ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
上 下
12 / 765
一章

11話 ジュリアスさまはちゃんとお話を聞いてくれる良い旦那さまのようです。

しおりを挟む
「・・だ・ぃじょ・ぶ・・・」

「ーー心配し・なぃ・・ょ」
 
「・・・ぁ・」

 眩い光の中で何も見えないけど女の子が話しかけてくる。
 暖かい。
 女の子の手を取りたいけど届かないの。
 
 ふぅと息を吐いて目を開けるとはじめての天井。大きなベッドに木のぬくもりを感じるウッド調のシックなお部屋。
「リーシャ、起こしちゃったか?」
 ジュリアスさまがベッドの端に腰を掛ける。サイドテーブルでお仕事してたっぽい。

「リーシャは体が弱ってるから疲れやすいみたいだな。王都からの移動で疲れたところにうちの親に付き合うのはしんどかったな」
 頭ぐりぐりされてる。

「リーシャは16歳の立派な成人だからきちんと話し合いをしていこうと思っている。まずは体の回復が一番だから食事や散歩が良いとおもうんだか何がしたい?」
「ジュリアスさまは私が料理するのは怒りますか?いろんな薬草や木の実で試したいことがあるんです!」
 フンスっと鼻息荒くなっちゃった。

「食にこだわるのは良い事だ。いろいろやってみて欲しいよ」
「野原で薬草採取したり森林で木を見たいんです。とにかくいろんな素材を生で見たい。」

 ジュリアスさまがニカって笑って
「湖が見たいとか花畑とかじゃないんだな」
 デートスポットかー?それもしたいかも。
「森林は体力付かないとダメだけど野原くらいならいいよ。護衛もいるしね」
 護衛付きはちょっと慣れるまで困りそう。

「外を歩くのにズボンがいいのでお古の生地が欲しいです。あと革製のバッグ作りたいので端材が欲しいです!」

 いきなり希望をたくさん出してしまった。
 ジュリアスさまはニコニコしてくれてるけど大丈夫かな。

「明日仕立て屋が来るから作ってもらったら?生地も新品でいいんだよ」
「ちょっと使い込んだ生地のが動きやすいです。お試しに作って大丈夫そうでしたら作ってもらいましょう」
 楽しそうにしているとジュリアスさまがまた膝抱っこしてきた!

「リーシャはこの結婚どう思ってる?いや?」
「嫌じゃないしありがたいしジュリアスさまは優しいし、でも迷惑かけてそうで申し訳ないの」
 本音で話そう。

「まぁ体格よすぎの俺と痩せすぎの子ではいろいろ問題があるよね。そこは追々一緒に解決しよう。リーシャには錬金術や魔法具、魔法陣の資質があるようだけどなぜ親は君にそれをさせなかった?その才能は一族の繁栄に貢献できうるものだ」
 そうなんだ?

「私は目立ってはいけなかった。父の怒りを買わないように、義姉より秀でていけない。あとは亡くなった母が父に能力を知らせては行けないと言ってました」

 リーシャの記憶の中を必死に探る。
 母は父とはほとんど関わっていなかったし、母の仕事道具や実家からだと言う荷物は全部隠し部屋に入れていた。

 父もほとんど義母たちのところに入り浸っていたから母に興味が無かった気がする。

 母が亡くなる8歳までは母にいろいろ教わっていて父のことはたまに帰ってきてはイライラをブツけてくる嫌な人くらいの認識だった。
 リーシャの中では父がなぜだったのかわからない。ただ母と似たリーシャを受け入れたくはなかったんだろうなって思う。

 ジュリアスさまは少し考え込んでから
「家はもうそこそこ繁栄してるからリーシャは作りたいもの、やりたいこと、試したいこと好きにやってやりたく無いことはやらなくていいからな」
 頭をぽんぽんしてくれた。男前か。

「ジュリアスさま、こんな小さい嫁が来ちゃって大丈夫でしたか?」
 私に嫌かって聞いてくれたから逆に質問。
 辺境伯で騎士でマッチョでモテそうなのにいきなり幼女趣味とか騒がれそうな嫁を押し付けられて。

「うーん、まず俺が結婚してないのは貴族だからそれなりの家格の娘でないと王家から許可が出ない。見合い話があってもここが辺境でなかなか相手が来てくれない。夜会とかで相手が気に入ってくれてもここを見に来て帰るってことがあってね。無理に来てもらっても嬉しく無いし」

 ここ田舎だけど街もあるしいい感じなのにお貴族さまのご令嬢は無理なんだね。

「まぁ弟たちや従兄弟たちもいるから何かあっても継いでもらえるし結婚は出来ればいいなってくらいだったんだ」
 めんどくさくなっちゃったんだ!
 でもセリウスさまもクラウスさまも独身!!

「だからね、可愛いお嫁さんが来てくれて嬉しいよ。君はここが嫌じゃ無いみたいだしあの両親のことも受け入れてくれてる。最高のお嫁さんだよね」
 お膝の上でむっちゃ甘やかしてくれるワイルドイケメン。耳のそばで良い声で話してくれて超恥ずかしい!

「ちゃんとした関係はまだ先だけど婚約期間が無かったからゆっくりお互いを知っていこうな」

 何もかもカッコいい!

 そうして私は筋肉腕枕で大きな手を添えられて温かな夜を過ごしましたとさ。

 って寝れるかー!って思ったもののこの体が睡眠を欲していたのでドキドキしながら寝落ちした。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

処理中です...