95 / 112
一章
中間管理職は悲しい・・・
しおりを挟む
誘拐事件、ダンジョン置き去り、賭博と続いた事後処理、報告書の山に泣くギルマス。
書類仕事は部下任せかと思えば、きちんとやってるんだ。
ポルドスの冒険者組合のトップでも、国、世界の冒険者組合の長がいるわけで。
ポルドス領の領主リューラス侯爵、国王への報告はギルマスがきっちり仕上げないとってな。
丸投げしても最終確認は自分でしないと怖いもんな。俺の上司は確認しないマンだったぞぅ。
「おう、座ってまっててくれ」
待ってる間に秘書がフルーツのワイン出してくれた。
しばらく待つとギルマス・アントスは眉間を揉みながら俺の前のソファにドガッと座った。
「老体には堪える」
いや自分を年寄りとか思ってないタイプだろうって突っ込んでいいものか。
「〈屋根裏の小人〉の二人は犯罪奴隷落ちに決定だ。生かしておくのも無駄だと思うが死は解放になっちまうからな」
奴隷がいるんだーと嫌な気分になるが、犯罪者だけ。
牢に入れて生かすのは税金の無駄で鉱山送り、治験、娼館など罪の重さや罰金の値段で行き先が決まるんだと。ブランの元仲間は他二人も死なせてるので、本来なら鉱山刑(終身)だけど無理なので、娼館で数年の後、治験のおかわりだ。
仲間を裏切ること、ギルド規則を守らないことは冒険者組合の御法度。
「ま、訳ありや難ありが寄せ集まってるんだ。こんなことはいくらでもある」
バレた後どうなるか、見せしめられても対岸の火事だろうなぁ。
誘拐事件も半分は賭博絡みの借金が関わってるそうで、ドランのギルマス権限では処理できないらしくて、ドラン領からも王都連行の隊が出てるらしい。あっちはカナンから別ルートを進むとか。
「木端貴族だけなら処理も楽だがバックに大きい派閥がついてる家門のもいてなぁ」
絶縁か尻尾切りで終わらないのか。
「ぶっ飛ばして終わるだけの世界で働いてたつもりなんだがな」
心底お疲れのようだ。
なんとか長とかになったら、ダメなんだよ。上から下から仕事回ってくるから。
俺は気ままなトラベラーになるから巻き込まないでね。
最終的には船の上で「とおくとぉくぅぅ流っれる~」とか歌いながら外国にも行きたい。
河でも海でもいいけど、大きな船に乗って出来たら彼女とタイ○ニックしたい。
この世界の海だとクラーケンに襲われるか、幽霊船みたいなのに襲われるパターンのが現実的か。
・・・船旅は諦めても良いかも。
ムー○ン谷かホビットの村を探す方が危なくない。
そうだ。俺はスナ○キンのような生き方がしたいんだ。
ヒーロー物は好きだけど、別に人助けがしたいとか地球を守りたいとかそんなご大層な夢はない。
自由気ままに旅して、いつか気に入った村で、楽隠居をするのが理想だ。
テラスで葉巻を吸いながら、ロッキングチェアを揺らしながら庭を眺める。そんな暮らしがしたいぞ。
ちょっと妄想が楽しくなって気を遠くしてたら、アントスの愚痴が終わっていた。
ちょっと恨めしげに見られたが、俺は新入り冒険者。巻き込み禁止だ。
結局、呼ばれたのは、王都行きのおおまかな日程と宿泊予算がギルド持ち(依頼者払い)、注意事項とか。
護衛対象が大貴族ラシャドル家の子供って言うのと、途中までだけれど、同行するリューラス侯爵、騎士隊、賭博犯(貴族と平民)の扱いなど、初心者の俺のために教えてくれた。
ドットたちがいるから心配はしてないけれど、カナンのニコルソンとボルクさんに俺のことをくれぐれもって頼まれてるから、とにかくリューラス侯爵やラシャドル侯爵の前で妙なことをしないようにと念を押された。
変な事をしてるつもりはないんだけれどね。こっちの常識に合わせる努力はしていくよ。うん。
「そう言えばクサと酒はまだ売れるほどあるのか?」
仕入れに帰ってないわけなので在庫があるかってことだけど、仕入れはポチポチやってるんだ。
ただ、どんだけ入るマジックバッグ持ってるんだと疑われちゃうのは困るので、アホな量は出せないって設定決めないと。
今後出会う人間には出し渋りしないとな。
「十箱と瓶五本まで」
「全部くれ」
アントスの見た目がワイルドなので、怪しい取り引き感がえぐいのよ。
金額はドットやランガたちと同じにしておく。
「意味わからんほど安い」
嗜好品に天井知らずな金額付けてる方が怖いってば。
確かにワインもウィスキーもとんでもない値段で売ってたりするけど、庶民的な値段のものは、それなりで売らないと。
たくさんの人に低価格で届けてくれる生産者に失礼じゃないか。
年代物とかプレミア物が高いのは仕方ないけどな。
「まぁ、最長二ヶ月頑張ってくれ」
「・・・」
アントスが早速タバコに手を出したので、俺も一本出した。
「ふー」
その後も愚痴が続いた。アントスは副ギルド長で気楽に過ごすつもりが前ギルマスが仕事が多すぎて逃げたから昇進しちゃったらしい。
ドランよりはマシだが、事件が多いと言う。
前ギルマスは嫁の実家にとか言って隣国に旅だっちゃったって。
嫁がいるってそんな技が使えるんだ。
アントスはバツ四らしい。
くっそ!最低四人にモテてる!!!
書類仕事は部下任せかと思えば、きちんとやってるんだ。
ポルドスの冒険者組合のトップでも、国、世界の冒険者組合の長がいるわけで。
ポルドス領の領主リューラス侯爵、国王への報告はギルマスがきっちり仕上げないとってな。
丸投げしても最終確認は自分でしないと怖いもんな。俺の上司は確認しないマンだったぞぅ。
「おう、座ってまっててくれ」
待ってる間に秘書がフルーツのワイン出してくれた。
しばらく待つとギルマス・アントスは眉間を揉みながら俺の前のソファにドガッと座った。
「老体には堪える」
いや自分を年寄りとか思ってないタイプだろうって突っ込んでいいものか。
「〈屋根裏の小人〉の二人は犯罪奴隷落ちに決定だ。生かしておくのも無駄だと思うが死は解放になっちまうからな」
奴隷がいるんだーと嫌な気分になるが、犯罪者だけ。
牢に入れて生かすのは税金の無駄で鉱山送り、治験、娼館など罪の重さや罰金の値段で行き先が決まるんだと。ブランの元仲間は他二人も死なせてるので、本来なら鉱山刑(終身)だけど無理なので、娼館で数年の後、治験のおかわりだ。
仲間を裏切ること、ギルド規則を守らないことは冒険者組合の御法度。
「ま、訳ありや難ありが寄せ集まってるんだ。こんなことはいくらでもある」
バレた後どうなるか、見せしめられても対岸の火事だろうなぁ。
誘拐事件も半分は賭博絡みの借金が関わってるそうで、ドランのギルマス権限では処理できないらしくて、ドラン領からも王都連行の隊が出てるらしい。あっちはカナンから別ルートを進むとか。
「木端貴族だけなら処理も楽だがバックに大きい派閥がついてる家門のもいてなぁ」
絶縁か尻尾切りで終わらないのか。
「ぶっ飛ばして終わるだけの世界で働いてたつもりなんだがな」
心底お疲れのようだ。
なんとか長とかになったら、ダメなんだよ。上から下から仕事回ってくるから。
俺は気ままなトラベラーになるから巻き込まないでね。
最終的には船の上で「とおくとぉくぅぅ流っれる~」とか歌いながら外国にも行きたい。
河でも海でもいいけど、大きな船に乗って出来たら彼女とタイ○ニックしたい。
この世界の海だとクラーケンに襲われるか、幽霊船みたいなのに襲われるパターンのが現実的か。
・・・船旅は諦めても良いかも。
ムー○ン谷かホビットの村を探す方が危なくない。
そうだ。俺はスナ○キンのような生き方がしたいんだ。
ヒーロー物は好きだけど、別に人助けがしたいとか地球を守りたいとかそんなご大層な夢はない。
自由気ままに旅して、いつか気に入った村で、楽隠居をするのが理想だ。
テラスで葉巻を吸いながら、ロッキングチェアを揺らしながら庭を眺める。そんな暮らしがしたいぞ。
ちょっと妄想が楽しくなって気を遠くしてたら、アントスの愚痴が終わっていた。
ちょっと恨めしげに見られたが、俺は新入り冒険者。巻き込み禁止だ。
結局、呼ばれたのは、王都行きのおおまかな日程と宿泊予算がギルド持ち(依頼者払い)、注意事項とか。
護衛対象が大貴族ラシャドル家の子供って言うのと、途中までだけれど、同行するリューラス侯爵、騎士隊、賭博犯(貴族と平民)の扱いなど、初心者の俺のために教えてくれた。
ドットたちがいるから心配はしてないけれど、カナンのニコルソンとボルクさんに俺のことをくれぐれもって頼まれてるから、とにかくリューラス侯爵やラシャドル侯爵の前で妙なことをしないようにと念を押された。
変な事をしてるつもりはないんだけれどね。こっちの常識に合わせる努力はしていくよ。うん。
「そう言えばクサと酒はまだ売れるほどあるのか?」
仕入れに帰ってないわけなので在庫があるかってことだけど、仕入れはポチポチやってるんだ。
ただ、どんだけ入るマジックバッグ持ってるんだと疑われちゃうのは困るので、アホな量は出せないって設定決めないと。
今後出会う人間には出し渋りしないとな。
「十箱と瓶五本まで」
「全部くれ」
アントスの見た目がワイルドなので、怪しい取り引き感がえぐいのよ。
金額はドットやランガたちと同じにしておく。
「意味わからんほど安い」
嗜好品に天井知らずな金額付けてる方が怖いってば。
確かにワインもウィスキーもとんでもない値段で売ってたりするけど、庶民的な値段のものは、それなりで売らないと。
たくさんの人に低価格で届けてくれる生産者に失礼じゃないか。
年代物とかプレミア物が高いのは仕方ないけどな。
「まぁ、最長二ヶ月頑張ってくれ」
「・・・」
アントスが早速タバコに手を出したので、俺も一本出した。
「ふー」
その後も愚痴が続いた。アントスは副ギルド長で気楽に過ごすつもりが前ギルマスが仕事が多すぎて逃げたから昇進しちゃったらしい。
ドランよりはマシだが、事件が多いと言う。
前ギルマスは嫁の実家にとか言って隣国に旅だっちゃったって。
嫁がいるってそんな技が使えるんだ。
アントスはバツ四らしい。
くっそ!最低四人にモテてる!!!
590
お気に入りに追加
1,818
あなたにおすすめの小説

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます
銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。
死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。
そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。
そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。
※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ どこーーーー
ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど
安全が確保されてたらの話だよそれは
犬のお散歩してたはずなのに
何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。
何だか10歳になったっぽいし
あらら
初めて書くので拙いですがよろしくお願いします
あと、こうだったら良いなー
だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる