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本編
第50話 初対面
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ゴリラが視線の向けると、そこにはポニーテールを揺らしながら掛けてくる亀浦マリン30歳の姿があった。
サングラスとニヒルな笑みが特徴のゆるキャラ。バナナ先輩の描かれたコラボ浴衣に、鼻緒の部分がバナナ色をした草履を履いている。
もちろん、その首元にはゴリラからプレゼントされたバナナのネックレスが輝く。
「ウホー!」
ゴリラは子供ような笑みを浮かべ大きく手を振る。
だが、その後ろには、霊長類最強の彼であっても、目を疑う生物が立っていた。
「あれが、噂に聞くゴリラか……」
低い声で呟くのは、彼が利用している24時間ジムを責任者でもある人物。
体格は身長185cm、体重95kg。
好きな物は、バナナとプロテイン。
嫌いな物は、桃と老化。
その肌は日焼けの為に黒く、筋骨隆々でまさしく、ほぼゴリラの人間で。
その昔、海で名を馳せた人物子孫だとか何だとか。
短め白髪と年中半袖半パン姿が似合う早乙女臣103歳だ。
今日もブレることなく、半袖半パンで来ていた。
「亀ちゃん、亀ちゃん……あやつがゴリラだな?」
臣は小声でマリンに話し掛ける。
「は、はい! ゴリラさんです!」
「やはり、そ、そうか……うむ。思ってたよりデカいな」
そう、桃子が呼んだゴリラにも縁のある人達というのはこの2人である。
「久しぶりだねー! 何の連絡もないから死んだのかと思ったよ~!」
ゴリラをまじまじと見つめる臣の前に現れたのは、先程まで町内会の面々と会話をしていた桃子だ。
桃子と臣の因縁は先祖から続くとか、続かないとか……真相は誰にもわからないが、腐れ縁なのは確かである。
なんと2人は幼少期からの知り合いで、全てに置いて張り合ってきた存在でもあるのだ。
学生時代には、そのカリスマ性から自然と周囲に人が集まり、互いに2つの派閥が生まれたりなんかもした。
桃のマークが特徴のきび団子組、亀のマークが特徴の玉手箱組という派閥が。
「ふん! お前より先に死ぬことはない!」
「奇遇だね~! それは私も同じだよ。そういえばなんで今年は来たのかしらね~? 毎年、連絡しても既読スルーか、忙しいっていう短い返事で断っていたと思うけど?」
「い、いや。それはだな……」
臣は娘同然のマリンの想い人ならぬ、想いゴリラの品定めする為、あとのことは何も考えず、この公園に訪れたのだ。
痛いところを突かれて戸惑う臣と口調は柔らかくも刺々しい視線を向ける桃子を前にして、この場に居合わせた全員が口をつぐむ。
だが、そんな中。
2人の中に割って入る黒い塊がいた。
「ウホウホ!」
そう、ゴリラ。
彼は2人の表面上のやり取りではなく、その雰囲気から仲良くしたいということ察したのだ。
これは人間にはない。動物的直感、いやゴリラ的直感。
ゴリラセンスだ。
彼は戸惑う臣と桃子の手を優しく掴み、握手させた。
「ウホウホ!」
そして、いつものようにバナナをポーチから取り出し、新聞紙を剥がすと臣に渡す。
今日のバナナは台湾バナナ。
気温や気候の問題もあり、熟すにはとても時間が掛かる。だが、その分普通のバナナより、甘くねっとりとした口当たりとなる。
日本においてはフィリピンが8割、エクアドル産2割。
台湾産も流通シェアを上げてきたとはいえ、まだ1割にも満たない。
つまり、希少価値の高いバナナである。
「ん? これをワシにか?」
「ウホウホ!」
「いや、でもな……」
差し出されたバナナを受け取ることを躊躇う臣。
それもそのはずで、バナナを手渡されたのは臣だけで。
桃子には何もなかったからだ。
「ワシ1人で食べるのはさすがにだな……」
臣はその状況に頭を悩ませる。
しかし、ゴリラの表情は明るかった。
白い歯を見せて半分に折るのような動作をしている。
「は、半分にしろ?」
「ウホウホ」
ゴリラは優しい笑みを浮かべ首を縦に振る。
彼の無邪気なゴリラスマイルに背中を押された臣は、バナナの皮を丁寧に剥き半分に折ると、皮の付いた持ちやすい方を桃子に渡した。
「んっ! 今日はよろしく頼む。あと、その……なんというか、あんまり連絡できずすまなかったな……」
「うふふ、大丈夫ですよ。わかっていますから。ちょっとイジワルをしてみたかっただけです。お互い忙しくてなかなか会えないので」
「……おう」
ゴリラの気遣いとバナナの力により、2人の間にあたたかい雰囲気が漂う。
――パン!
バナナを食べ終わった桃子が手を叩く。
「よし! この盆踊り大会成功させるわよ~! おー!」
そういうと桃子は食べ終わったバナナの皮を勢いよく掲げる。
その場に集まったバナ友、町内会メンバーも続いた。
「「「おー!」」」
☆☆☆
この後。
桃子より、的確な人員配置がなされていった。
マリンとすももwithさんたろうは通行人の案内と、迷子の対応を。
犬太と誠は、イベントのアナウンスに進行を。
臣とゴリラは、このお祭り名物のチョコバナナ屋台をメインに、町内会メンバーと共に射的、スーパーボール掬いなどの出店を任された。
サングラスとニヒルな笑みが特徴のゆるキャラ。バナナ先輩の描かれたコラボ浴衣に、鼻緒の部分がバナナ色をした草履を履いている。
もちろん、その首元にはゴリラからプレゼントされたバナナのネックレスが輝く。
「ウホー!」
ゴリラは子供ような笑みを浮かべ大きく手を振る。
だが、その後ろには、霊長類最強の彼であっても、目を疑う生物が立っていた。
「あれが、噂に聞くゴリラか……」
低い声で呟くのは、彼が利用している24時間ジムを責任者でもある人物。
体格は身長185cm、体重95kg。
好きな物は、バナナとプロテイン。
嫌いな物は、桃と老化。
その肌は日焼けの為に黒く、筋骨隆々でまさしく、ほぼゴリラの人間で。
その昔、海で名を馳せた人物子孫だとか何だとか。
短め白髪と年中半袖半パン姿が似合う早乙女臣103歳だ。
今日もブレることなく、半袖半パンで来ていた。
「亀ちゃん、亀ちゃん……あやつがゴリラだな?」
臣は小声でマリンに話し掛ける。
「は、はい! ゴリラさんです!」
「やはり、そ、そうか……うむ。思ってたよりデカいな」
そう、桃子が呼んだゴリラにも縁のある人達というのはこの2人である。
「久しぶりだねー! 何の連絡もないから死んだのかと思ったよ~!」
ゴリラをまじまじと見つめる臣の前に現れたのは、先程まで町内会の面々と会話をしていた桃子だ。
桃子と臣の因縁は先祖から続くとか、続かないとか……真相は誰にもわからないが、腐れ縁なのは確かである。
なんと2人は幼少期からの知り合いで、全てに置いて張り合ってきた存在でもあるのだ。
学生時代には、そのカリスマ性から自然と周囲に人が集まり、互いに2つの派閥が生まれたりなんかもした。
桃のマークが特徴のきび団子組、亀のマークが特徴の玉手箱組という派閥が。
「ふん! お前より先に死ぬことはない!」
「奇遇だね~! それは私も同じだよ。そういえばなんで今年は来たのかしらね~? 毎年、連絡しても既読スルーか、忙しいっていう短い返事で断っていたと思うけど?」
「い、いや。それはだな……」
臣は娘同然のマリンの想い人ならぬ、想いゴリラの品定めする為、あとのことは何も考えず、この公園に訪れたのだ。
痛いところを突かれて戸惑う臣と口調は柔らかくも刺々しい視線を向ける桃子を前にして、この場に居合わせた全員が口をつぐむ。
だが、そんな中。
2人の中に割って入る黒い塊がいた。
「ウホウホ!」
そう、ゴリラ。
彼は2人の表面上のやり取りではなく、その雰囲気から仲良くしたいということ察したのだ。
これは人間にはない。動物的直感、いやゴリラ的直感。
ゴリラセンスだ。
彼は戸惑う臣と桃子の手を優しく掴み、握手させた。
「ウホウホ!」
そして、いつものようにバナナをポーチから取り出し、新聞紙を剥がすと臣に渡す。
今日のバナナは台湾バナナ。
気温や気候の問題もあり、熟すにはとても時間が掛かる。だが、その分普通のバナナより、甘くねっとりとした口当たりとなる。
日本においてはフィリピンが8割、エクアドル産2割。
台湾産も流通シェアを上げてきたとはいえ、まだ1割にも満たない。
つまり、希少価値の高いバナナである。
「ん? これをワシにか?」
「ウホウホ!」
「いや、でもな……」
差し出されたバナナを受け取ることを躊躇う臣。
それもそのはずで、バナナを手渡されたのは臣だけで。
桃子には何もなかったからだ。
「ワシ1人で食べるのはさすがにだな……」
臣はその状況に頭を悩ませる。
しかし、ゴリラの表情は明るかった。
白い歯を見せて半分に折るのような動作をしている。
「は、半分にしろ?」
「ウホウホ」
ゴリラは優しい笑みを浮かべ首を縦に振る。
彼の無邪気なゴリラスマイルに背中を押された臣は、バナナの皮を丁寧に剥き半分に折ると、皮の付いた持ちやすい方を桃子に渡した。
「んっ! 今日はよろしく頼む。あと、その……なんというか、あんまり連絡できずすまなかったな……」
「うふふ、大丈夫ですよ。わかっていますから。ちょっとイジワルをしてみたかっただけです。お互い忙しくてなかなか会えないので」
「……おう」
ゴリラの気遣いとバナナの力により、2人の間にあたたかい雰囲気が漂う。
――パン!
バナナを食べ終わった桃子が手を叩く。
「よし! この盆踊り大会成功させるわよ~! おー!」
そういうと桃子は食べ終わったバナナの皮を勢いよく掲げる。
その場に集まったバナ友、町内会メンバーも続いた。
「「「おー!」」」
☆☆☆
この後。
桃子より、的確な人員配置がなされていった。
マリンとすももwithさんたろうは通行人の案内と、迷子の対応を。
犬太と誠は、イベントのアナウンスに進行を。
臣とゴリラは、このお祭り名物のチョコバナナ屋台をメインに、町内会メンバーと共に射的、スーパーボール掬いなどの出店を任された。
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