ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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一章

52話 お義母さまと特別な夜。

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「いよいよ明日ねぇ♫」
 お義母さまはご機嫌さんで私をぎゅぎゅうと抱きしめてくれる。

「本当は母と娘の思い出を語るんだけど、私たちまだ半年だからね、あなたのお祖母様と両親のお話を少しね。年代が違うからほんの少ししかないんだけど・・・」

「あなたのお祖母様は学校で教鞭をとっていたこともあって社交界ではいつも元生徒に囲まれていたわ。でも厳しいって聞いたわね~」

 お義母さまはずっと私の髪やほっぺを撫で回してます。

「カイザールさまは変わり者でナタリアさまはしっかり者だったからお二人がくっついた時は社交界で騒ついたわね。カイザールさまが追い回してたって話よ♡」

 父のことは全くわからないからお母様をストーキングチックで口説いたとかウケる!

「さー、リーシャちゃんって閨教育は受けた?」
「・・・受けて無いです」

 ディープな話キター!

「そうよねーまぁ基本は旦那さまにお任せで良いんだけど、ここらの殿方はあれが凶器だから自衛をせねばなりません。なれるまで香油やふのりは絶対使いましょうね。あと初夜で完全に致せなくても気にしてはダメよ。体を慣らして徐々にで良いんだからね」

 アレは凶器なんだ・・・。

「ジュリアスも今更ガッついたりはしないと思うけど痛すぎたらちゃんと止めるのよ」

 ガッつかれてみたいほうです!!

「ふふ、私は男の子ばっかりだったから娘を送り出すなんて役割は想像もしてなかったから物凄く嬉しいのよ♡しかもお迎えする姑でもあるわけだしラッキーだわ☆私はこれからはあなたのお母さまよ~」

「私も嬉しいです・・・」

 あのオレイユにいたなら、こんなに大事にされて愛情いっぱいな日々なんて想像も出来なかった。
 好きに行動して美味しいものも食べられて、孤独感を感じる隙間も無い日々があるなんてなんて、あの頃のリーシャなら絶対考えられなかったはず。

「おやすみ、私の可愛い娘・・・」

 お義母さまは私を胸元で抱きしめ寝付くまで頭を撫でてくださった。

 暖かくて幸せな気持ちでお義母さまの心音と温もりを感じながら眠りについた。


 私はその晩、懐かしく感じる景色の夢を見た。
 バラが咲き誇るお庭で柔らかく笑うお母様と顔は朧げだけど笑っている様子の男の人。
 その二人に向かって走っていく今より少し小さなリーシャ。

 リーシャの魂が親元に還ったのだと理解した。
 私がリーシャの前世なのか結局よくわからないけど、リーシャの心が救われたのなら良かったな。

(良かったね、リーシャ。もう寂しくない)


 そうして迎えた朝。

「おはよう、リーシャちゃん。今日は世界で一番幸せな花嫁さんになるのよ♡でもとっても大変だから頑張りましょうね」

 ジュリアスさまとおはようのキスとハグだけして。そのあと朝食。
 マダム・シフォンの方達がやってきてまずは教会まで行くためだけのドレスに着替えた。

 着替えとメイクが終わったあとにニーナが、
「おめでとうございます」
って言ってくれたので抱きついちゃった。

「今までありがとう。これからもよろしくね」

 ちょっと泣いちゃって、メイドさんたちが「あらあら」ってお直ししてくれたんだけど、みんな涙ぐんでて。優しい。

 玄関ホールまで降りていくと、家族みんな揃ってて、使用人さんたちも並んでて。



 私はジュリアスさまとともに馬車に乗り込んだのでした。



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