ミャーはネコマタなのにゃ!ケット・シーじゃにゃい!

紫楼

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お別れと始まり

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 ミャーは猫!
 ママが言うにはおかあさんが捨て猫で、お外でミャーときょうだいを産んでミャーたちは自分で動ける様になってお出かけして家族と離れたんじゃないかって。

 ママはミャーがしょーがくせいって言う子供に追いかけられて石を当てられていた時に助けてくれて。

「うちにおいで」

って言ってくれたんだにゃ。

 他の家族が近くにいないか探してくれたけど、いにゃかったんだって。
 おかあさんのことはちょっと覚えてるけど会えないの悲しいにゃ。

 ママは病院に連れて行ってくれた。
「問題なくて良かったね」
 濡れた布で身体を拭いてくれて、「明日お風呂にしようね」って。

 全部初めてで言ってることがよくわからなかったけど、ママの手と声が優しかったよ。

「ナツ、ナツ、ご飯だよ」

 ミャーの名前はナツになった。夏にあったからだって。

 ママは一人暮らし。お仕事は売れない漫画家って言うんだって。
「ナツのご飯くらいは買えるよ」

 ママはほとんどうちにいて、机にくっ付いて過ごした。
 ミャーが構ってほしくて机に乗ったり肩に乗ったりはご愛嬌のなのにゃ。
「ナツは可愛いねぇ。でもお仕事の邪魔はダメェ。お膝においで」

 ママはアニメをよく見ていた。
「ナツもネコマタにならないかなぁ?長生きして一緒にいて欲しいね」
「九尾の狐ってね。尻尾が多いだけ強いんだって、かっこいいねぇ」
「妖怪でもお化けでも魔物でも長生きして欲しいな」
 ミャーには良くわからないけど尻尾が増えて長生き出来るのが良いにゃ?
 ママはファンタジーが好きで、
「いつも異世界かぁ、私は初日で死んじゃうやつだね?」
って笑ってたにゃ。
 ママは死んじゃだめー!

 そんなこんなであっという間の十八年。
 ミャーは一日中眠くて、身体もママに飛びつくのが大変になって。

 ママが起きてこなくなった。
「ママっ、起きて!抱っこして!変な顔でチュッチュして良いから!ママご飯食べよう。ママ撫でてよ」

 ミャーがいつもより寝ちゃったからかな?ママも眠い眠いね?

 でもミャーが何度も寝て起きてもママが目を開けてくれないんだ。

 ママ、ママはミャーが顔にお尻つけると笑って怒ったでしょ?

 ほらミャーが悪いことしたよ?
 
 ねぇ、ご飯の袋破いちゃうよ!

 ママ・・・。ママの手で喉撫でて。

 ママ。ミャーももう起きていられないにゃ。
 お胸に抱っこして欲しいの。



「これ、起きておくれ」

 にゃ。ママの声じゃないにゃ。

「寝坊助さん、起きて」

 誰だにゃ、ミャーとママのお家に勝手に入ったの?

「ここはお家じゃないのよ」
 
 嘘だ。
 ミャーは脱走しない良い子なんだにゃ!
 まだちっちゃなころ一回お外に出ちゃったママが泣きながら探してくれたんだ。
 ママが泣いちゃうからお外出ないんだぞ!!

「そうだね。お前は良い子。可愛い子」
 
 ママがいつも撫でてくれる時の言葉!!
 目を開けてみたら知らない人間がいる!!
 
「ママをどこやったんにゃ!」
 ここはどこ??真っ白だよ。

「お前は死ぬってわかるかい?」
「死ぬ、わかる。お庭に来るメゥちゃんとママのお友達のお家のピッピちゃんは死んだってママ言ってた。悲しいね、さびしいね、なんだよ!」

 あの時はママのお友達のノッコが泣きながらミャーのお腹に埋まってきて困ったんだにゃ。

「そうね、悲しくて寂しいね。お前のママもお前も死んでしまったんだよ」

「うそにゃ!!ママは眠い眠いしたんだ。ミャーも眠い眠いだったよ!」

「そうだね。眠いが続くと永眠って言ってずっと寝てしまうの。ずっと寝てしまうと生き物は死んでしまうのよ」

 ママ、もうおっきしないの?

「死んでしまったらもう魂が次の世界に向かうんだよ。ママはね、とてもお疲れだからしばらくはお休みしてから次の世界の行くの」

「ミャーもママのところでねんねするよ!ママと一緒に次の世界!!そこに行くにゃ!」

 ミャーはそう言うと人間は困った顔をする。この顔はミャーが壁を引っ掻いたり、ご飯の袋を破いた時のママと一緒!!

 ミャーは何か失敗したのかな。

「ごめんね。お前はママとは違う世界に行くんだよ」
「ママ、会えないにゃ?」

 嫌だよ。ママといっしょ!!ママとずっとずっといっしょって約束したんだにゃ!

「うにゃぁっあぁあぁあああああああん!!」
 ママ!ママ!!
「うぉおおおおおおおおおおぉぉおん!!」
 ママ!どこ行ったの?ママずっとミャーといっしょよって言ったよぉぉ!!

「ああ、困ったね。泣き止んでおくれ」
「ぅにゃぁぁあああん」
 
 ミャーが泣き続けたら人間が膝に乗せてくれて背中をポンポンってしてくれた。

 ママと違うけど優しい手だにゃ。

「ママからお前のことをお願いされたんだよ。聞いてくれないか?」
 ママ!?
「ママはお前に幸せになって欲しいんだ。だからね、次にお前が生まれる場所ではこれまでより幸せで人と動物が仲良しでいられる世界で暮らせるようにして欲しいってね」

 ミャーはママといっしょで世界一の幸せ猫だったのに!ママがいないと幸せじゃないのに!

「ママと同じ世界でいいのにゃ」
「ママはね、この先百年以上眠ってから生まれ変わるんだよ。お前はその間一回は生まれ変わる予定をこなさないとダメなんだよ」
 そんなの知らないにゃ。ミャーもねんねして待つにゃ。

「お前は一回生まれ変わって、いっぱい楽しいことをしていろんなことを学んで、いつか生まれ変わった先でママに会えるかもしれない。予定をこなして頑張らないとその未来にはいけないんだよ」

 ミャーはママに会えないの・・・。

「ミャーが頑張ればママに会える?」
「そうだね。神様は頑張った者の味方だからね?」
 神様?人間じゃないの?
「ふふ、私は全ての世界を見守る神だよ。見るものによって姿が変わって見える。お前にとって人間がわかりやすい姿だったのだろう」

 よくわからないにゃ!!

「ふふ、たまに私の波長にあったものがこの場所に現れる。そこ時だけ少し世界に干渉するんだ」
 神様はミャーを撫で続けてる。

「お前は別の世界で、人間と動物が仲良しの世界ではどう生きたい?」

「ミャーはネコマタになるにゃ!尻尾たくさんで強くて長生きになるにゃ!」
「ね、ねこまた?人間とか獣人の方が便利だよ?」
「ママが言ったにゃ!ネコマタになって長生きして欲しいって。九尾の狐とかなんかつよそうなのがいいにゃよ!!」

 神様が固まちゃった!!

「うーん?この世界にはネコマタと言う生き物はいないからケット・シーと言う種族で良いかい?猫が魔法を持っていて人間の言葉も話せるよ」
「つまりはネコマタに近いにゃ??」
「んー・・・それよりすごい猫族になれるよ?」

 ママはネコマタになってって言ったんだにゃ!

「うっ・・・大まかにはネコマタ・・・かな?」
「ならいいにゃん!!」

「そうか。ではそうしようか。お前が新しい世界で生きていくやすいように魔法が使えるようにしよう」
 魔法!ママが見てたアニメでやってた!!

「それからその世界の言葉、人と関わっていくためにママの持っていた知識を授けよう」

 ママの?知識ってなぁに?ミャーのことが好きって気持ち??

「ゴホッ!いや心の中はダメだ。人には他人に見られたり知られたくない気持ちがあるからな」
 ミャーは他人じゃないにゃよ!!

「・・・知識の付随する少しの記憶は残るかも知れない」
「ママの気持ち!!」
「そうだな。少しの気配は感じるかもしれない。だがお前は新しい世界で新しい関係を大切にしないとダメだよ?」

 うー、ママのことは大事!!ミャーはママがしてくれたことをしてあげられるネコマタになるにゃ!

「そうかい。それは良いことだ。では姿に要望があるかい?」

「要望?姿って毛皮のこと??」
「毛皮・・・」
「ミャーは今のままの姿でママと会いたいんだ!」
 神様はグホッて言ったり、ウグゥって言ったり変なんだ。ピッピちゃんのママみたいだにゃ。
 「ナツちゃああんっ!うんーーっっまっ!んっっま!」
ってミャーの毛皮を顔でぐりぐりして、「ハァハァ」って。
 ママが「あんた顔が溶けてるよ」って笑っていたんだにゃ。

「ゴホン!可愛いからそうなるのは仕方ない」
 ミャーは可愛い。それなら仕方ないね!

「ネコマタは猫が進化したものだろう?ならば姿はそのままとはいかないが特徴はそのままにしよう」
 とくちょ?ママがわかるならそれで良いよ。

「ママとの約束でお前に良い家を準備したから家をそこで暮らしてごらん。落ち着いたら旅に出ても良い」
 お家?ママと暮らしたお家みたい?

「ママが憧れていたお家かな?新しい世界の建物だからね」
 ふーん?

「ママがお前に用意していた環境はそのまま引き継ぐよ」
 ママが!!
 ミャーのおもちゃとかおやつとかある?

「あるよ。おやつとご飯はお前の好きなものがいつでも手に入るよ」
 わー!ママの手作りご飯!!
 ニャールとニャルカンとかもだね!
 やったー♪
 最近はあまり食欲がなくて食べられなかったけど、いっぱい食べるんだ!

「ふふ。このカバンはマジックバッグ。容量は最大限にしてあるから無限収納だけどね。いっぱい物がしまえるよ。ここからご飯も出せるからね」
 どこでもご飯とおやつが!
 
「さぁ姿を整えて、知識を授けるよ」

 ミャーはママのようにいろんなことが分かってやれるんだな!すごいすごい。

「ふむ。これはまた可愛いな。手放し難いことよ」

 ミャーの体が大きくなって毛皮もなんかふわふわもさもさしてる!!
 手が大きい!!
 !?

「尻尾!!尻尾が一本しかないにゃ!!!ネコマタは二本って知ってるにゃ!いっぱいあるのが強いにゃからもっと欲しいにゃよ!!!」

「いや尻尾が一本でもお前は強くなるからね」
「ダメにゃ!最低二本は必要にゃ!」
 思わず尻尾でペシペシしちゃうよ。

「あー、あー、分かった。二本、二本にしてね」
 それでこそネコマタ!

「あとは服と靴、道具、お金」
「忘れ物はないかなぁ!?」
「神様はもう会えにゃい?」
 グウ!

「町の神殿にお祈りに来てくれたら少しお話し出来るよ」
「分かった!」

 ミャーは二本足で立つ猫になった。
 ちょっと頭の中は変化した気がするよ。

 用意した家には家妖精のシルキーがいてお掃除やご飯を食べて用意してくれるんだって。
嬉しいにゃ!

「これはお前の身分証だ。これがあれば、お前の存在が保証される。町の出入りや、大きな物の売り買いに必要だから無くさないようにね」

 他にもいろいろ言われたけど、あんまり一気に言っても覚えられないだろうから、困ったら神殿においでって言ってくれたにゃ。

「さぁ、行っておいで。楽しく幸せに暮らして、いつかお前の物語をママにお話ししような」

 んっ!分かったにゃ!

 いっぱいありがと!

 ママに良い子って言ってもらうために頑張るんだにゃ!



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寝ぼけてまだ書き溜める予定を公開しちゃったので、このまま出しておきます。スローペースですが、よろしくお願いします。
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