女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

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一章

酒バレた。そりゃそうだろ。

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 おねだり攻撃が酷いので面倒くさくて出した。
 この面倒くさがりが、あのアンナにつけ込まれた敗因さ。知ってた。

「あったかいとまろやかぁ」
「これは酔うなぁ」
 日本酒を〈加熱〉して渡すと幸せそうに飲んだ。すでに真っ赤だぞ。

「ジェイルは不思議だな」
「一人が好きって言いつつ面倒見がいいしな」
「酒も草も極上品持ってるくせに商売しねぇってよ」
「俺ならぼったくって豪邸で暮らすー」
 
 商売って商品があるだけじゃ成り立たねぇだろ。面倒くさい。
 かと言って狩りが好きなわけでもないが、異世界来たらやっぱ冒険者だろう。
 お取り寄せで大商人みたいな小説も読んだことあるけど、店用意したり、定期的に品出し、スタッフ雇用、王族に呼び出されたりとか、俺の胃が持たねぇ。
 縛りのない暮らしがしたいんだ。

 今でもだいぶ蹴躓いてるけどなぁ。
 そうだ。お前らにタバコ売ってから全てが始まった。よし、デスソースを口に入れようか?
 ま、八つ当たりだな。なぜかロック鳥とか意味わからんのが来たりが悪い。うん。

「はぁー、こんなスゥっと飲める酒飲んだらいつものワインが酒に思えねぇなぁ」
 そこまで言うなんて、皮袋ワイン、管理悪くて酢になってんじゃないの。
 
「っうか、スッと飲んだら酔うぞ」
「こんなもんで酔うわけねぇだろ、ひひひ」
 酔ってるよな?ヤン・・・。笑うのは良いけどキモい。

「おかわりをくれ」
 ランガが出した手の上に別の手が重なってるぞ。

「わぁ!」
 ランガがちょっと飛んだ。
「ランガ、ヤン、お前らはもう終了だよな?」
 ほら、賭け事して飲んでたのに抜け駆けするから、ドットが怖い顔してるじゃん。

 ドットとドレイクとアッシュとギャレットが庭に出てきちゃった。

「子供と他は寝たけどさー、暇だろ」
「お前らも寝ろよ」
「ゴンザレスの横は危険だ」
 寝相が悪いのか。マッチョプレスされるのは俺もやだな。

 ミンミもイルナもまとめて雑魚寝で寝てる。普段も出先では別室取らないらしい。
 信頼関係がある・・・んじゃなくて今更女に見えんと言うやつらしい。

「で、何飲んでんだ~」
 ドレイクに聞かれてヤンとランガは首を傾げる。
「そう言えばなんだこれ?」
 言わなかったっけ。
「知らずに飲んでるのかよ!」
 日本酒って言ってもわからないだろうから、酒って出しただけだ。さて、なんて言おうかな。

「俺たちにも売ってくれ」
 もうさー、いちいちお金取るの面倒なんだけど。下っ端から集らないって良い先輩だけど中身は一番ジジィだぞ!

 とりあえず人数分出したけどさ。
 ドットが銀貨一枚ずつ徴収してくれる。親切。

「これを銀貨一枚でいいとかおかしいんだぞ」
「そんな美味いのか」
 夜なので少し冷えてきて、さっきのランガとヤンの反応から温かい方がいいかと思って魔法かけようとしたら、ランガに止められてそのまま出した。
 〈海の渦潮〉と〈水平線の彼方〉のことはよく知ってるし、悪いやつらじゃないけど用心しろって小突かれた。俺の迂闊さにドットが呆れた目をしている。

「マジか」
「水みたいな飲み口なのに強い酒だ!?」
「くぅー、これはなんの香りだ」

 鼻からスーッとくるよね。
 
「かぁ~、これはキツいなぁ」
 そうか?いつも飲んでるエールよりは多少強いけどワインは似たり寄ったりじゃないかな。
 飲みやすいからの沁みる気になるとか。

「口の中が芳しくて良い気分だ」
「で、なんだこれ?」
 あ、忘れてくれなかったか。

「コメで出来た酒」
「こめー?」
「コメってなんだ?」
 OHー!MyGod!!米がない世界なのか。

「んー?んーーぅ?麦とかの仲間かな・・・」
 大まかに言えば稲科だし・・・。
「エールと同じ!?」
 出来なくはないかもしれんが麦で作るのは焼酎かウィスキーじゃないかな。

「そっかー!麦はすごいな」
 良い笑顔で言うギャレットに俺は何も言えないぞ。
 なんとなくシガリロ咥えてる俺に、アッシュが、
「元貴族って感じだとは思ってたけど、こんな酒持ち歩いて変わった匂いの草まで吸ってすごい金持ちだな!」
って言い出した。また貴族。
 服装はだいぶ妥協してるのに、俺にはそんなに気品があるのだろうか?

「俺の実家は農家だ」
「お前、嘘つくならせめて商家って言えよー」
 アッシュとギャレットがガハハと笑い出したぞ。
 ドット以外真っ赤なんだが。

「あー!!農家で麦作っててこんな酒を開発したのか!?酒で大儲けだな!!俺たちにも樽で売ってくれ~」
 俺が作ったわけでも実家が酒造でもないっての。

「売ってない」
「マジかよ!?ドワーフに知られたら酒への冒涜っつってブチ切れられんぞ!ワハハハ」
「ひゃー!こんなん売らないとかヒデェぞ!」
 ドワーフの前では酒は出さないでおこう。
 みんな笑い上戸なのは良いけど、弱くないか?

 ギャレットとヤンが潰れて、アッシュとランガが中に引きずって行った。

「・・・さっきやろうとしたので酒くれ」
 ドットとドレイクが銀貨出してきた。
「熱いのか冷たいのか」
 小寒いけど、俺は冷酒派。

「熱いの」
「冷たいので」
 半分ずつ飲むんだろうな。

「マジか」
「冷やしただけで!?」
 ワインも温かくしたら変わるじゃん。大袈裟なんだよ。
 二人は一口ずつ交換してる。

「ジェイル、これは上手すぎるぞ」
「水より飲みやすい酒はやばい」 
 ん?水が腐ってるから不味いわけじゃないのか?硬水軟水問題の方??

「臭くなくて飲みやすい水」
 いや日本酒ですよ?しかも慣れないか苦手だったら臭いって言う人もいるぞ。
 
「水が飲みやすかったら酒飲まねぇの?」
「いや?酒を飲む」
「飲むなら酒だろ」
 なんだそれ。

「ジェイルが出す酒はどれも飲みやすいのに酔える。良いものだ」
 世界の酒造家がコツコツ改良してより良いのが出てくるから。

「ジェイル、売り物にしたくないからギルマスや商業ギルドにバレるなよ」
 あー、なるべく近寄らないから平気。

 多分。


_________________



〈新月の雷光〉
 ドット 
 ドレイク 
 クレイバー 
 シャート 
〈鋼鉄の拳〉
 ランガ
 ヤン
 ヴァロ

〈海の渦潮〉
 アッシュ
 サントス
 ゴンザレス
 ミンミ
 イルナ

〈水平線の彼方〉
 ルーカス
 アイアン
 ロゴス
 ギャレット


保護した子
メイ ディエゴ ジャン ユング

シルスァン・ラシャドル
ミシェル・ラシャドル
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