11 / 16
番外編 1 レニーside
しおりを挟む
先日、私の親友のアミリがイスト伯爵と婚姻式を迎えた。
これで私もちょっと肩の荷が降りたわ。
アミリと私は学園で知り合った。
お互いに貴族としては下級で、次女三女って言う嫁ぎ先次第で平民になるしかない程度の家の娘。
運良く良い方と婚約できる場合は無くはないけど、家に力が無いと旨みがないもの。
手に職を持ってそれなりの暮らしをするって言う目標がある子が揃っているのが淑女科の侍女コース。
似たような境遇なので仲良くなるかなれないかは両極端。
良い職場に就くためにはそれなりの成績が必要だから、足を引っ張りたいって子も当然いるわけ。
そんな底意地が悪い子が選ばれるわけ無いと思ってた私はあの頃若かったわね。
多少は腹黒い方が使い勝手がいいと思うタイプもいるのよね。媚びるのが上手くて煽てたりも上手い。
真面目が損するの納得いかなくない??
そんな損するタイプの一等賞がアミリ。
なぜそこまでってくらいクソ真面目。
同じ班になった時は有難い存在だった。
話してみれば、気さくで気も利くし、居心地の良い子で。
美人で博識って、もう彼女が中位の名家出身だったら、高位貴族の夫人にと引くてあまただと思うわ。
でもなぜか自己評価が低い。
口には出さないけど、「私なんか」って思ってる。控えめにしてたのはそう言う意味かって。
仲良くなって、彼女に婚約者がいることを知った。下位貴族同士の親が良く、次男次女で貴族的価値はないけれど、アミリの人柄を気に入った相手方の両親からの申し込みで纏まった話らしい。
「でもあまり気が合わないの」
寂しげにこぼす言葉には恋愛の響きはなかった。
結局、アミリの婚約者は、伯爵家だかの長女の婿として望まれたことで婚約解消を申し出た。
流石に爵位のない婚姻より、婿と言っても貴族のままいられる婚姻を優先するのは仕方ない。
相手方とその伯爵家から慰謝料と、ヴィネア家の家業へ援助で話は終わったらしい。
慰謝料はアミリ本人が受け取ったと言うので、両親はちゃんと娘のために動いた方だと思う。
私たちは順当に進級して、王宮侍女となった。
意地の悪い子たちは持ち前の接待力で高位貴族の侍女になったり、介護を期待されて後妻になったり。
雇う側も使えそうな子を選ぶことに長けてるのね。
王宮侍女になるには、従順であること、口が硬いこと、問題行動がないこと、それなりに知識があること、なんて色々項目はあるけど、当然コネや裏口もある。
わかりやすく浮くから仲間には遠巻きにされちゃうから、雇われたことが幸せかはわからないわ。
アメリにわっかりやすく妬む子たちは、男探し・・・失礼。婚約者探しが目的の子ね。
メイドなんかは、学力が足りなかった子、学園に通う学費が出せなかったけど、それなりの試験と面接を受かった子になるんだけど。
王宮に仕官する騎士や文官狙いまだマシで、高位貴族の妾や王子に身染められたいなんて夢見がちな子がいたりよ。
面接官もわかってるから、多少は通すの。
なぜって、そういった子をもて遊びたい男たちもいるからね。暗黙の了解みたいなのがあったみたい。
今はマァマァ夫人がいるから、昔ほどオイタが出来ないから余程の目に余る子は雇われなくなってるそうよ。
まぁ、そんな目的を持ったおバカな子が、アミリ含めて他の美人に嫌がらせしてたのよ。
アミリはとにかく受け身だ。
家では三人兄妹の三女という立場で、あまり周りに構われてなかったみたい。よくも悪くもない間柄で、忙しい両親の邪魔にならないように、姉や兄たちとは普通の仲だと言うけど、末っ子にしては甘やかされずいたようだ。
婚約者にも、恋してなかったとはいえ、選ばれなかったって言う傷が深かったのかも。
私たちは王宮に勤めて二年目で、寮が同室になった。
その時には根負けしたのってあのフレド・マークスって言うクソ男と付き合い出してた。
王宮勤めの騎士って言うのは、とにかくモテる。モテるけど、嫡男が就くことは少ないので、騎士爵に叙されるような功績がない男は貴族子女には結婚対象には見られない。
青田買いなんて子もいるけどね。
私は、好みの男らしい顔と私にゾッコンで尻に敷かれてもいいって言う騎士見習いだった彼を学園時代に選んだわ。爵位なんか面倒でいらない。私もそれなりに稼ぐし、ほどほどの生活をしたら良いもの。
話を戻すと、平民や下位貴族の貧乏な家庭だと高給な騎士は憧れの対象だから、遊び放題だ。
あのマークス卿も平民と付き合ってたって噂があった。
「なんかしつこくって。毎日声をかけてくれるうちにそんなに言うならって」
ほっんと!!アミリってば、自己評価が低いったら。
アミリに声をかけたい男性の中でマシそうなのは他にいたのに。
声をかける勇気がないから、チャラ男が勝っちゃうんだ!!
とはいえ、見た目はそこそこで、騎士団の中では能力はマシな方。
心配だけど、アミリが選んだ以上はそれ以上言えない。
婚約前に別れたらって思ったけど、マークス家はアミリを気に入っちゃった。
本人が預かり知らないところでモテるアミリを繋ぎ止めるためにサクサクと婚約しちゃった。
旦那がウンコでも嫁ぎ先の両親がマシならまだ良いかなって納得してたら、ウンコ過ぎて最悪だった。
本人に落ち度がなくても婚約が二回もダメになったとなるとアミリの価値がガクッと落ちる。
「仕事に生きるわ」
なんて言い出しちゃったじゃない。
下手したら、アミリを下に見てとんでもない縁談が来ちゃうかもしれないと心配してたら、アミリをうっとり見てる男の中で、地位的にも顔的にも上玉が私に接触してきた。
あー・・・、これはまためんどくさいのが釣れたなぁ。
-------------
有難いことに続きやマァム夫人の物語が気になるとお声をいただきましたので少し考えてました。
とりあえず
レニー側のお話を書いてみました。
レニー側が三話、イスト卿が二話くらい??書いてみようと再開します。
マァム夫人の人生が気になってる方もいらしたので、少し設定を煮詰めてから、別の物語として書いてみようと思っています。
その時はこちらにタイトルでご案内入れますね。
マァマァ夫人の幼少期から結婚後くらいまでが書けると良いかな。
十話までのお気に入り、エール、良いね、ありがとうございました。
私の書いた話の中では反応をいただけるのが早くて読んでもらえる実感が持てて嬉しかったです。
アミリの恋愛としては薄すぎたので、別の物語ではもう少し恋愛が描けるようにしたいな。
これで私もちょっと肩の荷が降りたわ。
アミリと私は学園で知り合った。
お互いに貴族としては下級で、次女三女って言う嫁ぎ先次第で平民になるしかない程度の家の娘。
運良く良い方と婚約できる場合は無くはないけど、家に力が無いと旨みがないもの。
手に職を持ってそれなりの暮らしをするって言う目標がある子が揃っているのが淑女科の侍女コース。
似たような境遇なので仲良くなるかなれないかは両極端。
良い職場に就くためにはそれなりの成績が必要だから、足を引っ張りたいって子も当然いるわけ。
そんな底意地が悪い子が選ばれるわけ無いと思ってた私はあの頃若かったわね。
多少は腹黒い方が使い勝手がいいと思うタイプもいるのよね。媚びるのが上手くて煽てたりも上手い。
真面目が損するの納得いかなくない??
そんな損するタイプの一等賞がアミリ。
なぜそこまでってくらいクソ真面目。
同じ班になった時は有難い存在だった。
話してみれば、気さくで気も利くし、居心地の良い子で。
美人で博識って、もう彼女が中位の名家出身だったら、高位貴族の夫人にと引くてあまただと思うわ。
でもなぜか自己評価が低い。
口には出さないけど、「私なんか」って思ってる。控えめにしてたのはそう言う意味かって。
仲良くなって、彼女に婚約者がいることを知った。下位貴族同士の親が良く、次男次女で貴族的価値はないけれど、アミリの人柄を気に入った相手方の両親からの申し込みで纏まった話らしい。
「でもあまり気が合わないの」
寂しげにこぼす言葉には恋愛の響きはなかった。
結局、アミリの婚約者は、伯爵家だかの長女の婿として望まれたことで婚約解消を申し出た。
流石に爵位のない婚姻より、婿と言っても貴族のままいられる婚姻を優先するのは仕方ない。
相手方とその伯爵家から慰謝料と、ヴィネア家の家業へ援助で話は終わったらしい。
慰謝料はアミリ本人が受け取ったと言うので、両親はちゃんと娘のために動いた方だと思う。
私たちは順当に進級して、王宮侍女となった。
意地の悪い子たちは持ち前の接待力で高位貴族の侍女になったり、介護を期待されて後妻になったり。
雇う側も使えそうな子を選ぶことに長けてるのね。
王宮侍女になるには、従順であること、口が硬いこと、問題行動がないこと、それなりに知識があること、なんて色々項目はあるけど、当然コネや裏口もある。
わかりやすく浮くから仲間には遠巻きにされちゃうから、雇われたことが幸せかはわからないわ。
アメリにわっかりやすく妬む子たちは、男探し・・・失礼。婚約者探しが目的の子ね。
メイドなんかは、学力が足りなかった子、学園に通う学費が出せなかったけど、それなりの試験と面接を受かった子になるんだけど。
王宮に仕官する騎士や文官狙いまだマシで、高位貴族の妾や王子に身染められたいなんて夢見がちな子がいたりよ。
面接官もわかってるから、多少は通すの。
なぜって、そういった子をもて遊びたい男たちもいるからね。暗黙の了解みたいなのがあったみたい。
今はマァマァ夫人がいるから、昔ほどオイタが出来ないから余程の目に余る子は雇われなくなってるそうよ。
まぁ、そんな目的を持ったおバカな子が、アミリ含めて他の美人に嫌がらせしてたのよ。
アミリはとにかく受け身だ。
家では三人兄妹の三女という立場で、あまり周りに構われてなかったみたい。よくも悪くもない間柄で、忙しい両親の邪魔にならないように、姉や兄たちとは普通の仲だと言うけど、末っ子にしては甘やかされずいたようだ。
婚約者にも、恋してなかったとはいえ、選ばれなかったって言う傷が深かったのかも。
私たちは王宮に勤めて二年目で、寮が同室になった。
その時には根負けしたのってあのフレド・マークスって言うクソ男と付き合い出してた。
王宮勤めの騎士って言うのは、とにかくモテる。モテるけど、嫡男が就くことは少ないので、騎士爵に叙されるような功績がない男は貴族子女には結婚対象には見られない。
青田買いなんて子もいるけどね。
私は、好みの男らしい顔と私にゾッコンで尻に敷かれてもいいって言う騎士見習いだった彼を学園時代に選んだわ。爵位なんか面倒でいらない。私もそれなりに稼ぐし、ほどほどの生活をしたら良いもの。
話を戻すと、平民や下位貴族の貧乏な家庭だと高給な騎士は憧れの対象だから、遊び放題だ。
あのマークス卿も平民と付き合ってたって噂があった。
「なんかしつこくって。毎日声をかけてくれるうちにそんなに言うならって」
ほっんと!!アミリってば、自己評価が低いったら。
アミリに声をかけたい男性の中でマシそうなのは他にいたのに。
声をかける勇気がないから、チャラ男が勝っちゃうんだ!!
とはいえ、見た目はそこそこで、騎士団の中では能力はマシな方。
心配だけど、アミリが選んだ以上はそれ以上言えない。
婚約前に別れたらって思ったけど、マークス家はアミリを気に入っちゃった。
本人が預かり知らないところでモテるアミリを繋ぎ止めるためにサクサクと婚約しちゃった。
旦那がウンコでも嫁ぎ先の両親がマシならまだ良いかなって納得してたら、ウンコ過ぎて最悪だった。
本人に落ち度がなくても婚約が二回もダメになったとなるとアミリの価値がガクッと落ちる。
「仕事に生きるわ」
なんて言い出しちゃったじゃない。
下手したら、アミリを下に見てとんでもない縁談が来ちゃうかもしれないと心配してたら、アミリをうっとり見てる男の中で、地位的にも顔的にも上玉が私に接触してきた。
あー・・・、これはまためんどくさいのが釣れたなぁ。
-------------
有難いことに続きやマァム夫人の物語が気になるとお声をいただきましたので少し考えてました。
とりあえず
レニー側のお話を書いてみました。
レニー側が三話、イスト卿が二話くらい??書いてみようと再開します。
マァム夫人の人生が気になってる方もいらしたので、少し設定を煮詰めてから、別の物語として書いてみようと思っています。
その時はこちらにタイトルでご案内入れますね。
マァマァ夫人の幼少期から結婚後くらいまでが書けると良いかな。
十話までのお気に入り、エール、良いね、ありがとうございました。
私の書いた話の中では反応をいただけるのが早くて読んでもらえる実感が持てて嬉しかったです。
アミリの恋愛としては薄すぎたので、別の物語ではもう少し恋愛が描けるようにしたいな。
331
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
白い結婚のはずでしたが、いつの間にか選ぶ側になっていました
ふわふわ
恋愛
王太子アレクシオンとの婚約を、
「完璧すぎて可愛げがない」という理不尽な理由で破棄された
侯爵令嬢リオネッタ・ラーヴェンシュタイン。
涙を流しながらも、彼女の内心は静かだった。
――これで、ようやく“選ばれる人生”から解放される。
新たに提示されたのは、冷徹無比と名高い公爵アレスト・グラーフとの
白い結婚という契約。
干渉せず、縛られず、期待もしない――
それは、リオネッタにとって理想的な条件だった。
しかし、穏やかな日々の中で、
彼女は少しずつ気づいていく。
誰かに価値を決められる人生ではなく、
自分で選び、立ち、並ぶという生き方に。
一方、彼女を切り捨てた王太子と王城は、
静かに、しかし確実に崩れていく。
これは、派手な復讐ではない。
何も奪わず、すべてを手に入れた令嬢の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる