ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

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一章

50話 お祖父様と伯父様が来てくれたよ。あのハゲ親父は・・・!?

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 今日はマーベルハント伯爵と前伯爵が到着するそうで。
 正直会ったことがないんでピンとこないのだけど、お母様の家族だから興味はあります。
 隠し部屋にあったお母様の肖像画とスケッチをお渡ししたほうがいいかな?
 って言うか蔵書とか価値があるみたいだし、財産分与?遺産?的な感じで渡すべきものなのかも?

 お茶タイムに悩んでたらお義父さまに「どうしたんじゃ?」って心配されちゃったので聞いてみた。

「ふーむ。魔導書関係はおそらくナタリア夫人がお母君から受け継いだのじゃろうからマーベルハント家に返さずとも良いと思うんじゃ」

 一子相伝みたいな扱い?

「詳しくは伯爵らに聞けば良いであろうが、魔導師や魔術師は外に秘匿しておる内容が多くてなぁ。詳しくは知らんのじゃ」

 普通に魔導書貸しちゃた!やばいのかな?




「大旦那さま、リーシャさま、お客様が到着なさいました」

 お昼を食べて少し後に、ハロルドが知らせに来たので私はお義父さまに抱き上げられて玄関ホールに。
 お義母さまは侍女長とお式の後のお泊まり客について打ち合わせ中だったので、少し遅れて合流で。

 門から少し離れてるからちゃんとお迎えに間に合うのだ。門から玄関まで遠いのよねー。

「ようこそ、我がグレーデンへ。お久しぶりですな。マーベルハント翁、マーベルハント伯爵」

 お義父さまが大きな声でお出迎えです。
 流石に抱っこじゃないですよ!

 年配の方がお祖父様で、少し若い方が伯父様ってことね?

「お久しぶりですね。グレーデン元辺境伯殿。ご夫人も。お招き頂き感謝しております。リーシャ嬢、初めましてだね」

 辺境ではほぼ見かけない細身の綺麗系オジサマが懐かしいような傷ましいような何とも言い難い表情で私を見つめてる。
 お祖父様も切なそうにしてて、何かこちらまで落ち着かない感じ。

「さあさあ、まずはお茶でもしよう」

 お義父さまが誘導してくれたので、居間まで移動して。

 ハロルドとマリアとでお茶とケーキをセットしてくれるのを眺めて。流石に膝抱っこされずに済んで少しホッとしている。
 

 伯父様はよく見ると肖像画のお母様と似てる。一枚だけ在ったお祖母さまにも少し似てる気がする。
 お祖父様も細身で、几帳面そうかな?

 お茶で少し口を湿らせてから、お祖父様が謝罪をしてきた。

「今まで何もしてあげられず、すまなかったね」

 お母様が亡くなってから何度も引き取りの話をオレイユ家に申し出てくれていたらしい。
 ただ、外聞と打算からクソ親父が拒絶してて。
 親権は婚家が強いから強行することもできず、って状態で今まで。

「お祖父様達のせいじゃないです」
 そう言うとお祖父様は目頭を押さえちゃった。

「リーシャ嬢はもう成人しているから私が知っていることは全て伝えようと思う。大丈夫かな?」

 大丈夫じゃない可能性が・・・。
 知らずにいて後から問題があっても困るし。

「リーシャ嬢の父親はイダルンダではない。イダルンダの弟でカイダール・オレイユと言う者だ」

 ドゥギャーーーン!!!
 あのクソハゲデブ親父って父親じゃなかったのか!!!

「君が生まれた頃に行方不明になってて、マーベルハント家との繋がりが必要だとイダルンダの父親がナタリアとイダルンダを強制的に再婚させた。そうしなければリーシャ嬢はオレイユに取られただろうし。ただナタリアはカイダールを待ちたかったのもあったと思う。だからあの家に残ったのだろう」

 お話中にお義母さまが隣に移ってきて頭をギュッと引き寄せてくれる。

 私が知ってるお母様はあの男を全く近寄らせず、冷たい目で見てる人。
 愛人連れ込んでるからかと思っていたけど、そもそも夫婦関係じゃなかったのか~?

「お祖父様、お母様の肖像画は要りますか?あと魔導書とか愛用品とか」

「ナタリアの絵か、見たいな」

 私は一旦外に出てアイテムボックスから2枚のキャンバスとスケッチを取り出した。
 アラン達に持ってもらい部屋にもどった。

「これは・・・リーシャ嬢がもっていなさい」
「カイダールが描いた絵だ。両親の思い出のものだから持っていたほうがいい」

 父は絵を描く人だったんだ。

「あとこれを」

 スケッチを渡す。
 錬金術を使ってる時や寝顔、色々な場面を切り取って描いてあるので肖像画より身近に感じられる。

「ああ、よく描かれてるね。あの子の内面がより見てとれる」

 お祖父様は目を潤ませてスケッチを見ている。

「魔導書は魔導大国から嫁いで来られたお祖母様が才能を引き継いだナタリアに受け継いだものだ。マーベルハントの遺産ではないからリーシャ嬢が次の担い手に引き継いで行きなさい。魔導書や魔導具は在るべき場所に繋がっていくとお祖母様は言っていた」

 ほえー、そういうものなのか。

「まぁ我が家も魔導を学ぶ者、興味は尽きないがね、魔導書は持ち主を選ぶ。願わくば、読める機会が訪れると良いがね」

 教授達、普通に読んでるけど・・・。

 結局、お祖父様も伯父さまもお母様のスケッチを数枚受け取っただけになった。

 それからあとは、お義父さまとお義母さまとで色々話したいとのことで私は一旦お部屋に戻った。
 
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