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「そういえばエンジュさんは今何をなさってるんですか?」

とライラさんが訪ねてきた。
 私は孤児院で働いていることを簡単に話した。
 アレックスが「大丈夫なのか?」とか「だからその見た目」とか合いの手を打ってくれた。あ、大丈夫なのか?って今までの話し方で人と上手くやっていけてるのかって事?それと見た目とか、さっきから思ってたけどちょいちょい失礼だぞ!

「孤児院か、今まで注視してこなかったが、うまく機能しているのか?」

自国のことなのでエリオット王子が真剣に聞いてくれた。

「聖女の力でポーションを作って財源に充ててますが正直厳しいです。あ!王子も寄付してくれますか?」

最後の一言は余計だったようでエリオット王子の目がキラリと光るのを見た。

「すいません調子に乗りました」

と再度額をテーブルにつけて平謝りした。

「いや、そのことはいいんだ。我が国のことでもあるし。近々視察に行こうと思う。ライラも一緒にきてくれるか?」
「はい、ご一緒したく思います」

とこの2人は始終仲睦まじかった、幸せになれよ!

 「じゃあ俺も行こうかな」などとアレックスとジュリアンも乗り気だ。

「はい!ぜひいらして下さい!勉強は私でも何とか教えられますが、剣術や楽器など教えていただけると子供たちも喜びますし、何より将来の糧になりますので」

 その言葉に皆が笑顔になるのが嬉しい。「ちゃんと聖女だな」とか「学園の時より親しみが持てる」とかは褒め言葉だと思っておこう!

 いつしか雨音はしなくなり、窓の外は明るくなっていて、私たちはそれぞれの帰路に着くこととなった。あ、お代はエリオット王子が出してくれました。


 孤児院に戻ると皆が来るのを楽しみに思っている私がいる。学園に通っていた時はあれ程避けていたというのに。
 これもゲームの強制力だとしたら悪くないかも。今度はちゃんとただひとりの人間としてそれぞれに向き合おう。

 そういえば、一応のエンディングがノーマルエンドじゃなかった気がするのよね。
 とそこで今日の皆の話から嫌な考えに思い至る。
 もしかして私が学園でおとなしくしてたから、それまでのマイナス評価が多少修正された結果……ってこと?

 その思考をどうにかしたくて、院長秘蔵のお酒に手を出した。


~おわり~
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