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本編
第49話 盆踊り大会
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3日後。
夏休み最終日。
8月15日(火)
時刻【17時00分】
天気【曇 最低気温20℃ 最高気温34℃】
大手電機メーカー社宅から徒歩10分圏内にある浴衣姿の人々で賑わうタコ公園の中。
ゴリラはここにいた。
人間と同じように浴衣を着ている。
紺色ベースの生地にゆるキャラであるバナナ先輩が描かれた物だ。肩からは新聞紙のに包まれたバナナが1本入ったポーチを下げており、足元はバナナ色の鼻緒をした大きな草履を履いている。
なぜ公園にいるのかだが、その服装や周囲の人々からわからでもわかるように、今日8月14日(月)はゴリラの住まう地域の盆踊り大会の開催日だからである。
しかも、いつもお世話になっている山川桃子が主催しているのだ。
ゴリラがそんな一大イベントに参加しないわけがなかった。
あれは、今から3日前。
静岡県にある熊主任の実家でくつろいでいた時に桃子から「今年も盆踊り大会をするんだけど、ゴリラちゃんも来ない?」という、ラブコールに義理堅く人間好きなゴリラは嬉しくなり、予定を前倒し急ぎ飛行機で大阪へと戻り今に至る。
盆踊り大会の運営は、山川家に町内会メンバー、大阪に居ているバナ友達に加えて、山川桃子が直接声を掛けた人物達が来る予定だ。
そして、その人物はゴリラにも縁のある人達でもあった。
だが、そんなことを知る由もないゴリラは町内会のメンバーと協力し、タコの形をした遊具に飾り付けてた色とりどりの提灯の点灯確認をしていた。
またそれだけではなく、サッカーができるほどのグランド2面に沿って設けられている通路の確保や、迷子が発生しないように目を光らせたりなんかもしている。
「ウホウホ」
「ゴリラちゃん、ありがとうねー! 助かるわ~」
額から汗を流しながら自分の役目を全うするゴリラの肩をポンポンと優しく叩くのは盆踊り大会の発起人であり、町内会長の山川桃子108歳。
桃子の服装は真夏であろうとも、盆踊り大会であろうとも黒の革ジャンに黒色のスキニーパンツ、ブーツを履いており、銀髪のサラサラロングヘアを靡かせている。
ゴリラはそんな彼女に対して「ウホ!」と短く返事をした。
その表情は穏やかで優しい。
「私からもありがとうございます」
桃子の右隣でゴリラに向け丁寧なお辞儀をするのは、その孫であり、ダークブラウンの髪色にふんわりとしたボブヘアが特徴的な人事課の山川すもも28歳。
齧られた桃柄の浴衣に鼻緒の部分がマスカット色をした草履を履いている。
その足元には、山川家の愛犬であるポメラニアンのさんたろうもいた。
「ウホウホ!」
「そう言って頂けると呼んだ私達も救われます。ぜひ楽しんでいって下さいね」
「ウホー! ウホ、ウホウホ?」
「……あ、そうでした。おばあちゃん! 私は何をすればいいですか?」
「そうだねー、すももちゃんはさんたろうの面倒を見てほしいかな~」
「ん、わかった。さんたろう。まだ暑いから日陰に行こうね」
「アンアン!」
「ん。いいこ、いいこ」
「アン!」
「じゃあ、ゴリラちゃん。私も色々と準備があるから、あとは宜しくね」
「ウホウホー!」
すももとさんたろうは、公園の奥にある葉桜が生い茂る場所へと。桃子は公園の一番手前に設置されたバナナ色のテントが張られた運営のブース内にいる町内会メンバーへ指示を出しにいった。
☆☆☆
時刻【17時30分】
通行人の案内しているゴリラの元へ。
バーベキューのあの日を境に、仲を深めていった犬島犬太、猪狩誠の犬猪コンビが現れた。
2人はリンクコーデをしており、犬太は丸太に座る猪が刺繡された浴衣に鼻緒の部分が赤い草履。
誠は団子を咥えた柴犬が描かれた浴衣に鼻緒の部分が赤い草履を履いている。
「主任! こんにちはっす!」
「け、犬太。何度も言っているが、尊敬する上司に対して「っす」って言葉は直した方がいいと思うぞ」
「わ、わかってますって!」
「いや、わかってない……やはり、私がその辺の常識をもう一度教えるしか……」
誠は頬を赤らめながら、ひとりでにあーでもないこーでもないとぶつぶつ喋っている。
「主任、なんかすみません。せっかく呼んでもらったのに」
「ウホ……ウホウホ?」
「あ、いえ! あ、ありがとうございます! 他の人から見たら歪かも知れないすっけど、おかげさまで仲良くやれています! ね? 誠さん?」
「えっ?!」
「あはは! 誠さん、そんなに驚かなくても……」
「いや、驚いてないから! ちょっとびっくりしただけだ!」
犬太が笑ったことで、誠は口を尖らせてしまう。
このままでは、喧嘩になってしまうと思ったゴリラが真っ直ぐに彼女の気持ちを聞いた。
「ウホ、ウホウホ?」
「えーっと、そうですね。あ、はい……仲良くして頂いています……」
誠は犬太に顔を見られないように、後ろ向きながら口を開いた。
その言葉を受けた犬太は顔を赤くしている。
「ウホウホ!」
ゴリラは幸せそうな2人の姿に微笑む。
そんな初々しさの漂う空気の中。
「ゴリラさーん!」
一際元気な声が響き渡る。
夏休み最終日。
8月15日(火)
時刻【17時00分】
天気【曇 最低気温20℃ 最高気温34℃】
大手電機メーカー社宅から徒歩10分圏内にある浴衣姿の人々で賑わうタコ公園の中。
ゴリラはここにいた。
人間と同じように浴衣を着ている。
紺色ベースの生地にゆるキャラであるバナナ先輩が描かれた物だ。肩からは新聞紙のに包まれたバナナが1本入ったポーチを下げており、足元はバナナ色の鼻緒をした大きな草履を履いている。
なぜ公園にいるのかだが、その服装や周囲の人々からわからでもわかるように、今日8月14日(月)はゴリラの住まう地域の盆踊り大会の開催日だからである。
しかも、いつもお世話になっている山川桃子が主催しているのだ。
ゴリラがそんな一大イベントに参加しないわけがなかった。
あれは、今から3日前。
静岡県にある熊主任の実家でくつろいでいた時に桃子から「今年も盆踊り大会をするんだけど、ゴリラちゃんも来ない?」という、ラブコールに義理堅く人間好きなゴリラは嬉しくなり、予定を前倒し急ぎ飛行機で大阪へと戻り今に至る。
盆踊り大会の運営は、山川家に町内会メンバー、大阪に居ているバナ友達に加えて、山川桃子が直接声を掛けた人物達が来る予定だ。
そして、その人物はゴリラにも縁のある人達でもあった。
だが、そんなことを知る由もないゴリラは町内会のメンバーと協力し、タコの形をした遊具に飾り付けてた色とりどりの提灯の点灯確認をしていた。
またそれだけではなく、サッカーができるほどのグランド2面に沿って設けられている通路の確保や、迷子が発生しないように目を光らせたりなんかもしている。
「ウホウホ」
「ゴリラちゃん、ありがとうねー! 助かるわ~」
額から汗を流しながら自分の役目を全うするゴリラの肩をポンポンと優しく叩くのは盆踊り大会の発起人であり、町内会長の山川桃子108歳。
桃子の服装は真夏であろうとも、盆踊り大会であろうとも黒の革ジャンに黒色のスキニーパンツ、ブーツを履いており、銀髪のサラサラロングヘアを靡かせている。
ゴリラはそんな彼女に対して「ウホ!」と短く返事をした。
その表情は穏やかで優しい。
「私からもありがとうございます」
桃子の右隣でゴリラに向け丁寧なお辞儀をするのは、その孫であり、ダークブラウンの髪色にふんわりとしたボブヘアが特徴的な人事課の山川すもも28歳。
齧られた桃柄の浴衣に鼻緒の部分がマスカット色をした草履を履いている。
その足元には、山川家の愛犬であるポメラニアンのさんたろうもいた。
「ウホウホ!」
「そう言って頂けると呼んだ私達も救われます。ぜひ楽しんでいって下さいね」
「ウホー! ウホ、ウホウホ?」
「……あ、そうでした。おばあちゃん! 私は何をすればいいですか?」
「そうだねー、すももちゃんはさんたろうの面倒を見てほしいかな~」
「ん、わかった。さんたろう。まだ暑いから日陰に行こうね」
「アンアン!」
「ん。いいこ、いいこ」
「アン!」
「じゃあ、ゴリラちゃん。私も色々と準備があるから、あとは宜しくね」
「ウホウホー!」
すももとさんたろうは、公園の奥にある葉桜が生い茂る場所へと。桃子は公園の一番手前に設置されたバナナ色のテントが張られた運営のブース内にいる町内会メンバーへ指示を出しにいった。
☆☆☆
時刻【17時30分】
通行人の案内しているゴリラの元へ。
バーベキューのあの日を境に、仲を深めていった犬島犬太、猪狩誠の犬猪コンビが現れた。
2人はリンクコーデをしており、犬太は丸太に座る猪が刺繡された浴衣に鼻緒の部分が赤い草履。
誠は団子を咥えた柴犬が描かれた浴衣に鼻緒の部分が赤い草履を履いている。
「主任! こんにちはっす!」
「け、犬太。何度も言っているが、尊敬する上司に対して「っす」って言葉は直した方がいいと思うぞ」
「わ、わかってますって!」
「いや、わかってない……やはり、私がその辺の常識をもう一度教えるしか……」
誠は頬を赤らめながら、ひとりでにあーでもないこーでもないとぶつぶつ喋っている。
「主任、なんかすみません。せっかく呼んでもらったのに」
「ウホ……ウホウホ?」
「あ、いえ! あ、ありがとうございます! 他の人から見たら歪かも知れないすっけど、おかげさまで仲良くやれています! ね? 誠さん?」
「えっ?!」
「あはは! 誠さん、そんなに驚かなくても……」
「いや、驚いてないから! ちょっとびっくりしただけだ!」
犬太が笑ったことで、誠は口を尖らせてしまう。
このままでは、喧嘩になってしまうと思ったゴリラが真っ直ぐに彼女の気持ちを聞いた。
「ウホ、ウホウホ?」
「えーっと、そうですね。あ、はい……仲良くして頂いています……」
誠は犬太に顔を見られないように、後ろ向きながら口を開いた。
その言葉を受けた犬太は顔を赤くしている。
「ウホウホ!」
ゴリラは幸せそうな2人の姿に微笑む。
そんな初々しさの漂う空気の中。
「ゴリラさーん!」
一際元気な声が響き渡る。
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