【完結】マァマァ夫人のおかげです

紫楼

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番外編 1 レニーside

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 先日、私の親友のアミリがイスト伯爵と婚姻式を迎えた。
 これで私もちょっと肩の荷が降りたわ。

 アミリと私は学園で知り合った。
 お互いに貴族としては下級で、次女三女って言う嫁ぎ先次第で平民になるしかない程度の家の娘。

 運良く良い方と婚約できる場合は無くはないけど、家に力が無いと旨みがないもの。

 手に職を持ってそれなりの暮らしをするって言う目標がある子が揃っているのが淑女科の侍女コース。

 似たような境遇なので仲良くなるかなれないかは両極端。
 良い職場に就くためにはそれなりの成績が必要だから、足を引っ張りたいって子も当然いるわけ。

 そんな底意地が悪い子が選ばれるわけ無いと思ってた私はあの頃若かったわね。

 多少は腹黒い方が使い勝手がいいと思うタイプもいるのよね。媚びるのが上手くて煽てたりも上手い。

 真面目が損するの納得いかなくない??

 そんな損するタイプの一等賞がアミリ。

 なぜそこまでってくらいクソ真面目。

 同じ班になった時は有難い存在だった。

 話してみれば、気さくで気も利くし、居心地の良い子で。

 美人で博識って、もう彼女が中位の名家出身だったら、高位貴族の夫人にと引くてあまただと思うわ。

 でもなぜか自己評価が低い。

 口には出さないけど、「私なんか」って思ってる。控えめにしてたのはそう言う意味かって。

 仲良くなって、彼女に婚約者がいることを知った。下位貴族同士の親が良く、次男次女で貴族的価値はないけれど、アミリの人柄を気に入った相手方の両親からの申し込みで纏まった話らしい。
「でもあまり気が合わないの」
 寂しげにこぼす言葉には恋愛の響きはなかった。

 結局、アミリの婚約者は、伯爵家だかの長女の婿として望まれたことで婚約解消を申し出た。
 流石に爵位のない婚姻より、婿と言っても貴族のままいられる婚姻を優先するのは仕方ない。
 相手方とその伯爵家から慰謝料と、ヴィネア家の家業へ援助で話は終わったらしい。
 慰謝料はアミリ本人が受け取ったと言うので、両親はちゃんと娘のために動いた方だと思う。

 私たちは順当に進級して、王宮侍女となった。
 意地の悪い子たちは持ち前の接待力で高位貴族の侍女になったり、介護を期待されて後妻になったり。
 雇う側も使な子を選ぶことに長けてるのね。

 王宮侍女になるには、従順であること、口が硬いこと、問題行動がないこと、それなりに知識があること、なんて色々項目はあるけど、当然コネや裏口もある。
 わかりやすく浮くから仲間には遠巻きにされちゃうから、雇われたことが幸せかはわからないわ。

 アメリにわっかりやすく妬む子たちは、男探し・・・失礼。婚約者探しが目的の子ね。

 メイドなんかは、学力が足りなかった子、学園に通う学費が出せなかったけど、それなりの試験と面接を受かった子になるんだけど。

 王宮に仕官する騎士や文官狙いまだマシで、高位貴族の妾や王子に身染められたいなんて夢見がちな子がいたりよ。
 面接官もわかってるから、多少は通すの。
 なぜって、そういった子をもて遊びたい男たちもいるからね。暗黙の了解みたいなのがあったみたい。

 今はマァマァ夫人がいるから、昔ほどオイタが出来ないから余程の目に余る子は雇われなくなってるそうよ。

 まぁ、そんな目的を持ったおバカな子が、アミリ含めて他の美人に嫌がらせしてたのよ。

 アミリはとにかく受け身だ。
 家では三人兄妹の三女という立場で、あまり周りに構われてなかったみたい。よくも悪くもない間柄で、忙しい両親の邪魔にならないように、姉や兄たちとは普通の仲だと言うけど、末っ子にしては甘やかされずいたようだ。
 婚約者にも、恋してなかったとはいえ、選ばれなかったって言う傷が深かったのかも。


 私たちは王宮に勤めて二年目で、寮が同室になった。
 その時には根負けしたのってあのフレド・マークスって言うクソ男と付き合い出してた。

 王宮勤めの騎士って言うのは、とにかくモテる。モテるけど、嫡男が就くことは少ないので、騎士爵に叙されるような功績がない男は貴族子女には結婚対象には見られない。
 青田買いなんて子もいるけどね。

 私は、好みの男らしい顔と私にゾッコンで尻に敷かれてもいいって言う騎士見習いだった彼を学園時代に選んだわ。爵位なんか面倒でいらない。私もそれなりに稼ぐし、ほどほどの生活をしたら良いもの。


 話を戻すと、平民や下位貴族の貧乏な家庭だと高給な騎士は憧れの対象だから、遊び放題だ。

 あのマークス卿も平民と付き合ってたって噂があった。
 
「なんかしつこくって。毎日声をかけてくれるうちにそんなに言うならって」

 ほっんと!!アミリってば、自己評価が低いったら。

 アミリに声をかけたい男性の中でマシそうなのは他にいたのに。
 声をかける勇気がないから、チャラ男が勝っちゃうんだ!!

 とはいえ、見た目はそこそこで、騎士団の中では能力はマシな方。

 心配だけど、アミリが選んだ以上はそれ以上言えない。
 婚約前に別れたらって思ったけど、マークス家はアミリを気に入っちゃった。
 本人が預かり知らないところでモテるアミリを繋ぎ止めるためにサクサクと婚約しちゃった。

 旦那がウンコでも嫁ぎ先の両親がマシならまだ良いかなって納得してたら、ウンコ過ぎて最悪だった。

 本人に落ち度がなくても婚約が二回もダメになったとなるとアミリの価値がガクッと落ちる。

「仕事に生きるわ」

 なんて言い出しちゃったじゃない。

 下手したら、アミリを下に見てとんでもない縁談が来ちゃうかもしれないと心配してたら、アミリをうっとり見てる男の中で、地位的にも顔的にも上玉が私に接触してきた。


 あー・・・、これはまためんどくさいのが釣れたなぁ。

 





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 有難いことに続きやマァム夫人の物語が気になるとお声をいただきましたので少し考えてました。
 とりあえず
 レニー側のお話を書いてみました。

 レニー側が三話、イスト卿が二話くらい??書いてみようと再開します。

 マァム夫人の人生が気になってる方もいらしたので、少し設定を煮詰めてから、別の物語として書いてみようと思っています。

 その時はこちらにタイトルでご案内入れますね。

 マァマァ夫人の幼少期から結婚後くらいまでが書けると良いかな。


 十話までのお気に入り、エール、良いね、ありがとうございました。
 私の書いた話の中では反応をいただけるのが早くて読んでもらえる実感が持てて嬉しかったです。

 アミリの恋愛としては薄すぎたので、別の物語ではもう少し恋愛が描けるようにしたいな。


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