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一章

空も足元も

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 ほっと一息。
 小鳥の囀る声、川のせせらぎ、癒されるぅとか言いたかったんだけど、森に入ってから時折聞こえるのは鳥は鳥でも心地良くない声なんだ。

「ギョエエエー」
「キーーーーーーキーーーー」
 
 MAPに危険通知がなかったから声はよく通ってるけど、遠いんだろう。

 まずはボルクさんの愛情(?)弁当を開く。
 素早く食べられるように一口大の肉を刺した串と、レタスのような野菜で巻いた炒め物。
 おにぎりやサンドイッチみたいに片手で食べられる工夫がされてるんだ。さすが元冒険者。ギルマスやボルクさんの風格から考えるとAかもっと凄いSランクなんでは?

 大きな葉っぱは多分使い捨てなんだけど、今度自分でお弁当作るときに使えると思うから〈洗浄〉かけて保存。

 一旦タバコを挟んで、バーガーを出す。久しぶりに食べるぞー!!
 チキンフィレオにしたから久しぶりに揚げ物だ。
 あー、ボルクさん今の所揚げ物出てこないな。油高いのかな。

 揚げ物って元の体はちょっと胸焼けするような日があったんだけど今は全然イケるーーー。
 これが若さと言うものか。・・・泣くぞ。

 明日に回そうと取り出した辛口チキンとポテトも余裕でいける。
 レモネードと一緒に取り出して。
「ポテトうめぇ!」
 思わず声に出た。やっぱうまいよな。
 チキンは言わずもがな。

 今日は弁当奪われずに完食出来た。

 そう言えばMAP。
 スマホで見てると足元根っことかで転けそうだったので手を塞がないようにしたい。

 アニメとかだと脳内に浮かぶシーンが多かった(と思う)けど、俺はちょっとアナログ残ってて、動作をしたいんだよ。
 ボタン押すとか分かりやすい動作。
 思考の切り替えが目に見えていた方が安心。
 簡略化は便利だけど、これで良いのかとか確認したいって感じ。

 そこで考えたのは、スマートウォッチタイプ。画面は空中ディスプレイ。
 デシタルじゃねぇか!って思うけど、画面が小さいと目がシパシパする・・・今はしなけどさ。元の体験って残ってるじゃん。
 
 人前では使えないのはスマホと一緒だな。
 普段はアームカバーや服の袖で隠そう。

 創造魔法で、ブレスレットに大振りの宝石が付いてるような見た目の画面にMAP機能をスマホからコピペのイメージをして作った。
 我ながら良い出来・・・の前に動作確認。
 スマホ大の画面が浮かぶ。
 MAP機能、緊急通知、熱源探知、魔獣探知、薬草探知と高性能。
 本体画面は時計と方位磁石が見れるようにした。
 麻酔針仕込んだり、ボール飛び出てくるのもアリだったかな。

 万が一画面を覗かれても覗き防止で横からは黒い宝石に見える。
 俺が腕見てるのを側から見るとめっちゃ宝石好きな人だな。

 ひとまず満足。機能追加はおいおい。

 MAP見ても良さげな魔物いないから葉巻に切り替えて、ご当地クラフトビールをポチッと。あ、創造魔法が役に立ってるから、ドリアスにも送ってみよう。
 
 凍らない程度に冷やしたビール最高!
 
 真昼間から飲めて、葉巻好きに吸えるって天国じゃないか。

 三本目のビールを開けたときピコンっとMAPからお知らせが。画面出すとどう見ても俺に向かって点滅が近付いて来る。

 気配を探ってもよく分からないけど、葉巻を咥えなおして短銃をベルトから取って構えておく。
 
「ギャエェエーーーー」

 空か!!

 視界に捉えて短銃に魔力を籠める。

 バン!!バン!!
 
 初の空への銃撃、何発か外した!クソが!!
 視界に大きく入ってきたから近いのかと思ったらまだ結構遠い。

 急所は首と胸の狭間!
 どこから胸だよ!!!

 玉はストーンバレットのイメージだったけど、外れたので雷を飛ばすイメージに切り替えた。短銃から放たれた瞬間から軌道に雷が走る。
 二度外れたけど空気に分散された電気に違和感で怯んだのでもう一発で落ちた。

「ロック鳥??」
 
 これ持ち帰ると五月蝿そうか?
 だが、今は稼ぎ以上に散財してるから売れる物は売りたいぞ。
 でもサイズ的にこれが入るマジックバッグ持ちってバレちゃう。むー。
 あー、普段見なさそう(そもそも全部初見だが)な魔獣は報告義務あるんだっけ。
 
 ギルマスにこっそり出来ないか聞こう。

 二十メートルはあるか?
 解体はしない方がいいかな?

 巨体を眺めて、咥えたままの葉巻を吸い込む。
「んー」
 なんでこっち来たし。

 今日は刀を使いに来たんだ。空からの敵も刀で倒すべきだったか。
 まぁやっちまったので諦めて無限収納に入れておく。
 ビール溢れちゃったじゃないか。勿体無い。

 まだ時間があるから転移使わずに森の入り口向かおうか。
 あ、昼飯食べた時の岩を地点登録。
 登録をいっぱいしておけば、今後移動先で逃げたいとき選択肢が増える。
 ってなぜか逃げる前提なのか。

 途中で木から落ちてくるトカゲとか大ムカデにビビりつつ、森の外に出た。
 
 人目はないっぽいけど、タバコはシガリロに戻す。

 多少奥に来てるからか、新人らしき連中はに遭遇してない。町のお手伝いの方やってるのかな。
 
 薬草採取を少ししてから、門近くの岩陰まで転移した。

 馬車が四台と冒険者数組か。
  
 MAPで確認すると後続が数組いるから並んでおかないとダメか。
 もう一本だけ吸ってから並んだ。

 門番は朝の人と違った。俺をちょっと見ると「ケッ」て言いおったぞ。
 雰囲気的に「イケメン爆発しろ」って感じだったので許す。
 俺は今イケメェエエン!!
 かっこよさは俺の折り紙つきだからな。
 心も広くなるってものだ。

 ギルドに行くとちょっとばかり混んでた。
 どうしようかなぁ。常設の薬草はともかく、サルもどきとロック鳥は依頼じゃないからなぁ。

 買い取りも結構待ってるから受付並んで、薬草出しつつ、ギルマスを呼んでもらおうかな。

 暇つぶしにちょっと周囲を観察して見たら、中堅と若手の冒険者が多い。
 美醜は好みによるんだろうけど、東洋系でちょっと濃い目、わりと良い気がする。髪は赤、青、黄色、茶、白とカラフル。ちょっとパサパサかな?
 女性率は二割といったところ。 
 冒険者は危険だから、女性の多くは町の仕事に就いてるか、実家や旦那の家業を手伝ってるって昨日の飲みで聞いたな。

 俺をチラチラ見てるのもいたが率先して声が掛かることはない。最初に絡んできたランガたちが変わってただけだろう。
 
 受付が空いてプティさんに薬草を出してギルマスに会えないかな?って聞いてみたら、後ろで書類束ねていた職員に確認してもらえることに。

「じゃ薬草のお金とタグね」
 お金とタグを返してもらって、あっさり二階に行かせてもらえた。
 



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