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一章

煙草が欲しいかー!

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 冒険者ギルドに入って、受付が空いてたのでプティさんとこ並んですぐに順番が来た。

 薬草採取の常設以来の分と言って薬草を出す。
 昨日は収入がゼロだったので三種類十束ずつを出した。

「これは結構見つけにくいのに、ジェイルは凄いわね」
 銀貨一枚の薬草がお高い理由は見つけにくいからか。
 薬草を数えてる時にモヒモヒ動く鼻を凝視しちゃう。
 めっちゃ触りたい。
 でも彼女は愛玩動物ではなく獣人の女性だ。お触り厳禁だ。口周りもふもふした特殊性癖の痴漢になってしまう。

 タグに依頼達成のポイントをつけてもらって、お金も受け取って「またね」とご挨拶。

 買い取りカウンターのコモさんは暇をしてて昨日のクマのって言えば裏に促される。

「おう、来たか」
 ジョズさんが出てきて、机にドドンと十キロ肉と魔石を置いてくれた。

 クマの毛皮は頭の傷が少ないのが最高値が付くらしいけど、急所が眉間と喉だぞ。最低限の傷で持ち帰るには難関だぞ。
 っと思ったら、傷が毛で隠れるし、加工した時にほぼ傷が埋まるだろうってことで最高値頂けるらしい。

「こんな状態のいいのは俺は初めてだぞ」

 おお!!眉間から後頭部に抜けてても大丈夫だったらしい。

 毛皮が大金貨三枚、胃と肝臓がそれぞれ中金貨三枚、手の爪十枚が中金貨八枚・・・と細かく言われて、お肉はキロ金貨五枚・・・ひょー。
 なんか最初の三百万円で十分だったんだけど。
 ちなみに持ち込まれるブラックベアの毛皮はせいぜい大金貨一枚だって。三倍!!
 全部口座でいいかって言われて、引き出すのめんどくさいと思って現金って言い掛けたら、ジョズにアイアンクローされた。

「世間知らずが!大金貨なんざ普通の店じゃ使えないぞ。金貨や銀貨で持ち歩くのか?」(小声)
 あー、腰のマジックバッグ(無限収納だけど)を見せて大丈夫って言うと「二階」って言われた。なぜ。

 肉十キロと魔石だけマジックバッグに入れてジョズさんに呆れられて。

 一人で二階の部屋に入れられてしばらくしたらギルマスとジョズさんが入ってきた。

「全部現金だって?」
 ん?ダメなの?
「あのなぁ。こんな小さな町じゃ大金持って歩いてたら襲われるぞ」
 そうなの?俺クマ倒したわけだけど襲われるんだ。
「あと大金貨を金貨に両替するのは一枚までにしてくれ。明日からの支払いに障る」
 そもそも両替頼んでないのだ。
 ショッピング用に入れちゃうし。
「大きいのは大きいままでいい」
「・・・お前都会にでも出るのか」
 あ、都会なら両替出来るんだな。
「しばらくは田舎をあちこち行きたい」
 
 ギルドの口座に入れておけばどこでも下ろせるし、冒険者ギルド商業ギルドとも大手の商会ならタグを翳せば支払い出来るから、大金を現金で持つ冒険者はほとんどいないらしい。
 なら口座でいいかって聞くなよ。
 正解はいくらか現金で残り口座にって。
 テストに出るよ!
「じゃ中金貨十枚と金貨三十枚であと口座?」
 まだ渋い顔されるぅ。解せない。

「まぁそれならいい」
 ギルマスがベルで従業員?呼んで紙に書きつけた金額持ってくるようにって。
 でタグ寄越せって言われてなんか魔石のついた機械に翳した。

「お前はギルマス権限でDランク昇格だ。ブラックベアをソロならCでも良いが期間が短過ぎる」

 おお!三日でランクアップだ。チートバンザイ。

「ついでに残りの金を口座に入金だ」
 違う機械でペカーっとさせた。
 
 冒険者タグって便利な。

「なぁ!煙草吸って良いか?」
 こんな時間かかるとは。ギルマスはもう知ってるから良いよな。

「・・・良いぞ」
 そういうとギルマスは机の引き出しから自分もこの前のリトルシガーを取り出した。

 俺はポケットから取り出したフリでシガリロ取り出す。
 さすがにマッチはダメかと火魔法で着火。

「違うブツだとぉ!?」
 ガターーン!!
 ギルマスが椅子を倒して立ち上がった。
 ジョズさんが顔を覆ってる。

 リトルシガーとそう変わらないブツですが。あ、ブツって言っちゃったじゃないか。

「ぐぬぬ、香りが良い。俺の持つ葉巻コレクションより良いだと!?」
 えー、一本一万円の葉巻より良いの?それは言い過ぎでしょ。

「なんか面倒かけたみたいだし一本吸う?ジョズさんも?」

 二人してすんごい溜息吐いてから手を出した。

「マジか。ここまでか・・・」

 二人がシガリロに火を着けてそう言うからそんなに感動したのかと思ったら、俺に対しての発言だった。

 なんか俺のことは外国の高位貴族の放蕩息子だと思ってて、どうも行動がおかしいし、金銭の感覚もおかしすぎると言う。

「俺、貴族じゃないし天涯孤独だぞ」
 地球の家族は生きてるけど俺が死んでるわけだし。

 ギルマスとジョズさんがシガリロ吸うのも忘れて(勿体無い)呆然としている。

「そんな浮世離れしていて!綺麗すぎる容姿で!そんな髪色で!!貴族じゃねぇだと!?」

 えー!綺麗すぎるのは認めるよ。理想を全てぶっ込んだんだし。

「でも俺の親は田舎の農民だ」
「「ハァ!?」」

 米と野菜各種、まぁまぁ広い農地持ってるぞ。由緒正しい百姓貴族だ!(違う)

「ありえねぇだろ」

 なんだと!!農家を馬鹿にしたらバチが当たるぞ!バカチンが!

「フニャバッシーってどこの国だよ」

 なぜみんな「ナ」が言えないんだ。梨の呪いか。

「国じゃなくて町(市だけど)の名前だ」
「なんで町・・・」

 とても疲れてる。俺ももう帰りたい。

「ウォ!?」
 手に持っていたシガリロが半分くらい燃焼が進んで大ショック受けてる二人。

 匂いだけでも良いけどな。

「俺のことはもう良いだろ。世間知らずだけど問題ない」
「「問題しかねぇだろ」」
 マジか。

「なぁ、ボルクに肉届けないと夜に間に合わないだろう。もう帰る」
「はぁ・・・お前十イル全部提供すんのか?」
 ジョズさんが聞いてきた。
「あの人数、大男ばっかじゃ足りないくらいだろう」
「バーロー、大勢で食うならビッグベアぐらいで良いだろうが」

 ブラックベアが金貨五枚、ビックボア銀貨五枚!十倍だったのか。

「まぁ俺がたまたま狩ってヤンが運んでくれたから」
「その漢気はいいがな」

 悲しげにシガリロに目線をやってるので、シガリロを二箱出した。

「やる」
「「ハァ!!??」」

 ガタイのいいオジサン(元の俺よりかなり上だからオジサンでいいだろう)が叫びすぎ。

「ルートは教えないし元値も教えないが俺的には格安で手に入れたからやる」

 リトルシガーに葉巻三本出すくらいだからこれも同等か上だろう。

「お前・・・賄賂のつもりか?」
「ちげぇよ。煙草が好きな気持ちがわかるからやるってだけ」

 吸えるのに吸えないとか苦しいからな。

「ガキに施されるほど落ちぶれてねぇ。これ持ってけ」
 ギルマスが葉巻の木箱を投げてきた。
 中は五本入ってる!!

「五本は多いだろ」
「俺はブツの価値は正当に判断する」
 へぇ。いいオジサンだな。
「俺は葉巻は買い込んでない。あとでお前の宿に秘蔵の酒を持っていく」
 秘蔵!?秘蔵は心が躍る!!

「「だから宴会にも混ぜろ」」

 あ、そうなるんだ。

「肉は少し買い足しておくから」
「酒も樽で持って行く」
 めっちゃ参加したいんやん!
「ボルクに言っておく」

 先ほどの従業員が現金を持ってきてくれたので受け取ってやっと終了。

 オッさんがシガリロケース持って小躍りしてる。
 継続的に買えないの可哀想だなぁ。

「じゃぁあとでな」
「「おう」」

 やっとギルドから出て、野菜とお肉を追加で買って、酒屋でワインの樽を買って配達してもらう。

 思いの外クマ高かったからちょっとテンション上がる。
 
 さて、帰ろう。
 







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