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 お父様の急な結婚話にフリーズする私と何故だか笑顔で手を取り合う両家の母たち。
 お父様は自分の思い付きにいい仕事した時のお顔でうんうんと。いや、吊り目の男前が可愛い感じ出してきても。
 
「あー、うちにはありがたい提案だがクリスタニア嬢はグランディスと結婚でも良いのか?」
 おじさまは困惑した感じなので私も少し考えてみる。
 マークのことは婚約時にはおばさまに似た感じで可愛らしいし、アルネス家の方達はみんな優しいから特に考えず親の提案を受け入れたのです。

 我が家は当時まだ弟が産まれていなくて将来的に私が継ぐかどうかは確定してなくて。女性の後継は兄弟が居なければ認められているのですがどうしても舐められがちですし、爵位や財産を狙うものが常に張り付いてきますから。 
 両親がなるべく重責を私に任せたくないとギリギリまで悩んでくれていたのはわかっているので特に希望がない事柄に関しては流れに任せてきました。   
 今は可愛い天使である弟に策謀渦巻く世界での攻防を任せるのは可哀想だと思いますが貴族に生まれて継ぐものや財産がないのは生きていきにくいので家族として支えていくつもりで弟の成人までに家を守り、弟が爵位を継いだのちには父からお持ちの伯爵位を譲ってもらい領地を潤わせたら良いと思っていました。

 結婚相手を選ぶのは私にとって重要なことではなかったのです。父と母は仲が良いですし、おじさまとおばさまも良い関係に思います。
 ですからマークとも共にいるうちにそうなっていければ良いのだと思っていましたが、結婚前に浮気されて婚約破棄になるのは想定外でしたわ。
 婚約してからのプレゼントや茶会などのパートナーは適度にしてくれてましたし、お会いした時は1人でずっとお話しされているの元気ですわねーと思いながら聞いておりました。
 ・・・よく考えたらこれは私が歩み寄りが少なかったことになるのかしら?
 自分の思考に夢中になっていたら視線を感じてそちらを見るとグランディス様の感情の読めない瞳とかち合いました。
 グランディス様は私より5つ歳が上です。とても美麗で引く手数多なはずなのですがご婚約されないのは領地の災害が重なって仕事が休めない状況や贅沢がさせてあげられないのはお相手に申し訳ないだろうと打診を全て断ってきたとのお噂です。
 ん?ではアルネス領からグランディス様を取り上げるのは無理じゃないかしら?

 それにグランディス様と私は見た目がかわいさゼロで黒髪同士だから結婚して子が生まれたら一家全員がお父様寄りで耽美になりますわー!私、子供はできれば弟のような感じが好み!お父様似の子・・・でも小さい時は可愛いかしら?子沢山はちょっと自信ないですけどありかしら。

 「サリオンおじさまとグランディス様が良いなら私は良いですわ」

 グランディス様は目をカッと見開いてそのまま固まってしまいましたわ。
 

 

 
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