消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません

紫楼

文字の大きさ
上 下
1 / 13

姉さんの秘書が来た

しおりを挟む
 俺、相馬舜(ソウマシュン)は、木造アパートの2階1Kに住んでいる、どこにでもいる大学生だ。
 昨年に母を亡くし、わずかな貯金とそこそこ出た保険で暮らし、節約しつつ、なんとなく大学に通っている。
 バイトはたまに。友達のバイト先にヘルプで入る感じだ。

 父はいるにはいるが子供の頃に離婚して疎遠になったまま。
 どんな人だったか母に聞くと「インディ・ジ○ーンズ?」とか意味がわからんこと言ってた。
 母とは再婚で母違いの姉がいたが母親に引き取られたらしく、子供の頃に数回あっただけ。あんまり覚えていない。

 祖父祖母もすでに亡く、田舎に屋敷があるにはあるが築百年いってるとかいってないとからしくて。いらねって言いたいけど、売るにも名義変更とか税金とか面倒だから、今は放置している。
 いずれ掃除に行かないとかな。

 さて、学校さ行くべ。

 二限からなのでゆっくり起きたわ。

 扉を開けて、古い簡易な鍵で施錠。盗まれるような物が無いから安アパートでも平気だ。へへ。

 アパートから出て、なんか見慣れない外車が真っ赤なの停まってる。
 うち周りの家に来るには不釣り合い高級カーだよ。

「相馬舜さんですか?」
 外車を通り過ぎようとしたら、綺麗だけど冷たそうな雰囲気のお姉さんに声をかけられた。
 ザ・秘書って感じのタイトミニなスーツのお姉さん。
「は・・・?」
 俺に用事なの??
 車の置き場がないと言うか、この辺りのコインパーキングに入れたくないからって車に詰め込まれてしまった。
 強引!!
 高級な車の座席はなんとも言えないね、軽しか乗ったことねえわ。
 乗りにくい。腰埋まる。

「私は速水響子と申します。寿蘭(ことぶきらん)さまの秘書を務めさせていただいております」
 やっぱ秘書!!でも秘書がスーパカーとかすっげぇな。
 運転しながら話を聞かせてくる。

「寿・・・?」
「あなたの姉君が出先で消息を絶っておりますて」
 姉さん!!秘書いるってどんなだ。
 そして行方不明ってなんだ。

 秘書さんが銀縁メガネをクイってした。

「すでに二ヶ月が経っておりますので、蘭さまのお家や資産を仮に預かっていただきたいとお願いにあがりました」

 家や資産?

「蘭さまはご血縁のある母君は亡くなってますし、親戚筋とは縁を切っておりますので」
「んー?親父は?」
 親父の死は聞いてないぞ。知らされてないだけ?
「大城戸さまは、数年前にトルコに向かわれると連絡があったきりです」
 親父も消息不明!?
 秘書さんが吐き捨てるように言ったので仲は良くないのかな?

「大城戸さまも蘭さまとは縁を切っておられますので、現在血縁は相馬さまだけとなります」
「俺もう十年以上会ってないけど?」
 って言うか家族の縁が薄いなぁ。

「親父、トルコに何しにいったん?」
「母君に父君のことお聞きじゃなかったんですか?」
「インディみたいな人って」
 秘書さん、俺をチラッと横見してから、
「はぁ、まぁそう言うことです。ハリ○ンほどかっこよくないですけど?」
 ん??
「え・・・トレジャーハンター的な?」
 テーテテテーテーテテテテテー。

「そうですね。ただ何も見つかったことはないですし。蘭さまの懐を当てにしてたようなカスです」
 何そのギャンブラー?

「マジか。で、姉さんはなんで?」
 出先でってどこだろう?

「・・・それは屋敷に着いてから」
「え?屋敷って?俺大学行く途中だし、家には帰りたいんだけど」
「今日は休んでいただきます。家には必要な物があるなら後日運ばせます」

 何この人、勝手に人の用事を変えてるの!?
 しかも荷物運ばせるって??

「あのお住まいは賃貸ですよね?引き払ってください。蘭さまが戻られましたらマンションでも一軒家でもお礼として差し上げますんで」

 ハァ??

「とにかく今は屋敷に来ていただきます」

 めんどくさそうに言われて何かスプレーをかけられた。
 なんでっ!犯罪に巻き込まれた!?


 一瞬で意識が落ちた後、次に目を開けてみれば、なんかすごい広い庭園を車で通過して、アニメとで見るようなおっきい洋館?プチ貴族の屋敷みたいな家に到着した。

 日本でこんな広い家持てるとか姉さん一体何者!?

 木造アパートの俺と大豪邸の姉って落差ひどすぎんか?
 神よ!!

「ボケッとしてないで降りてください」

 なんなの!この秘書!!
 
 ドS秘書と何かが始まる物語なの!?

 チェンジ!!!
 どうせなら優しいメイドとかにしてぇ!!!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。 エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...