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一章

55話 ケーキ入刀〜ってやってみたかっただけです。

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 オジサマが口元に指やって『しー』ってしてる。綺麗な外見とのギャップが!

「何でいらっしゃってるんですか?」
 小声でジュリアスさまが質問すると
「だって斡旋した手前気になるじゃないか」
ってキャラメルナッツタルトを美味しそうに食べてる。

 あんな堂々と素顔でいるのになぜ誰も騒がないんだろう?
 不思議に思っていたら『認識阻害を使ってるんだよ』ってセリウスさまが教えてくれた。私たちは声を掛けられたから認識出来てるんだって。便利だな~でもどこにでも忍べちゃうのかな?怖~い。やば~い。

「リーシャ嬢、こちらの暮らしはどうかな?大丈夫かい?」
 オジサマが優しく聞いてくれる。
「はい!とっても良くしてもらえて、毎日幸せです!ありがとうございます!!」
「そうか!今後も何かあったら頼ってくれよ」
 イケオジ!!王様優しいよぅ!
「しかしここの料理は美味しいな!ここに住んじゃいたいよ」
 ニコニコとハンバーガーを手に取る。

「お土産にいくらか持って帰りますか?」
「おや?良いのかい?ありがたいな」
 グレーデン一家程じゃないけど流し込むように綺麗に無くなって行く食べ物。

「お帰りになる時にお渡ししますね」
「可愛いなぁ、やっぱウチの嫁に欲しかったなー、年の合う子が居なかったんだよね~残念」
「ウチはラッキーだったですよ~良い子が来てくれて」
 セリウスさまが褒めてくれた~♫

「リーシャはもう渡しませんよ」
 ジュリアスさまが後ろから抱きしめてくれてむっちゃびっくり!!人前です!

「まぁリーシャ嬢が幸せなんだったら良いよ。助けるのが遅くてごめんね」

 オジサマは少し視線を落として呟いた。

「あの家は嫌いでしたけど、今に至るための試練だったと思うことにします。だからもう大丈夫なんです!」

 そう言ったらジュリアスさまとセリウスさまが優しく頭撫でてくれた。

「そうか」

 オジサマも笑ってくれたのでこの話はお終い。

 ちょうどルルゥが料理に追加を指示してるのでお土産の用意をお願い。

 そして焼き具合も膨らみ具合も苦労したクロカンブッシュが到着したのでこっそりケーキ入刀をするのだ。
 この世界には無いらしいので。
 背の高いケーキは無理っぽかったから小分けしやすいクロカンブッシュ。キャラメルかけてありまーす!美味しそう~!

 ジュリアスさまと二人手を取り合ってナイフを隙間に刺す。愛の共同作業~何ちゃって。
 それから一つとってジュリアスさまにアーン!ジュリアスさまが普段は少し厳つめなのに優しげな目で笑ってくれて可愛い。私の口にも一つ。美味しい!幸せ♫

 オジサマとセリウスさまが食べたそうにしているから少しずつ取り分ける。
 お二人ともお顔が崩れたよ。美形さんがへにょーんってなってるの面白い。

 別のテーブルでも置かれてるのでみんなが楽しそうで嬉しい。お義母さまやお義父さまがそれぞれ美味しい食べ方とかレクチャーしてる。

 もちろんお酒も振る舞われてる。いーな。

 オジサマは今夜家にお泊まりらしい。お仕事いいのかな。って言うか護衛っぽい人もいなくない?

 私たちは他の人達ともお話ししなくちゃなのでお義父さまの側に行くことにした。
 オジサマが紛れてるのバレると大変だし!

「おお、リーシャ。こちらはハインツ・ランダー伯爵、隣のランダー領を治めておる。そちらは娘さんのレイン嬢」

 お義父さまに紹介されたランダー伯爵は、キリッとした渋めのおじさまです。
 レインさまはハッキリした顔立ちのお胸がバァーンなダイナマイトなボディの美人さん。・・・柔らかそう。

「初めまして、この度グレーデン家に嫁いで参りました、リーシャと申します。よろしくお願いいたします」
 伯爵はにこにこと相槌を打つ感じで、
「可愛らしいお嫁さんだね、ジュリアスくん、幸せものだな!」
ってジュリアスさまの肩を叩く。

「・・・子供じゃないの」

 ん?何か呟かれましたか?

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