないのですが何分時間と職人が・・・」

 また事業が増えちゃうのかしら?

 馬車自体は重力操作の魔法陣でだいぶ楽になるからベッドに集中でも良いかも?

 綿ワタは高級品だからお金持ちしかふかふか布団使えないんだよね。私とジュリアスさまが使ってるベッドはお陰様でふかふかだけど、定期的に打ち直し?中のワタを解したりするみたい。
 スプリングベッドに綿ワタはプラスで最上の眠りを確保できそうだよ。多分。

 お義父さまはおデブではないけど身体が大きいからスプリングが壊れちゃったりしないかな。強度実験は絶対いるね。


 一通り鍛治師さんとお話をして今回仕上げて来たスプリングでベッドマットレスを作る事を決めてから、お義父さまの抱っこで本邸に戻った。

 食堂の近くでルルゥが大きな声で怒ってる。
「このアホモニパル!!待て~」

 マックスたちも一緒になってポムを追いかけてる。
 ポムは頬とお腹を限界までぷっくりさせて俊敏に動いてる。逃げてるんじゃなくて追手を交わして食堂から離れない範囲で移動。

 何気にすごいぞ。
 首輪とリード外したん?

「ははは、ルルゥ、申し訳けありませんね」
「キュ!!キュキュキュッ!」

 スッとハロルドがやって来ていきなりポムを鷲掴みした。早い!動作見えなかったよ。

「さて、私の仕事中に脱走した上食糧庫を荒らしましたね?」

 ふおぉ!ハロルドの後ろにダークなモヤモヤが!いつもニコニコ温和なハロルドなのに!いや今も笑ってるんだけど、なんか怖いよ。

「そんなに貯めたなら今夜のご飯はもう終了で良いですね?」

 鳥籠のような?籠にポムをイン。
 ポムは目をクルクルウルウルさせて
「ンキュ!キュキュウーーー」
っと哀れっぽく鳴いてる。

「うーむ、可哀想じゃのう。しかし躾は大事じゃ」

 激甘なお義父さまでもハロルドのあの笑顔を見ちゃうと救えないようだ。

「大旦那さま、あまりに物覚えが悪い場合は馬屋に専用部屋を用意して隔離することにしましょう」

 お義父さまに言うように見せつつ、ポムを脅すハロルド。スパルタお父さんだったよ。

















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