女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

文字の大きさ
上 下
75 / 112
一章

ドロー

しおりを挟む
 ギルマスは明日も仕事だと手を振って帰って行った。

 俺もそろそろ帰りたい。

 どこまで泳げるかレースは正直よく分からん状態だ。

 脱落したサントスとクレイバーが戻ってきて半裸のまま肉を食べてる。
「悔しいなー、足攣っちゃったわ」
「俺ちょっと沈んで足に棘刺さった」
 ん!!?よく溺れなかったな。
「棘って何?」
「お?変なもんに興味あるな?あの辺の海底にこれっくらいのトゲトゲの動く石が落ちてるんだよ」
 サントス、石は動かないよ?
 どうもバスケットボール大のウニが、魔物?がたくさんいるらしい。
 
「それ採ってきてほしいな・・・」

 〈遊泳〉の指輪あるけど、レースに混じりたいとか思われそうで嫌だし。

「ん?何の役にも立たんぞ?気になるなら採ってきてやる」
「お願い」
 サントスがまた海に潜ってくれた。

「針でも欲しいのか?」
 クレイバーが俺が差し出した貝を食べる。
「んー、予想してるものなら美味しいと思うんだよね」
 日本酒や白ワインに合う。
「・・・食い物なのか?」
 まぁ割ったことがないとただのトゲトゲで、割ったことがあったらドロドロした内臓としか思わないかも。

「何で普通に飲んでるのに樽を賭けてるんだ?」
 みんなで出し合って持ち寄った酒じゃん。
「ん?盛り上がるだろ。一番美味い酒を賭けるんだ。今回のジェイルの酒は絶対取っておいて飲みたい」
 野営とか外で食べる時、大勢の時は賭けることが普通らしい。
 宿とかだとカードで賭ける程度だが外だと体力勝負だって。元気だね。

 〈新月の雷光〉は王都まで一緒に行くからまだ飲む機会があるぞ。しかも普通に売って渡してるじゃん。

「何にしても楽しみたいだけだ」
 ほー。全力疾走に遠泳って運動好きじゃないと無理だなぁ。
 
 しばらくタバコ吹かしてたら、サントスとミンミが海から上がってきた。
 ミンミさん、皮のブラトップ??みたいなの着てる。下は皮の短パン??よくわからんがちょっと防御力の高い水着みたい。
 俺にはちょっと刺激的かな??

「このトゲトゲ欲しいんだってぇ?」
 二人で四つ持ってきてくれた。棘が長いのでたくさん抱えてこれないんだな。

 鑑定も紫ウニって出てきたので食えるやつだ。

 二人から受け取って小型ナイフで切り分けると緑がかった身が出てきた。
 なんでこんな色なんだ。
 せめて紫になっとけ。
 どっちにしてもポイズンっぽいが。

 毒がないのは確認出来てるので生で食べてみる。小瓶に入ってる醤油を垂らして。

 うん、とってもウニですな。

 新鮮でぷりぷりでジューシーなウニ。

 初めて食べるなら生は抵抗感があるかな?っとサントスたちをみるとすでに食べてた。

「うっめ!これ食えたんか」
「アーシもこれ好きぃ」
 海藻たっぷり食べてそうなウニだから美味いだろう。
「この黒い汁なにー」
「ナイショ」
「ケチかよ」
 説明が面倒じゃん。

 俺は日本酒を選んで、みんなのカップに入れた。

「これはヤバい。うますぎる」
 
 ちょいと炙ってみる。
 それを見たみんなも炙る。俺の真似をしてる分には強火にしないらしい。

「この酒、水みたいにサラサラなのにめっちゃくるなぁ」
「炙ったトゲトゲ美味い!!」

 サントスとミンミは「おかわり!!」って言いながら海に戻った。ガッツよ。

「明日から子供が潜るかもな」
 お手伝い年齢の十歳以上があの辺までは普通に潜れるようだ。
 絶滅しない程度に捕獲して欲しいものだ。

 遠くまで泳いで戻ってきたドットやランガたちがサントスたちに声をかけてみんなでウニを取り始めたっぽい。

「あー、たくさん採る勝負になるか」
 泳ぎはドローか?

「あ、トゲは捨てるなよ、吹き矢になる」

 吹き矢!?誰か使ってたっけって思えば、たくさん敵がいるとき、毒や麻痺薬塗って使うんだって。怖。

 中身えぐったのを全部渡した。

「投擲ナイフとかは勿体無いだろ?使い捨て出来るこういう適当なのが良いんだよ」
 なるほど。
 俺は銃(魔力玉)使えるのラッキーなんだな。

 ドットたちがトゲトゲを確保して戻ってきた。

「これ美味いんだって?」
「こんなん網に入ってたら捨ててるやつっしょ」

 クレイバーと一緒に中身を取り出してまずは生で食べさせる。
 醤油を少し垂らすとやっぱり「黒い汁!?」ってなるけどまずはウニを食え。

「「「うぉお!?」」」
「「「うぇ」」」
 ヤンとギャレットはウニはダメだったらしい。

 他はみんな先を争って食べる。
 
「マジか?これは好きなやつだ」
「捨ててたなんて」

 そして酒も進み。

 酒樽ゲットは勝者なしだった。なぜ十回勝ち抜け戦にしたんだ。

「かぁっ!これを独り占めしたかった」
「朝まで全部飲むぞー」
 結局全部飲むのかい!!

 俺は寝たい。けどドットとランガにガッと肩を組まれて帰れなかった。

「ほれ!あそこお熱いぞ」

 イルナとゴンザレスが二人でいい感じに酒を酌み交わしていた。
 マジか。

「ゴンザレスが一番気が良いからなぁ」
 ほほう、そして一番ガタイが良いぞ。
「ミンミの方は別のパーティに好きなやつがいるけどなぁ。おすすめ出来ん男なんだ」
「アイツなぁ・・・」
 アッシュとサントスが残念な子を見る目でミンミを見ている。
 俺をヒモにするとか言い出すからな。ダメンズなんだろうね。

「ジェイルなら大丈夫そうだけどなぁ」
 いや、アッシュがイケばいいじゃん。
 
 俺は今は旅を優先するぞ。だって二十二歳だから!!若いうちに楽しむ!!
 彼女出来ちゃったら離れたくなくって定住しちゃうだろ。
 熱烈に好きな人が出来たら考え方も変えるだろうけど。

 彼女・・・欲しくないとは言わないぞ。
 
 でもあのアンナとか・・・女、怖いじゃん。


________________

〈新月の雷光〉
 ドット 
 ドレイク 
 クレイバー 
 シャート 
〈鋼鉄の拳〉
 ランガ
 ヤン
 ヴァロ

〈海の渦潮〉
 アッシュ
 サントス
 ゴンザレス
 ミンミ
 イルナ

〈水平線の彼方〉
 ルーカス
 アイアン
 ロゴス
 ギャレット


ギルマス アントス

船頭 ルカ 妹アン
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

処理中です...