追放薬師は人見知り!?

川上とむ

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第三部 夏の思い出を作りに行きます!?

第13話『薬師、招集される』

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「もう少し我慢して。あともうちょっとだから」
「ぁあっ……」
 全てが中に収まり、慣れるまでそのままでいる。
 きつく拘束したままではやりずらい。一応脚に力が入らないように魔法を掛けてから足枷を外して膝に手を入れて股を大きく開かせる。
 その間、バルタザールは中の異物に吐き気を催しているようだった。そんな彼を慰めるように頭を撫でて、額や首筋に唇を落とす。弱々しくバルタザールが頼む。
「お願いだから抜いてくれ」
「大丈夫。最初は痛いけど慣れると気持ちいいから」
 安心させたつもりだった。だがバルタザールは全てを拒絶するように目を瞑り、悲痛な表情を浮かべてしまう。そんなに中が痛いのだろうか、もう少し慣れさせればよかったと後悔する。
 長めに時間を取ってそろそろ大丈夫だろうと、腰を動かす。バルタザールが苦痛をこれ以上感じないように快感を得られる前立腺を探した。
「あっ……!」
 バルタザールが聞いたこともないかわいらしい声を溢す。彼自身まるで覗いてはいけない秘密を暴かれてしまったような、そんな表情をしていた。そんな顔をもっと見たい。
「あっ、ああ、あああっ、ああ!」
 重点的に弱いところを責めるとバルタザールは更にかわいらしい声を喉から溢れさせた。
 誰にも媚びず靡かず、まるで王様のように隊長として指揮していたあのバルタザールが自分の下で甘く喘いでいる。こんなに興奮することはなかった。
「ほんとっかわいい……!」
 欲が体を支配する。ガツガツと前立腺を抉りながら奥を突く。バルタザールの嬌声も激しくなっていき、共に快感を感じてくれているのが嬉しかった。
「バルタザール、好きだよ」
「あっ、あっ、ああ!」
 バルタザールも同じ気持ちなのだと気付かせるように耳元で呪文のように「好き」を繰り返し伝えた。感じて言葉を聞いていられる余裕はそうないだろうから余計に何度も繰り返しだ。
「っぁあああ──!」
 びゅるると中に吐き出すのと同時にバルタザールも背を仰け反らせて射精する。
 孕ませたい、そんな本能が働いて腰を動かして種を奥に塗り込む。きっと疲れてしまったのだろう。バルタザールは力なく虚空を見つめていた。そんな彼を労おうと今度こそ唇を優しく重ねる。するとポロポロとバルタザールは涙を流してしまった。
「ごめん。もしかして痛かった?」
 初めてなのに激しくし過ぎてしまったかもしれない。バルタザールは我慢強いから余計泣かせてしまったことがショックだった。
 どうにかしようとひとまず中から抜いて、傷がないか確認したり頭を撫でて慰める。だが一向にバルタザールの涙は止まない。疲労もあって虚空を見つめたまま頬に涙が伝う。
 傷はないからまだ慣らしが充分ではなかったのだろう。
「ごめん。俺のせいで痛い思いをさせて。最初からやり直そう」
 ちゃんとバルタザールが痛みなく快感を得られるように一から始める。魔法で気体の水蒸気からスライムに似た塊を作り出す。これなら無理なく中にぴったり収まるからいいだろう。
「ちょっとひんやりするよ」
「っぁ……!」
 掌からするりと塊が後孔に挿入っていく。様子から見るに痛くはなさそうだ。塊は自分で操作出来る。奥の閉じた部分まで進み、ぐにゅっと押してみる。
「っ……!」
 目を大きく見開いて声にならない声を叫ぶ。反応は良さそうだった。トントンと扉をノックするように刺激してやる。
「っあ、ああっ、あ、っあ!」
 気持ちいいようで良かった。アレクシスは塊を操作しながら、バルタザールの胸に手を伸ばす。つついたり、引っ張ったりすると彼は快感に眉根を寄せた。
「好きだよ、バルタザール」
 それから快感を体に染み込ませようと焦ったく中の閉じた扉を叩き続けた。だが少しおかしい。バルタザールが言葉一つ発さないのだ。声にするのは嬌声のみで、なんだか自我を失っているようにも見えてしまう。それが疲労や快感故とはどうしても思えなかった。
 一度刺激するのをやめて「バルタザール」と名前を呼んでみる。けれど彼は人形のように顔も体も動かない。
 不安が押し寄せてくる。アレクシスは不安をかき消すように道具を増やした。後孔から弱った膨らみを塊で弄りながら、尿道に同じようにスライム状の塊を挿入れて、その中から直接前立腺を弄って両方から責めた。胸も指先で触れて、性欲を煽るように舌を絡ませた。
「あっ、あ、ああ、ぁあああ──!」
 快感しかない状態にバルタザールは激しく喘ぐ。
 快感に溺れれば彼は少なからず人形にはならない。色欲に浸る表情を見せてくれる。
(だってバルタザールは俺のことが好きなはずだ。ただ気付いていないだけなんだ)
 自分のしでかしてしまった過ちを認めるのが怖かった。腸液でぐちゅぐちゅになるまで慣らし、それから三日通しでアレクシスはバルタザールを抱いた。
 彼が言葉を発したのはその三日目、結腸を大きな熱で抜いた時だった。
「っ……!」
「好きだよ。好き、好き、好き」
 呪文を唱え、休みなく快感を与える。部屋に水音と叫びのような嬌声が響く。ふとアレクシスが反応を確認するとバルタザールが性に溺れる雌のように瞳を溶かし、崩れた笑みを浮かべていた。
「あ、んおお、っああ、すき、っ、ああっ、おれもすき……!」
 不安は砂のように消え去っていき、杯から滝のように喜びが溢れていく。
「やっと気付いてくれたんだね」
 アレクシスは唇を重ねた。バルタザールは口に滑るように侵入する彼の舌を快く迎えた。


♢♢♢


 それからページをパラパラと捲ったが、アレクシスに異常な深い愛を注がれ続け、そのまま一生監禁エンドのようだった。ゾッとするような未来。だが一言これだけは言いたかった。
「せめて俺は抱く側だろうが!」
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