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一章
中間管理職は悲しい・・・
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誘拐事件、ダンジョン置き去り、賭博と続いた事後処理、報告書の山に泣くギルマス。
書類仕事は部下任せかと思えば、きちんとやってるんだ。
ポルドスの冒険者組合のトップでも、国、世界の冒険者組合の長がいるわけで。
ポルドス領の領主リューラス侯爵、国王への報告はギルマスがきっちり仕上げないとってな。
丸投げしても最終確認は自分でしないと怖いもんな。俺の上司は確認しないマンだったぞぅ。
「おう、座ってまっててくれ」
待ってる間に秘書がフルーツのワイン出してくれた。
しばらく待つとギルマス・アントスは眉間を揉みながら俺の前のソファにドガッと座った。
「老体には堪える」
いや自分を年寄りとか思ってないタイプだろうって突っ込んでいいものか。
「〈屋根裏の小人〉の二人は犯罪奴隷落ちに決定だ。生かしておくのも無駄だと思うが死は解放になっちまうからな」
奴隷がいるんだーと嫌な気分になるが、犯罪者だけ。
牢に入れて生かすのは税金の無駄で鉱山送り、治験、娼館など罪の重さや罰金の値段で行き先が決まるんだと。ブランの元仲間は他二人も死なせてるので、本来なら鉱山刑(終身)だけど無理なので、娼館で数年の後、治験のおかわりだ。
仲間を裏切ること、ギルド規則を守らないことは冒険者組合の御法度。
「ま、訳ありや難ありが寄せ集まってるんだ。こんなことはいくらでもある」
バレた後どうなるか、見せしめられても対岸の火事だろうなぁ。
誘拐事件も半分は賭博絡みの借金が関わってるそうで、ドランのギルマス権限では処理できないらしくて、ドラン領からも王都連行の隊が出てるらしい。あっちはカナンから別ルートを進むとか。
「木端貴族だけなら処理も楽だがバックに大きい派閥がついてる家門のもいてなぁ」
絶縁か尻尾切りで終わらないのか。
「ぶっ飛ばして終わるだけの世界で働いてたつもりなんだがな」
心底お疲れのようだ。
なんとか長とかになったら、ダメなんだよ。上から下から仕事回ってくるから。
俺は気ままなトラベラーになるから巻き込まないでね。
最終的には船の上で「とおくとぉくぅぅ流っれる~」とか歌いながら外国にも行きたい。
河でも海でもいいけど、大きな船に乗って出来たら彼女とタイ○ニックしたい。
この世界の海だとクラーケンに襲われるか、幽霊船みたいなのに襲われるパターンのが現実的か。
・・・船旅は諦めても良いかも。
ムー○ン谷かホビットの村を探す方が危なくない。
そうだ。俺はスナ○キンのような生き方がしたいんだ。
ヒーロー物は好きだけど、別に人助けがしたいとか地球を守りたいとかそんなご大層な夢はない。
自由気ままに旅して、いつか気に入った村で、楽隠居をするのが理想だ。
テラスで葉巻を吸いながら、ロッキングチェアを揺らしながら庭を眺める。そんな暮らしがしたいぞ。
ちょっと妄想が楽しくなって気を遠くしてたら、アントスの愚痴が終わっていた。
ちょっと恨めしげに見られたが、俺は新入り冒険者。巻き込み禁止だ。
結局、呼ばれたのは、王都行きのおおまかな日程と宿泊予算がギルド持ち(依頼者払い)、注意事項とか。
護衛対象が大貴族ラシャドル家の子供って言うのと、途中までだけれど、同行するリューラス侯爵、騎士隊、賭博犯(貴族と平民)の扱いなど、初心者の俺のために教えてくれた。
ドットたちがいるから心配はしてないけれど、カナンのニコルソンとボルクさんに俺のことをくれぐれもって頼まれてるから、とにかくリューラス侯爵やラシャドル侯爵の前で妙なことをしないようにと念を押された。
変な事をしてるつもりはないんだけれどね。こっちの常識に合わせる努力はしていくよ。うん。
「そう言えばクサと酒はまだ売れるほどあるのか?」
仕入れに帰ってないわけなので在庫があるかってことだけど、仕入れはポチポチやってるんだ。
ただ、どんだけ入るマジックバッグ持ってるんだと疑われちゃうのは困るので、アホな量は出せないって設定決めないと。
今後出会う人間には出し渋りしないとな。
「十箱と瓶五本まで」
「全部くれ」
アントスの見た目がワイルドなので、怪しい取り引き感がえぐいのよ。
金額はドットやランガたちと同じにしておく。
「意味わからんほど安い」
嗜好品に天井知らずな金額付けてる方が怖いってば。
確かにワインもウィスキーもとんでもない値段で売ってたりするけど、庶民的な値段のものは、それなりで売らないと。
たくさんの人に低価格で届けてくれる生産者に失礼じゃないか。
年代物とかプレミア物が高いのは仕方ないけどな。
「まぁ、最長二ヶ月頑張ってくれ」
「・・・」
アントスが早速タバコに手を出したので、俺も一本出した。
「ふー」
その後も愚痴が続いた。アントスは副ギルド長で気楽に過ごすつもりが前ギルマスが仕事が多すぎて逃げたから昇進しちゃったらしい。
ドランよりはマシだが、事件が多いと言う。
前ギルマスは嫁の実家にとか言って隣国に旅だっちゃったって。
嫁がいるってそんな技が使えるんだ。
アントスはバツ四らしい。
くっそ!最低四人にモテてる!!!
書類仕事は部下任せかと思えば、きちんとやってるんだ。
ポルドスの冒険者組合のトップでも、国、世界の冒険者組合の長がいるわけで。
ポルドス領の領主リューラス侯爵、国王への報告はギルマスがきっちり仕上げないとってな。
丸投げしても最終確認は自分でしないと怖いもんな。俺の上司は確認しないマンだったぞぅ。
「おう、座ってまっててくれ」
待ってる間に秘書がフルーツのワイン出してくれた。
しばらく待つとギルマス・アントスは眉間を揉みながら俺の前のソファにドガッと座った。
「老体には堪える」
いや自分を年寄りとか思ってないタイプだろうって突っ込んでいいものか。
「〈屋根裏の小人〉の二人は犯罪奴隷落ちに決定だ。生かしておくのも無駄だと思うが死は解放になっちまうからな」
奴隷がいるんだーと嫌な気分になるが、犯罪者だけ。
牢に入れて生かすのは税金の無駄で鉱山送り、治験、娼館など罪の重さや罰金の値段で行き先が決まるんだと。ブランの元仲間は他二人も死なせてるので、本来なら鉱山刑(終身)だけど無理なので、娼館で数年の後、治験のおかわりだ。
仲間を裏切ること、ギルド規則を守らないことは冒険者組合の御法度。
「ま、訳ありや難ありが寄せ集まってるんだ。こんなことはいくらでもある」
バレた後どうなるか、見せしめられても対岸の火事だろうなぁ。
誘拐事件も半分は賭博絡みの借金が関わってるそうで、ドランのギルマス権限では処理できないらしくて、ドラン領からも王都連行の隊が出てるらしい。あっちはカナンから別ルートを進むとか。
「木端貴族だけなら処理も楽だがバックに大きい派閥がついてる家門のもいてなぁ」
絶縁か尻尾切りで終わらないのか。
「ぶっ飛ばして終わるだけの世界で働いてたつもりなんだがな」
心底お疲れのようだ。
なんとか長とかになったら、ダメなんだよ。上から下から仕事回ってくるから。
俺は気ままなトラベラーになるから巻き込まないでね。
最終的には船の上で「とおくとぉくぅぅ流っれる~」とか歌いながら外国にも行きたい。
河でも海でもいいけど、大きな船に乗って出来たら彼女とタイ○ニックしたい。
この世界の海だとクラーケンに襲われるか、幽霊船みたいなのに襲われるパターンのが現実的か。
・・・船旅は諦めても良いかも。
ムー○ン谷かホビットの村を探す方が危なくない。
そうだ。俺はスナ○キンのような生き方がしたいんだ。
ヒーロー物は好きだけど、別に人助けがしたいとか地球を守りたいとかそんなご大層な夢はない。
自由気ままに旅して、いつか気に入った村で、楽隠居をするのが理想だ。
テラスで葉巻を吸いながら、ロッキングチェアを揺らしながら庭を眺める。そんな暮らしがしたいぞ。
ちょっと妄想が楽しくなって気を遠くしてたら、アントスの愚痴が終わっていた。
ちょっと恨めしげに見られたが、俺は新入り冒険者。巻き込み禁止だ。
結局、呼ばれたのは、王都行きのおおまかな日程と宿泊予算がギルド持ち(依頼者払い)、注意事項とか。
護衛対象が大貴族ラシャドル家の子供って言うのと、途中までだけれど、同行するリューラス侯爵、騎士隊、賭博犯(貴族と平民)の扱いなど、初心者の俺のために教えてくれた。
ドットたちがいるから心配はしてないけれど、カナンのニコルソンとボルクさんに俺のことをくれぐれもって頼まれてるから、とにかくリューラス侯爵やラシャドル侯爵の前で妙なことをしないようにと念を押された。
変な事をしてるつもりはないんだけれどね。こっちの常識に合わせる努力はしていくよ。うん。
「そう言えばクサと酒はまだ売れるほどあるのか?」
仕入れに帰ってないわけなので在庫があるかってことだけど、仕入れはポチポチやってるんだ。
ただ、どんだけ入るマジックバッグ持ってるんだと疑われちゃうのは困るので、アホな量は出せないって設定決めないと。
今後出会う人間には出し渋りしないとな。
「十箱と瓶五本まで」
「全部くれ」
アントスの見た目がワイルドなので、怪しい取り引き感がえぐいのよ。
金額はドットやランガたちと同じにしておく。
「意味わからんほど安い」
嗜好品に天井知らずな金額付けてる方が怖いってば。
確かにワインもウィスキーもとんでもない値段で売ってたりするけど、庶民的な値段のものは、それなりで売らないと。
たくさんの人に低価格で届けてくれる生産者に失礼じゃないか。
年代物とかプレミア物が高いのは仕方ないけどな。
「まぁ、最長二ヶ月頑張ってくれ」
「・・・」
アントスが早速タバコに手を出したので、俺も一本出した。
「ふー」
その後も愚痴が続いた。アントスは副ギルド長で気楽に過ごすつもりが前ギルマスが仕事が多すぎて逃げたから昇進しちゃったらしい。
ドランよりはマシだが、事件が多いと言う。
前ギルマスは嫁の実家にとか言って隣国に旅だっちゃったって。
嫁がいるってそんな技が使えるんだ。
アントスはバツ四らしい。
くっそ!最低四人にモテてる!!!
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