女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

文字の大きさ
上 下
97 / 112
一章

その頃、あのアンナ 1

しおりを挟む
「おお~成功だ!」
「・・・成功か?」

 天井高く神殿のような建物の中、アンナはポカーンと立っていた。


 アンナは婚約者との夕食の帰り道、
 (本当はSNSで話題になった最低でも十万円かかるお鮨屋に行きたかったんだけど、成くんが予約がどうとかアタシのマナーがどうとか言うからマジムカだったけど、予約を取ってくれてた創作フレンチも美味しかったな)
と満足しつつ、
 (もっと飲みたいって言ってるのに全然聞いてくれないんだもん。マジ使えないジジィ)
と不満タラタラでもあった。

 そんな気持ちを持ちつつ、彼、一ノ瀬成とタクシー待ちしてたら、足元から変な模様が現れてピッカーって光った。
 結構強めな光りに当てられ、ビックリしてたら横からもライトが急接近してきた。
 急ブレーキの物凄い音と周辺の人から悲鳴の中、
 (あ、死んじゃうかも。せっかくバカで使い勝手の良い男捕まえたのに、頑張り損じゃん)
と、アンナの目の前が暗くなったのだ。

 そして、白い空間で目が覚めると、派手な容貌の美女が、転生とか特典とか謝罪とかごちゃごちゃ話していた。
 話が長かったので「貴族がいる世界?婚約者より金持ちで使い勝手が良い男がいるなら」「そこに行けばモテるってことね?」などと超解釈をして「アンナ行きまーす♡イケメンまっててねぇ」と白い空間に浮かんでいた扉に飛び込んだ。


「何ここ」
「ヤバ!」
「コスプレっすか!」
「乙女ゲー?」

 アンナがぼんやり体験した事を思い出していると、不思議な服を着ている人たちに囲まれている、どう見ても見たことのある人をたちを見つけた。

 (あ、あの子達、私と成くん見てて「パパ活」「港区かよ」とか言ってたガキじゃん!
トー○キッズみたいな格好の男女とチャラ系ホストみたいなのがアンナを馬鹿にするのムカつく~生意気~)

「早く鑑定を!」
 偉そうな男が神父のような衣装の男とローブを羽織った男たちに命令を出す。

「まず、この銀髪に青色がまだらに入ってる男は、佐藤恋路(レンジ)、十八歳、スキルは剣士」
 男キッズの片割れ、佐藤は「微妙か」っとセルフツッコミをしていた。

「こちらの中途半端な黒髪の男は、山田雪之丞十(ゆきのじょう)、十九歳、スキルは魔法士」
 山田は、ダルダルの黒いパーカーと黒いサルエルパンツに安全ピンをたくさん付けた男なので、地雷系だとアンナは判断した。

「おい、あまり目立ったスキルじゃないな」
「失敗か」 

 白くて長いヒゲのお爺さんと偉そうな小太りの男は、何かと失礼なことを言ってるのでさすがに佐藤と山田も嫌な顔をしている。

「ゴホン、こちらの金髪に赤を混ぜている男は、板谷ミッチン琉稀弥(るきや)・・・十九歳、勇者」
 チャラい系ホストにしか見えない板谷が勇者だと言うのにはアニメの類に興味がないアンナにはピンと来ていない。

「「「「勇者!!!!」」」」
 広間の不思議な格好の人間たちが騒めく。

「えー、やっぱゲーム」
「ルキ、ミッチンって何だよ」
「セカンドネームかよ」
 山田と佐藤はミッチン琉稀弥という名前を知らなかったようで爆笑している。
「うるせー」

「ではそちらの少女が聖女・・・?」
 山田と佐藤のそばにいたミニスカ、網タイツ、厚底靴の紫髪、垂れ目メイクの少女に視線が集中する。

「鈴木茉莉衣那(まりぃな)、十八歳、精霊士」
「えー、勇者と一緒に転生した女が聖女はお約束だよな」
 山田と佐藤が「なんでやねん」と悶えてる中、大勢の人の視線がアンナに集まる。

「まさかこの年増が?」
「えー、パパ活女が聖女って嘘だろ」
「うそっ」
「え、聖女と勇者くっ付くの?ルッキー、おめ!」

 キッズたちがアンナを見て好き放題言いだしたので、アンナはブチ切れた。

「パパ活じゃないわよ!!結婚相手だったっつーの!!」
「えー、あのおじさんと?」
「金目当てはパパ活と何が違うのん」

 最近のガキとは仲良く出来ないわ、とふと見たら、偉そうなおっさんの横にイケメンがいた。
 アンナは聖女云々は良くわかってなかったけれど、あの地雷っぽい女より私の方が可愛いし、お金持ってそうな格好なのできっと自分を気にいるはずと思った。

 アンナは、年上の婚約者のために一応清楚めの茶色に染めた巻き髪、石原さとみや深田恭子を意識したモテメイク、ディナーだったので港区女子風衣装という雰囲気を目指した姿なので、地雷系の女よりは悪印象は持たれるはずはないと思った。

 普段のアンナはギャル系、ダーがゆきぽよちゃんや山本舞香が好きだからね。
 
 そんなわけで、スキルとやらは何だろうと発言を待っていた。

「小柳アンナ、二十八歳、ヒーラー」
 ヒーラーってなんだろうと首を傾げていたら山田が「ブハー!!何を癒してくれるんですかぁー?」とアンナを煽った。

「二十八歳!?行き遅れのババァではないか」
「はぁ!?」
「ヒーラーなら神殿にも魔導士協会にもおるではないか!!」
「聖女じゃないだと!?いや、聖女でなくて良かったのか!?」

 年齢を晒された挙句に、ババァと言われて阿鼻叫喚な状況にアンナはブチ切れた。
 この世界、貴族女性は十六歳から十九歳までが適齢期だと言う。最低な世界だとアンナは思った。

「来月結婚式だったのにこんなとこ連れてこられて変な事言われてマジ最悪なんだけどぉ!?」

「いや、勇者の目立たないってどんな異世界転生だよ」
「二十ハ歳のオバ、マジウケるんだけど」

 山田と佐藤はゲラゲラ笑い、鈴木は「ここパキれる?」とフードの男に聞いて、勇者は「帰っていい??」と困惑していた。

 こんな事なら、普通に成と結婚の方が良かったとアンナは後悔していた。


---------------

 いらないかな?と思いつつ、アンナの状況を小出しで出していこうかと。
 二話くらいをたまに挟む感じで、なぜアンナと結婚しようとしたか、ちょっと残念なアンナの異世界生活を書いてみます。

 いらないって言われたら、やめて本筋のみに日和るかも。


 いつもお気に入り、エール、良いね!ありがとうございます。やる気になります!!

 今更ですが、あらすじに書いてる通り、喫煙、飲酒に誘いたい意図はありません。ファンタジーの世界でダラシなくもカッコいいオッさんを楽しんで書きたい、そして楽しんで頂けると嬉しいと言う気持ちです。

 正直もっと嫌われて読んでもらえないと思っていたので、不思議ではありますが、ヤニ臭いオッさんキャラいてもいいんだと思って書けるとこまで書いていきたいです。

しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

処理中です...