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崩れ落ちる その1

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 「おい、アキラ。お前に会いたいってやつが来てるぞ。」
 「お客さん?」
 「久しぶり、アキラ君。」
 「お前は!・・・誰だっけ?」

 ズコー!っとアキラの前にやってきた男はずっこけた。

 「ヴィクトール私兵団のジュールだ、覚えてない?」
 「あー、思い出した。ツバサの本ネコババしたやつね。」
 「他に覚え方無かったのかい?」
 「スマンスマン、どっちかって言うとお前はガイと仲が良かったよな。」
 
 バロン騎士団にて、日々特訓を続けているアキラの元へ、ある日ジュールがやってきた。

 「でも、なんでお前がここに?」
 「この度、バロン騎士団にヴィクトール商社から留学生がやってくることになったのだ。で、お前と知り合いらしいから、お前に面倒を見させようと思ってな。」
 「本当は先輩に任せられた仕事とちゃうん?」
 「副長命令!このジュール君の面倒を見なさい!」
 「わかりました。」

 ったく、面倒臭い仕事押し付けやがって。訓練で尻を蹴り上げてやろうか。

 「お前、少なくとも客人の目の前でそんな顔するのはやめとけよ。・・・押し付けておいてなんだけど。」
 「す、すまないアキラ君。」
 「ぜーんぜん?気にしてませんし?」

 まあ、話相手が1人増えるものだと思えばそう悪くもない。

 「さて、ジュール君が来てくれたところで、早速だが調査の仕事だ!」
 「調査?」
 「うむ、ノメル大陸東の湖で、巨大な遺物が発見された!」
 「遺物?」
 「それの調査のために、早くもヴィクトール商社の先遣隊がやってきているが、我々も同じく調査に向かうことなった。」
 「うん、がんばってね先輩。」
 「キミたちも行くんだよ新入り!」

 と、さっさと荷物を用意させられた。

 「来て早々、調査に行かされるなんてジュールもツイてないな。」
 「うん、しかも東ってことは、トンボ返りみたいなもんだし・・・。」
 「遺物について、何か聞いてないの?」
 「いや・・・どうも行き違いになったらしい。」

 巨大な遺物、一体なんなんだろうか?

 「副長、準備完了しました!」 
 「ご苦労、出発まで待機せよ。」
 「はっ。ところで、副長は遺物について何か聞いてるんすか?」
 「ん?そりゃあ、すごい遺物なんだろうな。」
 「何も知らないのか、ツマラン。」

 ま、楽しみはとっておくとしよう。
 
 「ところで、ガイは元気してる?」
 「みんな元気だよ、お嬢さん方も、レオナルドもね。」
 「あの大亀か・・・。」
 「今はチビ亀だけどね。」

 「しかし、留学生ってなにやるんだ?一緒に訓練するってわけでもないだろうし。」
 「留学っていうか、お互いの商談のため?」
 「商売?」
 「お互いにカネのやり取りをするのに、その下見をしてこいって感じ。」
 「ジュール以外も何人か来てる?」
 「うん。僕は立候補したんだけどね、バロンの話は個人的に興味あったし。」
 「英雄話好きなんだっけ。」
 「そう!件のツバサって人の話、すごい気になるな。」
 
 他愛のない話を続けながら、出発の時を待っていた。
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