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おまけ 2
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家族で夕食をとることに……なったのだがテーブルマナーが必要なやつだこれ。
どうしようと内心ヒヤヒヤしていたが、妻のミランダの入室で更に緊張感が高まった。
すごい美人!どうしよう、どうにもならないけど何とか平静を装うことにする。いや無理だろ!
カミーユに話しかけて誤魔化してたらミランダから注意された。終わった……
あとでミルラムから夫婦仲が冷え切っていた事を聞いた。なるほどなー、マイナスからのスタートか、どうにもならんよ!
いやでもこれ以上下がることがないってことだからあとは上がるだけだ、頑張ろう。
それとマナーがなってないと注意された、そりゃそうだ。これから必要なことをミルラムから教わることにした。マナー関係はカミーユと一緒にやろう。
それからはミランダともなるべく顔を合わせるようにしたけど不審がられてあまり芳しくない。領地の仕事をミランダに丸投げしてたマキシムに腹を立てつつ、俺がやったら少しは株が上がるだろうかなどと考え書類を捌いていく。数字関係ならなんとかなりそうだ。
領地を散策したくなった。徒歩だとその辺しか行けないから馬に乗ってみようなどと調子に乗ってごめんなさい。馬にすら完全に舐められてる。心が折れかけた俺にミルラムがそっと「奥様も見直しますよ」と告げた、乗馬くらいこなしてやらあ!
我ながらチョロいと思わなくもないけどそれより、え、バレてる?ミルラムの生温かい笑顔が刺さった。
落馬して泥だらけになったところをミランダに見られてしまった。カッコ悪い……へへ、と照れ笑いを浮かべてその場を去るという選択肢しか選べなかった。
やっとまともに乗れるようになって少し遠出すると小高い丘を見つけた。ここまでみんなとピクニックするのも良さそうだ。
ミルラムとカミーユを巻き込んで計画を練る。
作戦はうまくいったようでミランダを誘うことに成功したのだがなんだかピリピリしてる。また失敗してしまったんだろうか。それでもなんとか丘まで馬に乗って一緒に来てくれた。
途中から様子が変わったし、馬に乗る姿が様になり過ぎてて見惚れてしまった。馬上での会話は少しすんなりいったと思う。
しかし馬の名前がドゥームズデイとバッドニュースなんて、ゲーム中にも説明書にも攻略本にすら出てなかったぞ。でもあの開発陣なら付けかねないとなんだか勝手に納得してしまった。
丘に着いたらミランダが急に駆け出した。カミーユを抱きかかえ急いで後を追う。
「こんなにきれいな所があったんだなぁ」
思わず言ってしまったほど美しい景色が眼前に飛び込んできた。
ゲームでは、ここはかつてフォーレ領だったとしか説明されずモンスターが蔓延る土地になってしまっていたから、こんな場所があるなんて思いもしなかった。
でもそれよりも驚かされたのはミランダの晴れ晴れとした顔と光を宿した蒼い瞳で、あまりの美しさに目どころか命まで奪われた。心はもう奪われてたからね、ってやかましわ!
とにかく僕は、女神に会った。
それから雰囲気の柔らかくなったミランダと家族で団欒する時間がとれた。カミーユとも仲良くしているし、これでこの子が悪の道に走ることは無くなったんじゃないかと希望が持てた。ミルラムも慈愛に満ちた笑顔で親指を立てている。意外とお茶目だ。
ここから先はマキシムの問題を片付ける必要があるだろうと、王都にあるフォーレ家所有の別邸に向かう。
半刻もしないうちに証拠になる書類が大量に見つかった。こいつ思った以上に真っ黒だ……
おそらくだが、王家への影響力を持つミランダをマキシムが排除。駒として利用しようとしていたカミーユに逆に討たれてしまう。マキシムの計画を知ったカミーユがその後を引き継ぐことに。こんなに分かりやすく其処彼処に書類が置いてあるんだからカミーユもすぐ見つけるよな。
ゲーム中カミーユの「これで俺は父親を超える!」というセリフはそういう事だったんだろうなあ。
正直マキシムが魔王を復活させたとしてそれで何がしたかったのかは分からない。ただひたすらに世界に混沌をもたらしたかったのか、マキシムの出自に起因するものなのか、原作がそうだからなのか。
だとしても到底納得も許容もしないけど。息子は可愛いし、つ、つつ、妻は素敵な人だし、悪い方にどうにかしようなんて思う訳がない。
証拠となりそうな書類の束を隠し、一度フォーレ領へ。どうしたらいいのか考えなければ。
あの書類で誰が間者かは分かってるから何とか一網打尽にしたい。あ、俺が裏切ったって知られたら家族にも害が及ぶかもしれない。
そう思ったら不安で不安でカミーユやミランダと一緒にいる時間が増えた。ミランダは何も言わず寄り添ってくれる、優しい!
ようやく覚悟が決まった。決まったんだが、自分がどれだけ戦えるのか……ミランダが朝、私兵と一緒に剣の稽古をしてたから試してみよう。
手加減されても困るのでマキシムを意識して煽ってみる。「こいつ何言ってんの?」という呆れた視線が既に痛いが気にしない。
一応剣を構えてみたが、ミランダの気迫が凄過ぎて情けない声を出して腰を抜かしてしまった。カッコ悪すぎる……
剣術が出来る以前の問題だった。後で思い返したら、マキシムが出来たはずの馬術が出来なかったんだから剣術だって当然出来る訳ないんだ。前世でやってたならともかく。トボー……
みんなを守って一家の大黒柱然としたかったのだが、どうにもならないのでミランダにも協力してもらうことにした。
あまり上手く話せなかったけど辛抱強く聞いてくれて、協力してくれることになった。
王都へ向かう道中、魔法の稽古をする事に、したんだが……
「何故だ!全然出来ない!」
《吹けよ風、呼べよ嵐!マウンテンストーム!》はカミーユも使ってたから、その親である俺も使えると思ったのに……!
攻略本に何かヒントは──
──カミーユの使うあの魔法ですが?
M田:この人の謎のブッチャー押しです
T島:良いじゃん、ブッチャー!
S手:仕事場でもよく怪鳥音出してるもんな
T島:一応説明すると、アブドーラ・ザ・ブッチ
ャーというプロレスラーが居まして、その
人の入場曲が『吹けよ風、呼べよ嵐』って
云うんですよ。で、必殺技が“山嵐”なので
英語にして
M田:もちろんゲームとは一切関係無いです
T島:リスペクトとオマージュですね。一応もう
一つの必殺技も入れようかと案を出したん
ですけど
S手:“毒針エルボー”は流石にね
T島:良いと思ったんですけどねー
……開発陣の謎のブッチャー愛しか出てこなかった!
「攻撃が駄目なら防御とか……?」
項垂れてた俺に女神様から神託が……!?ミランダ様、やはりあなたは女神だったのか!
防御魔法は成功した!これで俺の一網打尽作戦もきっと上手くいくし俺も死なずに済む!
===================
“推し”を時代を考慮して“押し”にしてます。昔はこっち使ってたんじゃないかな。知らんけど
どうしようと内心ヒヤヒヤしていたが、妻のミランダの入室で更に緊張感が高まった。
すごい美人!どうしよう、どうにもならないけど何とか平静を装うことにする。いや無理だろ!
カミーユに話しかけて誤魔化してたらミランダから注意された。終わった……
あとでミルラムから夫婦仲が冷え切っていた事を聞いた。なるほどなー、マイナスからのスタートか、どうにもならんよ!
いやでもこれ以上下がることがないってことだからあとは上がるだけだ、頑張ろう。
それとマナーがなってないと注意された、そりゃそうだ。これから必要なことをミルラムから教わることにした。マナー関係はカミーユと一緒にやろう。
それからはミランダともなるべく顔を合わせるようにしたけど不審がられてあまり芳しくない。領地の仕事をミランダに丸投げしてたマキシムに腹を立てつつ、俺がやったら少しは株が上がるだろうかなどと考え書類を捌いていく。数字関係ならなんとかなりそうだ。
領地を散策したくなった。徒歩だとその辺しか行けないから馬に乗ってみようなどと調子に乗ってごめんなさい。馬にすら完全に舐められてる。心が折れかけた俺にミルラムがそっと「奥様も見直しますよ」と告げた、乗馬くらいこなしてやらあ!
我ながらチョロいと思わなくもないけどそれより、え、バレてる?ミルラムの生温かい笑顔が刺さった。
落馬して泥だらけになったところをミランダに見られてしまった。カッコ悪い……へへ、と照れ笑いを浮かべてその場を去るという選択肢しか選べなかった。
やっとまともに乗れるようになって少し遠出すると小高い丘を見つけた。ここまでみんなとピクニックするのも良さそうだ。
ミルラムとカミーユを巻き込んで計画を練る。
作戦はうまくいったようでミランダを誘うことに成功したのだがなんだかピリピリしてる。また失敗してしまったんだろうか。それでもなんとか丘まで馬に乗って一緒に来てくれた。
途中から様子が変わったし、馬に乗る姿が様になり過ぎてて見惚れてしまった。馬上での会話は少しすんなりいったと思う。
しかし馬の名前がドゥームズデイとバッドニュースなんて、ゲーム中にも説明書にも攻略本にすら出てなかったぞ。でもあの開発陣なら付けかねないとなんだか勝手に納得してしまった。
丘に着いたらミランダが急に駆け出した。カミーユを抱きかかえ急いで後を追う。
「こんなにきれいな所があったんだなぁ」
思わず言ってしまったほど美しい景色が眼前に飛び込んできた。
ゲームでは、ここはかつてフォーレ領だったとしか説明されずモンスターが蔓延る土地になってしまっていたから、こんな場所があるなんて思いもしなかった。
でもそれよりも驚かされたのはミランダの晴れ晴れとした顔と光を宿した蒼い瞳で、あまりの美しさに目どころか命まで奪われた。心はもう奪われてたからね、ってやかましわ!
とにかく僕は、女神に会った。
それから雰囲気の柔らかくなったミランダと家族で団欒する時間がとれた。カミーユとも仲良くしているし、これでこの子が悪の道に走ることは無くなったんじゃないかと希望が持てた。ミルラムも慈愛に満ちた笑顔で親指を立てている。意外とお茶目だ。
ここから先はマキシムの問題を片付ける必要があるだろうと、王都にあるフォーレ家所有の別邸に向かう。
半刻もしないうちに証拠になる書類が大量に見つかった。こいつ思った以上に真っ黒だ……
おそらくだが、王家への影響力を持つミランダをマキシムが排除。駒として利用しようとしていたカミーユに逆に討たれてしまう。マキシムの計画を知ったカミーユがその後を引き継ぐことに。こんなに分かりやすく其処彼処に書類が置いてあるんだからカミーユもすぐ見つけるよな。
ゲーム中カミーユの「これで俺は父親を超える!」というセリフはそういう事だったんだろうなあ。
正直マキシムが魔王を復活させたとしてそれで何がしたかったのかは分からない。ただひたすらに世界に混沌をもたらしたかったのか、マキシムの出自に起因するものなのか、原作がそうだからなのか。
だとしても到底納得も許容もしないけど。息子は可愛いし、つ、つつ、妻は素敵な人だし、悪い方にどうにかしようなんて思う訳がない。
証拠となりそうな書類の束を隠し、一度フォーレ領へ。どうしたらいいのか考えなければ。
あの書類で誰が間者かは分かってるから何とか一網打尽にしたい。あ、俺が裏切ったって知られたら家族にも害が及ぶかもしれない。
そう思ったら不安で不安でカミーユやミランダと一緒にいる時間が増えた。ミランダは何も言わず寄り添ってくれる、優しい!
ようやく覚悟が決まった。決まったんだが、自分がどれだけ戦えるのか……ミランダが朝、私兵と一緒に剣の稽古をしてたから試してみよう。
手加減されても困るのでマキシムを意識して煽ってみる。「こいつ何言ってんの?」という呆れた視線が既に痛いが気にしない。
一応剣を構えてみたが、ミランダの気迫が凄過ぎて情けない声を出して腰を抜かしてしまった。カッコ悪すぎる……
剣術が出来る以前の問題だった。後で思い返したら、マキシムが出来たはずの馬術が出来なかったんだから剣術だって当然出来る訳ないんだ。前世でやってたならともかく。トボー……
みんなを守って一家の大黒柱然としたかったのだが、どうにもならないのでミランダにも協力してもらうことにした。
あまり上手く話せなかったけど辛抱強く聞いてくれて、協力してくれることになった。
王都へ向かう道中、魔法の稽古をする事に、したんだが……
「何故だ!全然出来ない!」
《吹けよ風、呼べよ嵐!マウンテンストーム!》はカミーユも使ってたから、その親である俺も使えると思ったのに……!
攻略本に何かヒントは──
──カミーユの使うあの魔法ですが?
M田:この人の謎のブッチャー押しです
T島:良いじゃん、ブッチャー!
S手:仕事場でもよく怪鳥音出してるもんな
T島:一応説明すると、アブドーラ・ザ・ブッチ
ャーというプロレスラーが居まして、その
人の入場曲が『吹けよ風、呼べよ嵐』って
云うんですよ。で、必殺技が“山嵐”なので
英語にして
M田:もちろんゲームとは一切関係無いです
T島:リスペクトとオマージュですね。一応もう
一つの必殺技も入れようかと案を出したん
ですけど
S手:“毒針エルボー”は流石にね
T島:良いと思ったんですけどねー
……開発陣の謎のブッチャー愛しか出てこなかった!
「攻撃が駄目なら防御とか……?」
項垂れてた俺に女神様から神託が……!?ミランダ様、やはりあなたは女神だったのか!
防御魔法は成功した!これで俺の一網打尽作戦もきっと上手くいくし俺も死なずに済む!
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“推し”を時代を考慮して“押し”にしてます。昔はこっち使ってたんじゃないかな。知らんけど
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