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ヴィヴィアンの恋と革命

(17)作戦会議は続く

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「そういうことなら、ヴィヴィアンの使い魔との共闘作戦ってことで、警察部隊に話を持っていくわ」

「マルドのお父さんの解呪は?」

「そこはサポゲニン病院長とイルザ様にお任せするのが確実だわね。セイモア・グリッドの洗脳操作をあっさり完全解除したお二人なら、間違いないわ」

 ヴィヴィアンは、頭髪を失ったセイモア・グリッドの地肌を思い出した。

(カツラの需要が高まりそう。いろんな素材で作ってみたいな…)

 ついうっかり、新たな物作りについて夢想しかけたヴィヴィアンは、あわてて意識を引き戻した。

(だめだめ、第二のトンチキ壷をやっつけるまでは、自粛。うー、でも作りたいな。喋るカツラとか、動くカツラとか…)

 そんなヴィヴィアンの内面の葛藤を薄々察したらしいスカーレットから、質問が飛んきた。

「ところでヴィヴィアン、あんたのことだから、どうせ朝から仕事してたと思うけど、壷の治療器、作ってたの?」

「うん」

「いま、いくつ出来てる?」

「タバサが持ってる分を入れれば、全部で五個」

「マルド商会の息子って、何人いるのかしら」

「四人ですじゃ」

 ノラヨの答えを聞いて、スカーレットの方針はだいたい決まった。

「ヴィヴィアン、新しく作った四個を預からせて」

「マルドの息子たちに持たせるの?」

「ええ。彼らはまだ洗脳されていないかもしれないけど、生まれた時から、薬壺の強い影響下にあったのは間違いないから、何らかの歪みは持っていると思うのよ」

「メアリーと同じ病気の素を、抱え込んじゃってる?」

「たぶんね。それと、マルド商会の直系の先祖は、タバサの旦那さんである可能性が高いわ」

「え、じゃあ、マルド家とグリッド家は、親戚ってこと?」

「そう。あの薬壺は、呪いの核に使った人物の血筋と、その配偶者を狙うように仕込まれているみたいなの。王都病院だけでなく、国内の自己魔力不全症候群患者のほとんどが、グリッド家と血縁関係にある者と、その配偶者だったって、今日になって分かったのよ」

「そうか、アーチボルド・セミグリッドが呪いの核だから、マルド家はその子孫…」

「そういうことよ。タバサ、旦那さんの子は、息子さん一人だけなのよね」

「そうですだ」

「だとすると、息子さんの子どもの代で、マルド家の養子に入ったのかもしれないわね」

 タバサは、どうにもやりきれないという顔で、スカーレットに尋ねた。

「なあ、お医者様……オラたちの家族は、なんでハンニバル・グリッドに狙われたんだべか。オラたち夫婦だけでなく、何代先かも分からねえ、未来の子孫たちまで、しつこく絡め取って放さねえほどの理由って、何なんだ…」



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