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異世界へ
最終話 あれから――。
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転生者である2人の日本人が時を越えて再会を果たしてから、十数年後。
魔物や精霊獣にドラゴン、スキルやステータスなどが存在する世界。
この世界で一番大きな国であるラングドシャ王国。
この国で、王族、貴族、平民などの身分。種族、性別、年齢などの立場の違い。
その全てに関係なく民衆の中から優秀な者を発掘し、その者を王族お抱え白銀の騎士団として、迎い入れるという、一大イベントが現国王により開催された。
☆☆☆
闘技場前。
ここに参加したルイという青年その1人。
彼は幼い頃に、その才覚を見出されて現国王により、設立された名門のダリス王立学校に最年少六歳で入学し、更に最年少十二歳で卒業した天才と呼ばれた存在だ。
「……参加すればいいんだよね?」
《うん、参加することに意義があるからね》
ルイは気怠そうに姿の見えない誰かと会話している。
その後ろから、執事服を着た精霊豚が歩いてきた。
《ぷひぃ! ルイさんおきをつけて》
「うん、行ってくる。頑張ってくるね。みーとん。あ、母上にも、父上にもよろしく伝えておいて……なぎにもね」
《はい! ぷひぃ》
「んじゃ……」
蹄をふりふりと振る執事服を着たみーとんという子豚に対して、ルイという青年は頬を赤らめてながら、闘技場へと歩いて行った。
☆☆☆
収容人数5万人規模の闘技場にて。
ここで、数多なる試練をくぐり抜けた猛者同士の入団を賭けた御前試合、決勝戦が行なわれようとしていた。
相手は白いローブと大きな杖。
灰色の長髪。口元と顎にも灰色髭を蓄えている明らかに只者では無い老人。
この人物は知識の泉とうたわれて、数々のスキルを身につけ、ドラゴンやフェンリルなど神話で語られる魔物を倒したいう逸話を持つ賢者。
名をアンダルフといい、灰色のアンダルフという2つ名を冠している。
「フォッフォッフォ……若者に試練を与えるもの賢者の務めじゃな……我が雷の精霊獣よ! その力を我が魔力、我が叡智に重ねよ――」
右手で杖を構えて、魔法を発動する為に詠唱を始めていた。その片割れには麒麟のような精霊獣がおり、詠唱と同時に杖周辺へと魔力を集める。
次第に周囲へと魔力の風が渦巻き、太陽と月が2つ浮かぶ空には、分厚い雲がかかり始めていた。
観客は興奮さめやらぬ様子で、歓声を上げて席を立つ。
その光景に満足げな笑みを浮かべるアンダルフ。
「フォッフォッフォ……」
そして、更に空へと雲が集まっていき、雷が鳴り始める。
だが、ルイはその姿に目もくれない。
「うん、遅いな……」
そう一言呟くと指を鳴らし魔法を放つ。
――パチン!
一秒にも満たない圧倒的な速度。
スキルの全てを知っているルイにとって、杖も詠唱さえもその意味をなしていなかった。
「な、なんなんじゃー! これはぁぁぁー!」
賢者が見上げた先には、巨大な氷塊ができあがっている。
それは強烈な冷気を放ちながら、宙を浮き。
陽の光に照らされたことでキラキラと輝いていた。
驚きの光景に息を呑む観衆。
何故か笑いを堪える王妃に国王。
その脇ではふはふ言いながら、たこ焼きを頬張る精霊猫と精霊豚。
彼等の席の下段には、開いた口の塞がらない貴族たちがいた。
その視線を受けようともルイは、顔色1つ変えることもない。
これが彼にとって当たり前だからだ。
父譲り白銀の髪。
陶器のような白くきめ細やかな肌。
母譲り海のような碧眼に、長いまつ毛。
才覚を見出され最年少で王立学園を卒業。
という、どこに行こうとも目立つ外見と経歴。
そして、その外見にアンマッチでしかないあるモノを咥えているからだ。
なので、他の人間より他者の目を気にしなくなっていった。
賢者が詠唱を止めたことで、曇り空から日が差し込み、そのアンマッチな”もの”が彼の口元でキラリと光る。
それは人間の親指ほどの大きさに、赤子が咥えやすいように柔らかくプクっと膨れたフォルム。
反対側には青色で雄々しいドラゴンの描かれた持ち手があり、材質はアレルギーテスト済みの天然ゴム100%と手触りのいい樹脂のみという、シンプルではあるが、ある意味母親の代わりとも言える優しさと愛に溢れたもの。
そうおしゃぶり。
その理由は、さだかではないが、ルイは生まれた直後から、今までおしゃぶりを咥えているのだ。
そんな彼は腰が抜けて動けない賢者へと近づいていく。
そして、目の前にくると宙に漂う氷塊を指差し告げた。
「で……どうします?」
「こ、降参じゃ」
こうして、ルイという青年は灰色のアンダルフという2つ名を冠した凄腕の賢者を降参させるという前代未聞の内容で勝利を収めた。
その武勇は瞬く間に広がり、この御前試合の数日後には公式ファンクラブ【マケフリ】というものが発足されたとのこと。
☆☆☆
その後。
世界各地で、おしゃぶりを咥えたクールな口調で独り言を呟く白銀の髪に、エメラルドグリーンの瞳をした青年の姿と。
執事服を着た精霊豚《エレメンタルピッグ》が目撃されたらしい。
―――――――――――――――――――――――――――――
拙い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました!
なんというか、バーンという感じでいきましたー笑
どうでしょうか? 楽しんで頂けたでしょうか?
少しでも皆さんの楽しいに繋がれば嬉しいです。
ではでは~♪
また書いていきます~!( *˙꒳˙*)ノシ
ほしのしずく
魔物や精霊獣にドラゴン、スキルやステータスなどが存在する世界。
この世界で一番大きな国であるラングドシャ王国。
この国で、王族、貴族、平民などの身分。種族、性別、年齢などの立場の違い。
その全てに関係なく民衆の中から優秀な者を発掘し、その者を王族お抱え白銀の騎士団として、迎い入れるという、一大イベントが現国王により開催された。
☆☆☆
闘技場前。
ここに参加したルイという青年その1人。
彼は幼い頃に、その才覚を見出されて現国王により、設立された名門のダリス王立学校に最年少六歳で入学し、更に最年少十二歳で卒業した天才と呼ばれた存在だ。
「……参加すればいいんだよね?」
《うん、参加することに意義があるからね》
ルイは気怠そうに姿の見えない誰かと会話している。
その後ろから、執事服を着た精霊豚が歩いてきた。
《ぷひぃ! ルイさんおきをつけて》
「うん、行ってくる。頑張ってくるね。みーとん。あ、母上にも、父上にもよろしく伝えておいて……なぎにもね」
《はい! ぷひぃ》
「んじゃ……」
蹄をふりふりと振る執事服を着たみーとんという子豚に対して、ルイという青年は頬を赤らめてながら、闘技場へと歩いて行った。
☆☆☆
収容人数5万人規模の闘技場にて。
ここで、数多なる試練をくぐり抜けた猛者同士の入団を賭けた御前試合、決勝戦が行なわれようとしていた。
相手は白いローブと大きな杖。
灰色の長髪。口元と顎にも灰色髭を蓄えている明らかに只者では無い老人。
この人物は知識の泉とうたわれて、数々のスキルを身につけ、ドラゴンやフェンリルなど神話で語られる魔物を倒したいう逸話を持つ賢者。
名をアンダルフといい、灰色のアンダルフという2つ名を冠している。
「フォッフォッフォ……若者に試練を与えるもの賢者の務めじゃな……我が雷の精霊獣よ! その力を我が魔力、我が叡智に重ねよ――」
右手で杖を構えて、魔法を発動する為に詠唱を始めていた。その片割れには麒麟のような精霊獣がおり、詠唱と同時に杖周辺へと魔力を集める。
次第に周囲へと魔力の風が渦巻き、太陽と月が2つ浮かぶ空には、分厚い雲がかかり始めていた。
観客は興奮さめやらぬ様子で、歓声を上げて席を立つ。
その光景に満足げな笑みを浮かべるアンダルフ。
「フォッフォッフォ……」
そして、更に空へと雲が集まっていき、雷が鳴り始める。
だが、ルイはその姿に目もくれない。
「うん、遅いな……」
そう一言呟くと指を鳴らし魔法を放つ。
――パチン!
一秒にも満たない圧倒的な速度。
スキルの全てを知っているルイにとって、杖も詠唱さえもその意味をなしていなかった。
「な、なんなんじゃー! これはぁぁぁー!」
賢者が見上げた先には、巨大な氷塊ができあがっている。
それは強烈な冷気を放ちながら、宙を浮き。
陽の光に照らされたことでキラキラと輝いていた。
驚きの光景に息を呑む観衆。
何故か笑いを堪える王妃に国王。
その脇ではふはふ言いながら、たこ焼きを頬張る精霊猫と精霊豚。
彼等の席の下段には、開いた口の塞がらない貴族たちがいた。
その視線を受けようともルイは、顔色1つ変えることもない。
これが彼にとって当たり前だからだ。
父譲り白銀の髪。
陶器のような白くきめ細やかな肌。
母譲り海のような碧眼に、長いまつ毛。
才覚を見出され最年少で王立学園を卒業。
という、どこに行こうとも目立つ外見と経歴。
そして、その外見にアンマッチでしかないあるモノを咥えているからだ。
なので、他の人間より他者の目を気にしなくなっていった。
賢者が詠唱を止めたことで、曇り空から日が差し込み、そのアンマッチな”もの”が彼の口元でキラリと光る。
それは人間の親指ほどの大きさに、赤子が咥えやすいように柔らかくプクっと膨れたフォルム。
反対側には青色で雄々しいドラゴンの描かれた持ち手があり、材質はアレルギーテスト済みの天然ゴム100%と手触りのいい樹脂のみという、シンプルではあるが、ある意味母親の代わりとも言える優しさと愛に溢れたもの。
そうおしゃぶり。
その理由は、さだかではないが、ルイは生まれた直後から、今までおしゃぶりを咥えているのだ。
そんな彼は腰が抜けて動けない賢者へと近づいていく。
そして、目の前にくると宙に漂う氷塊を指差し告げた。
「で……どうします?」
「こ、降参じゃ」
こうして、ルイという青年は灰色のアンダルフという2つ名を冠した凄腕の賢者を降参させるという前代未聞の内容で勝利を収めた。
その武勇は瞬く間に広がり、この御前試合の数日後には公式ファンクラブ【マケフリ】というものが発足されたとのこと。
☆☆☆
その後。
世界各地で、おしゃぶりを咥えたクールな口調で独り言を呟く白銀の髪に、エメラルドグリーンの瞳をした青年の姿と。
執事服を着た精霊豚《エレメンタルピッグ》が目撃されたらしい。
―――――――――――――――――――――――――――――
拙い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました!
なんというか、バーンという感じでいきましたー笑
どうでしょうか? 楽しんで頂けたでしょうか?
少しでも皆さんの楽しいに繋がれば嬉しいです。
ではでは~♪
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ほしのしずく
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