実姉をこんなにも好きになる筈がない~危うい僕の変愛ログ~

ちゃかぽこねお

文字の大きさ
上 下
25 / 31

ep25:姉のピンチを救いたい

しおりを挟む
 最終バスで帰ってくると、家に近づいていく車窓から見える景色は、いつもの帰宅時間と違い人影はまばらった。本橋元紗耶香もとはしもとさやかは、公園前のバス停でバスを降りると、一旦家に向かおうとしたが踵を返し、目の前の公園に足を踏み入れた。無性にブランコに乗りたい気分だった。
 
 今日は、勤務先で事務処理に予想以上に時間が掛かり、残業時間が伸びてしまっていた。帰宅時間が遅くなってしまったが、逆にそういう時こそブランコに乗りたくなる。紗耶香が、公園に少し入ったところで、話し声が聞こえた。気のせいかと思い歩みを進め、ブランコにあと数歩というところで、暗闇の中ベンチに座っている人影が見えた。どうやら男二人で酒を飲んでいるようだった。鮮やかな赤いTシャツと青いTシャツが目に入った。紗耶香はブランコの手前で方向転換した。公園の出口方向を向かおうとしたとき、背中から声を掛けられた。

「あれっ?おネェさん、行っちゃうの?僕たちと飲もうよ!」
 紗耶香は無視してそのまま公園を早足で出ようとした。すると、赤いTシャツを着た男が立ち上がり紗耶香を追いかけてきた。その男は酒の入ったアルミ缶を片手に彼女の前方に立ちはだかった。
「ねぇ?おネェさんたらぁ、無視しないでよぉぉぉ。・・・うわぁぁっ!このおネェさん近くで見たら凄い美人さんだぁぁっ!!」もう一人の青いTシャツの男もそれを聞いて、紗耶香の元にやってきた。
「ホントだっ!ねぇ、僕たちと一緒に飲もうよっ!!」
 男たちの年齢は20代前半くらいだろうか。かなり酔っぱらっているようだ。紗耶香は困って立ち止まってしまった。
「・・・どいてください。家に帰りますので・・・」
「そんな事言わないでよぉぉ。一緒に飲もうよぉぉ!」

 その時彼らの後ろから声が聞こえた。
「私も一緒に混ぜてもらおうかなぁ・・・・・・」
 振り向くと、さっきまで彼らが座っていたベンチに、いつの間にか老人男性がちょこんと座っていた。「セキジイ」だった。
「あぁ?何だ?この、じじいは?」赤いTシャツの男がセキジイの元に、サンダルの踵を地面に擦りながら、ゆっくりと歩みを進めた。
「私にも酒をくれないか・・・?」
「ああぁ?お前に飲ます酒はねえんだよぉ。とっとと、家に帰んな?」男が、右手でセキジイの左肩を掴んだ。
 セキジイは、掴まれた男の腕の手首と二の腕の辺りを順番に軽く掴んだ。誰の目にも別段力を入れたようには見えなかったが、赤いTシャツの男は、前のめりで勢い良く、その場に倒れ込んだ。数秒前まで粋がっていた男が、今は、うつぶせの状態で、無様に公園の地面にへばりついていた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

処理中です...