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入社試験、拝島(はいじま)の場合

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ブーブー

メールがなっているが見たくない。
本当に見たくない。もう本当に見たくない。
きっとお祈りメールだからだ

私、拝島は経営学部に通う大学四年生の女子大生だが、卒業が近い2月になっても進路が決まっていない。
周囲の友人は経理や経営、営業職など大学で学んだ事を活かした就職先を決めていたが、私は「地図に残る仕事」というフレーズのCMを見て建設業に絞って住所活動をしていた。

「今残ってる面接は住永リフォームだけかー」

メールはお祈りメールだったがもうショックも対して受けていない。
面接の場で面接官にはっきりと営業職に興味ないですか?と聞かれていたからだ。
現場監督ではいらない!と言われたようなもんだ。

追い詰められて何故か全く気付いていなかったがリフォーム会社では新築(地図に残る新しい建造物)は作らない。
そして、何故かその勘違いをしたまま受け答えしている彼女が第一、第二面接をクリアしている異常な面接にも誰も気付いていない。
そして、最終面接の場での噛み合わないやり取りが行われる。



「どうぞ。お入り下さい。」
「失礼します。拝島です。」

Q1
「何故当社を志望しましたか?」

A1
「私は地図に残る仕事をしたいと思い建設業界を志望しました。御社で経験を積みいずれは大きな建築物の現場を任せてもらえるように頑張りたいです。」

Q1の面接官の印象
は?うちはリフォームだけど

Q2
「自己PRをしてください。」

A2
「私の強みは建設業に対する情熱です。何もない所から人々が笑顔で楽しんだり、安心して過ごす場所を作る事にやり甲斐を感じています。その為ならどんな事でも頑張れます。」

Q2の面接官の印象
え?何もない所から?

Q3
「うちに入社したらどんな仕事がしたいですか。」

A3
「どんな現場でも頑張りますが、大変でも出来るだけ大きな現場で一から関わりたいです。」

Q3の面接官の印象
一から、、、うちはリフォーム、、、あっ!

Q4
「うちは関連会社とジョイントベンチャーや出向はありますが大丈夫ですか。」

A4
(ジョイントベンチャー?出航?船???って何だ??でもまぁここ落ちたらもうほんとに何も進路ないし!)
「はい!大丈夫です!」

Q4の面接官の印象
よし!でもうちの仕事を理解はしていないけどなー


数日後のメール
拝島様
この度は当社住永リフォームを受験していただきありがとうございました。
4月の入社式でお会いできる事を楽しみにしております。
残り少ない(本当にもう残り少ない)大学生活を有意義にお過ごしください。

「やったぁぁぁぁ!もう絶対この会社でずっと頑張る!」

彼女はこの時、この先の10年先まで住永リフォームの現場で働く事は1日たりともないことを知らなかった。
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