女神に可哀想と憐れまれてチート貰ったので好きに生きてみる

紫楼

文字の大きさ
上 下
27 / 112
一章

〈新月の雷光〉といっしょ

しおりを挟む
 ピピピ。

 朝四時。めちゃくちゃ早起きである。
 今日は森に調査行かなければなので仕方なし。

 コーヒーセットして、シャワー使って、着替えて、一服。
 朝食は下で食べるとして、今日は昼どうするかね。屋台かなぁ?
 
 あ、タバコほとんど売っちゃったんだった。吸ったことないのを選んで三種類ポチッと。もちろんティアランシアには送っておく。
 メールボックスは「神殿来て」「チロルチョコ好き」と前とそう変わらない内容だ。

 その中の合間に、俺が強めの魔獣と出会う事について書いてあった。

|||||||||||||||||||||||||||

 成の魔力っていうか神力がとっても美味しそう見えるから制御をしてね!

||||||||||||||||||||||||||||

 地球の食べ物や香辛料は芳しく美味しそうだから、人も魔獣も未知の匂いだと興味を持ちやすいよ!
 香辛料になる素材はあるにはあるけど、あんまり広まってないから。
 例えば、硬い実や臭い実の中に良い物があったりするんだけど、気付いて貰えないんだよ。みんな探究心が足りないよね?

||||||||||||||||||||||||||||

 神力ってなんぞ。
 大事なことは先に言っておけ?

 香辛料とか見つけて使って欲しいならとっつきやすい見た目にすれば良いのに。
 神様のする事はよくわからないな。

 五時過ぎたので下に降りるとエンマさんが「おはよう、坊や」って。
 やっぱりカウンターに案内されて、朝食が出てくる。
「いただきます」
 上からドタドタ音がして〈新月の雷光〉も「おっす」「ちゃんと起きたな!」っとテーブル(指定席?)に座る。

「エンマさん、おはよー」
「今日のご飯なにー」 
 
 今日の朝食は芋とオーク肉、カボチャと豆を煮たスープ。程よく煮崩れたカボチャと豆に塩とハーブかなぁ。
 俺は濾しちゃったスープの方が好みだけど、このスープ、なんかほっこりだ。
 パンは素朴なハードパン。この世界には柔らかいパンあるのかなぁ。

「おれコイツ嫌いだってば」
「腹持ちが良いだろうが」
 
 カボチャをクレイバーの皿に押し付けるシャート。おそらくドットとクレイバーは三十代前半でドレイクとシャートが二十代後半くらいだと思うけど、シャートは弟枠か。

「おい、お前たち、今日は調査だって?弁当持っていけ」

 厨房からボルクさんが出てきて葉っぱで包まれたお弁当が置かれた。

「おー、サンキュー」
「坊やがいるからって優しいじゃん」
「え?」
 レアなことなの?
「うるさい。黙って持ってけ」
「坊やは慣れてないとだけ、気を遣ってあげんとよ?」
 ちょっと照れてるボルクさんとドットたちに俺のお守りをちゃんとしろっていうエンマさん。
 なんか実家の親を思い出す。やっぱ先に逝って悪かったなって今更。兄家族が同居で孫もいるし、姉家族が近くにいるから心配はしてないけど。
 
 
「「「行ってくる」」」
「「行ってきます」」
「行ってらっしゃい」
「・・・」

 宿を出てすぐに。

「ジェイル!オヤツは買うか?」
「飲むもんは持ったか」

 遠足前の確認みたいなこと言い出した。 
 冒険慣れしてなくとも現在の俺は見た目はイケメン、魂は四十二歳オッさんだぞ。

「結構奥に行くと思うから飲み物とオヤツは大事だぞ」
 武器や防具の心配はしてないのが面白い。
 ドットたちは胸当てや籠手、膝当てって結構簡素な姿だ。

 ちなみに俺は腰に刀と小型ナイフだけで短銃は外してある。
 防具も無しで結構な軽装だ。

「エイプやベアでかすり傷一つしてないから心配はしてねぇが多少は見た目を装えよ」
 見せ防具なんて要るのか?

「新人は金無くても木や皮の防具ぐらい揃えるぞ」
 木や皮・・・防御力が無さそうだ。
「弱いのなら良いけど、強いの来たら一発で串刺しになるよな」
 あのサルめっちゃスピードあったし、クマは爪がデカくてえぐかったぞ。

「ああ、普通は坊やが遊んでる場所には出ないなぁ」
 遊んでねぇ・・・ょ、タバコ休憩と酒と飯・・・遊んでたかな??

 屋台のソーセージのお兄ちゃんに声掛けられて、みんなの分合わせて十本買った。完全に覚えられてる。
「ドットさん、クレイバーさん、兄さんとお知り合いだったすか!」
「おう、コイツは冒険者ギルドのルーキーだ。よくしてやってくれ」

 そう大きくもない町でギルドの近くならみんな顔見知りか?

 結局、飲み物として、皮袋入りのワインと干した果物を買った。
 この世界の飲み水、腐りやすいから何日か出かける時は酒なんだって。
 そして酒の皮袋は新しいのじゃないとダメで使った皮袋は売る。

 ちょっと待て。何日か?

「あ!今日は日帰り予定だぞ」
 
 びっくりした。何日もタバコ吸えないとか暴れるぞ。せっかく解禁したのに。

 飲み水が腐るかぁ。濾過器とか無さそうだし、水飲むのは避けよう。
 そう言えば、商業ギルドで果汁出た。
 水よりワインが安いみたいな世界だなぁ。
 宿でも食事のセットはエールって飲み水問題か。
 顔と体拭いたの、お湯だから良かったけど一回井戸水で良いってやっちゃった。


 東門の門番はワイドさんだった。

「おー、おっす。早いな。今日は一緒の仕事か。気を付けてな」
 〈新月の雷光〉顔パスで俺も顔パス。ちょっと嬉しい。

「そう言えば坊やは地道に歩いてるんだよな?短時間しか森にいないのに毎度襲われてるのか」

 ぬ?
 転移使ってるから、移動に時間かけてないんだよな。
 ドットたちは奥に行ってるらしいのに毎日戻ってるな。まさか〈転移〉ってみんな使えるのか?

 俺がいつも転移に使ってる岩陰付近に着くとドットが、
「よし!人に当たる心配無しだな!シャート、やってくれ」
「はーい」
って言って、シャートが杖を懐から出して呪文を唱える。

「大空翔ける鳥より軽く、大地駆け抜ける馬より早く〈駿足〉」

 地面に魔法陣が浮かんで俺たちの身体を光が包む。
 これって付与魔法??シャートが魔導士??

「よし、じゃ行くか」
「「「おー」」」

 あ、自分の足で全力疾走する感じなのね。




================


〈新月の雷光〉
 ドット 
 ドレイク 
 クレイバー 
 シャート
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ  どこーーーー

ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど 安全が確保されてたらの話だよそれは 犬のお散歩してたはずなのに 何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。 何だか10歳になったっぽいし あらら 初めて書くので拙いですがよろしくお願いします あと、こうだったら良いなー だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

処理中です...