80 / 146
信じられない?
しおりを挟む
シルビア、カリンからいろいろと報告を受けたよ。なんか二人がとても仲良くなっていた。ズボラなシルビアにカリンが何かと世話を焼く感じ。
カリンの方が年下のはずだけど、だらしない姉を持つ妹みたいなものだろうか。部屋整理しないし、下着置きっぱだし、人前で着替えるしひどい。お嫁に行けるのだろうか。でもカリンもそんなに嫌じゃなさそうだから放っておこう。
それで、商会発足に関して「ブラタネリ商会」っていう名前を提案されて、ものすごく難色を示したけど、かと言って代案があるわけでもない。ブラス商会でいいじゃんと思ったけど、ブラスの名前はアセンブラに目を付けられているんだよね。リッカリンデン商会は半ば拒絶のようにカリンに固辞されたし。二人はタネズ商会が良いと考えているけど、僕もあまり目立ちたくない。だから、ここら辺が落としどころだろう。ブラタネリ。きっと慣れる。……そう思うことにしよう。
「じゃ、ケイ、行きますか」
ばっちり化粧と服を決めたシルビア。ギャップが凄い。いかにも仕事できそうな風貌だ。オンオフしっかりできているんだろうな。
「うん、商業ギルドだね。奴隷商人の斡旋だね。あとフレイムベアのお金の受け取りもしたいんだ」
「私たちの資金ですね。ぐふふ、いくらになるのかなぁ」
欲にくらんだ瞳で、私たちの資金と言い切った。いや、これから商会を起こしてビジネスパートナーになるんだから問題ないんだけど。何か複雑なんだが?
「あ、そうだ。コスモディア製造のことはギルドに話すの?」
製造したポーションはギルドに卸さなきゃいけない。先に話した方がスムーズな気がする。それとも試供品を作ってから実演した方がいいのかな。
「ええ、話しちゃいましょう。こちらとしては商売敵のアセンブラに対して製造元はなるべく秘匿したいですし、商業ギルドが間に入れば牽制になります。そこで変に隠し立てすれば信用が無くなります。それにケイはフレイムベアという唯一無二の商品を扱っているわけですから、そんな上客を裏切るようなことはしないでしょう」
「わたくしもそう思います」
ふむ、二人がそう言うなら。冷静に考えればシルビアの言う通りだしね。僕に商売の知識なんて皆無だし、ここは彼女の意見に従おう。
「じゃあ言ってくるよ。ベステルタ、守りはお願いね。防具受け取るときにプテュエラと入れ違いで召喚するよ」
「ええ、楽しみに待っているわ。ああ、冒険。本当に楽しみ。借金取りが来たら姿を見られないようにころ……気絶させればいいのよね?」
物騒なことを口走りかけていたけど大丈夫かな。大丈夫だと信じよう。
みんなに見送られ、外に出る。いい天気だ。絶死の森よりずっと暖かい。あの森けっこうひんやりしているんだよね。
「みなさんお疲れ様です」
「おう! これくらいの増築ならなんてことないわい」
シルビアが業者の人たちに挨拶すると元気の良い返事が返ってきた。……ずんぐりむっくりのひげ面。やっぱりドワーフだよね?
「ケイ、こちらは増築を請け負ってくれているドワーフの方たちです」
「ドゴンだ。あんたが依頼元だな。気前の良い前金をありがとよ! がはは!」
握手した手をぶんぶん、と勢いよく振られる。そんなに気前よく渡したのか。シルビアを見るとドヤ顔で見つめ返してきた。いや、思惑があるならいいんだけどね……。
「ケイ・タネズと申します。ドゴンさん宜しくお願い致します。一つ訊きたいんですが、追加で家を造ってもらうことは可能ですか?」
家の見積もりしておかないとね。今度忘れたらシャレにならない。僕の自由な異世界繁殖生活には欠かせないものだし。
「そんな堅苦しくせんでええわい。で、追加の家か? もちろん可能じゃぞ。だがワシは手が離せん。本部に聞いてくれ」
よかった。問題ないみたいだ。ドゴンさんに場所を教えてもらったから空いた時間に行こう。ちなみにお酒は大好きだそうだ。今度差し入れでお酒持っていこう。もし蒸留酒ができたら試飲してもらってもいいかもしれない。ドワーフのネットワークはコネになりそうだし。
「家を造るんですか?」
ギルドまで歩いているとシルビアが訊いてきた。興味津々だ。まぁ彼女にならある程度話してもいいか。でも周りに聞かれるのは良くないな。
『プテュエラ、僕とシルビアの会話を周りに聞こえないようにすることはできる?』
『無論、問題ない。……シルビアに話すんだな?』
プテュエラの瞳から少し力を感じる。本当に話すんだな、という念押しだ。そう言えばこっちの人に僕の素性をあまり話していなかったな。あとでカリンにも話さなくちゃ。で、シルビアだけど。
『大丈夫だよ。彼女と僕らは利害が一致している。それに、人柄は信頼できると思う』
そう言えばこっちに来て誰かを信じるって思うの初めてかも。思えば避けていた。カリンはそんなこと思う間もなく、向こうから信じてくれたし。ああ、そっか、拒絶される可能性もあるのか。無意識のうちに恐れていたのかもしれない。日本にいた頃は、信じても搾取されてばかりだったしね。
『そうか。ならば何も言うまい。……うむ、空気を遮断したぞ。これで大丈夫だ』
空気を遮断って何かおっかないな。試しに少し離れている人に大きめの声で話しかける。うん、聞こえていないみたいだ。ちょっと無視されているようで悲しいが。
「け、ケイ。その奇行はなんですか? お薬飲みますか? 近くに薬師ギルドがありますよ。一緒に行きますか?」
心配されてしまった。
「ごめんごめん、大丈夫だよ。気にしないで。それで、家のことだけどね……」
その後、僕はシルビアに話せるところを話した。転移のところだけ伏せて、僕が亜人と話せて協力していること、繁殖の事、絶死の森に住んでいてすでに五人の亜人と契約していること。人が増えてきたから森を切り開いて家を建てようとしていること。炎の日はアセンブラのデマで、本当は亜人が助けようとしていたこと。使徒や、カリンたちジオス教徒のこと。亜人たちも人と同じで、傷付きやすくて繊細で、豊かな心を持っていること。一度話したらいくらでも話すことが出てきてなかなか止められなくなった。
全部話すとシルビアは黙ってしまった。
うーん、いろいろ一辺に話したから混乱させてしまったかもしれない。でも、話し終えたらなんだかすっきりしたよ。もしかしたら結構不安に思っていたのかもしれない。亜人はもちろん大好きだし、僕はなんだってするつもりだけど、全部自分で抱え込んでいたからな。こうして外部の人間に相談したことはなかった。心が晴れやかだ。何でもできそうな気がする。単純だなぁ。
……もし、これでシルビアが心変わりするようなら、仕方ない。とんぼ返りで半世紀くらい森に引きこもるだけだ。全部投げ出して亜人たちに甘えまくって爛れた生活をするだけだ。
「……はー、なるほどね。何もかも突拍子もないことで、いまだに信じられないけど、それなら説明は付くのか……」
普段の言葉遣いに戻ったシルビア。ぽつぽつとつぶやく。
「信じられない?」
「うん、ちょっとね。私もこの話を貰った時から、いろいろ考えていたんだよ? だって都合が良すぎるし、フレイムベアの毛皮を定期的に卸せるなんて、意味不明じゃん? 教養はありそうだけど力も弱そうだし、商談にも慣れていない。こっちのブラフや探りにも対応できないし、おべっかもそのまま受け入れる。ただのカモだよ。世渡り下手で搾取される側の印象しかなかった。普通なら一緒に事業を起こすなんて絶対無理。でも強大な力が背後に控えていそうで、なにもかもあべこべ。もしかしたら私を騙しているのかもしれない。ただ、怪しいけど、私も復讐のためお金のために深く考えないことにした。ケイが詳しく教えてくれないことも、考えないようにした」
うわ、がっつり不信感持たれていた。しかもシビアな人間分析もされていて凹む。仲良くできていたと思っていたのに。でもその通りだ。僕は自分のことを明かさないで、信頼を得ようとしていた。それって詐欺師の手口だよね。当然か。ああ、これは本当に半世紀引きこもりコースかもしれないな。
『……』
プテュエラが僕の雰囲気を察して剣呑な目つきになっている。でも、まだ待ってくれ。
「でもね」
シルビアは僕の手を取った。あれ、流れ変わった?
「でもね、今の話聞いてやっと腑に落ちたよ。ケイはただ亜人のために頑張っていただけの、お人よし。身に余る力を手に入れた一般人。それでも慣れない虚勢や論理的な思考で、何とか亜人の境遇を変えようと足掻いていたんだね。話し方からいろんなことが分かったよ」
そんな分かりやすい話し方していたかな。おかしいな。
「だって、なんだか亜人のこと話すケイ、楽しそうだったよ?」
楽しそう。そうか。そうだね。楽しかったのかもしれない。亜人は強くてかっこよくて、僕に無いものを持っている。だから一緒にいると元気を貰えて、誇らしくて、彼女たちの境遇が悔しくて……。
「だからケイを信頼することにする。あんなに他人について楽しそうに話して、ころころ表情変える人が、私を騙せるわけないし、騙す必要もないもん」
「……ありがとう、シルビア」
僕がそう言うとシルビアはにっこりと笑ってくれた。営業スマイルじゃない。親し気な笑い方だ。
「こちらこそ。私を信じて秘密を話してくれたんだよね。ありがとう。これから本当にパートナーとしてよろしくね。ケイの資金力には期待しているからね?」
これは搾り取られそうだ。亜人とは別のものをね。でも、悪くないか。
それから僕たちは壁が無くなっていろんなことを話した。シルビアの口調も砕けて嬉しかった。あの敬語はやっぱり僕を疑っていたからなんだろう。ちなみにズボラなのはブラフとかではなく素だそうだ。でも下着に関してはワザとで、いろんな側面から僕に探りを入れようとしていたらしい。商人こっわ。でも、これじゃ放置下着を拝めるのは終わりかな……。残念。
でもよかった。怖かったけど話してよかった……。
『……ありがとう、ケイ。
だからこそお前に何かあったとき、私は……』
カリンの方が年下のはずだけど、だらしない姉を持つ妹みたいなものだろうか。部屋整理しないし、下着置きっぱだし、人前で着替えるしひどい。お嫁に行けるのだろうか。でもカリンもそんなに嫌じゃなさそうだから放っておこう。
それで、商会発足に関して「ブラタネリ商会」っていう名前を提案されて、ものすごく難色を示したけど、かと言って代案があるわけでもない。ブラス商会でいいじゃんと思ったけど、ブラスの名前はアセンブラに目を付けられているんだよね。リッカリンデン商会は半ば拒絶のようにカリンに固辞されたし。二人はタネズ商会が良いと考えているけど、僕もあまり目立ちたくない。だから、ここら辺が落としどころだろう。ブラタネリ。きっと慣れる。……そう思うことにしよう。
「じゃ、ケイ、行きますか」
ばっちり化粧と服を決めたシルビア。ギャップが凄い。いかにも仕事できそうな風貌だ。オンオフしっかりできているんだろうな。
「うん、商業ギルドだね。奴隷商人の斡旋だね。あとフレイムベアのお金の受け取りもしたいんだ」
「私たちの資金ですね。ぐふふ、いくらになるのかなぁ」
欲にくらんだ瞳で、私たちの資金と言い切った。いや、これから商会を起こしてビジネスパートナーになるんだから問題ないんだけど。何か複雑なんだが?
「あ、そうだ。コスモディア製造のことはギルドに話すの?」
製造したポーションはギルドに卸さなきゃいけない。先に話した方がスムーズな気がする。それとも試供品を作ってから実演した方がいいのかな。
「ええ、話しちゃいましょう。こちらとしては商売敵のアセンブラに対して製造元はなるべく秘匿したいですし、商業ギルドが間に入れば牽制になります。そこで変に隠し立てすれば信用が無くなります。それにケイはフレイムベアという唯一無二の商品を扱っているわけですから、そんな上客を裏切るようなことはしないでしょう」
「わたくしもそう思います」
ふむ、二人がそう言うなら。冷静に考えればシルビアの言う通りだしね。僕に商売の知識なんて皆無だし、ここは彼女の意見に従おう。
「じゃあ言ってくるよ。ベステルタ、守りはお願いね。防具受け取るときにプテュエラと入れ違いで召喚するよ」
「ええ、楽しみに待っているわ。ああ、冒険。本当に楽しみ。借金取りが来たら姿を見られないようにころ……気絶させればいいのよね?」
物騒なことを口走りかけていたけど大丈夫かな。大丈夫だと信じよう。
みんなに見送られ、外に出る。いい天気だ。絶死の森よりずっと暖かい。あの森けっこうひんやりしているんだよね。
「みなさんお疲れ様です」
「おう! これくらいの増築ならなんてことないわい」
シルビアが業者の人たちに挨拶すると元気の良い返事が返ってきた。……ずんぐりむっくりのひげ面。やっぱりドワーフだよね?
「ケイ、こちらは増築を請け負ってくれているドワーフの方たちです」
「ドゴンだ。あんたが依頼元だな。気前の良い前金をありがとよ! がはは!」
握手した手をぶんぶん、と勢いよく振られる。そんなに気前よく渡したのか。シルビアを見るとドヤ顔で見つめ返してきた。いや、思惑があるならいいんだけどね……。
「ケイ・タネズと申します。ドゴンさん宜しくお願い致します。一つ訊きたいんですが、追加で家を造ってもらうことは可能ですか?」
家の見積もりしておかないとね。今度忘れたらシャレにならない。僕の自由な異世界繁殖生活には欠かせないものだし。
「そんな堅苦しくせんでええわい。で、追加の家か? もちろん可能じゃぞ。だがワシは手が離せん。本部に聞いてくれ」
よかった。問題ないみたいだ。ドゴンさんに場所を教えてもらったから空いた時間に行こう。ちなみにお酒は大好きだそうだ。今度差し入れでお酒持っていこう。もし蒸留酒ができたら試飲してもらってもいいかもしれない。ドワーフのネットワークはコネになりそうだし。
「家を造るんですか?」
ギルドまで歩いているとシルビアが訊いてきた。興味津々だ。まぁ彼女にならある程度話してもいいか。でも周りに聞かれるのは良くないな。
『プテュエラ、僕とシルビアの会話を周りに聞こえないようにすることはできる?』
『無論、問題ない。……シルビアに話すんだな?』
プテュエラの瞳から少し力を感じる。本当に話すんだな、という念押しだ。そう言えばこっちの人に僕の素性をあまり話していなかったな。あとでカリンにも話さなくちゃ。で、シルビアだけど。
『大丈夫だよ。彼女と僕らは利害が一致している。それに、人柄は信頼できると思う』
そう言えばこっちに来て誰かを信じるって思うの初めてかも。思えば避けていた。カリンはそんなこと思う間もなく、向こうから信じてくれたし。ああ、そっか、拒絶される可能性もあるのか。無意識のうちに恐れていたのかもしれない。日本にいた頃は、信じても搾取されてばかりだったしね。
『そうか。ならば何も言うまい。……うむ、空気を遮断したぞ。これで大丈夫だ』
空気を遮断って何かおっかないな。試しに少し離れている人に大きめの声で話しかける。うん、聞こえていないみたいだ。ちょっと無視されているようで悲しいが。
「け、ケイ。その奇行はなんですか? お薬飲みますか? 近くに薬師ギルドがありますよ。一緒に行きますか?」
心配されてしまった。
「ごめんごめん、大丈夫だよ。気にしないで。それで、家のことだけどね……」
その後、僕はシルビアに話せるところを話した。転移のところだけ伏せて、僕が亜人と話せて協力していること、繁殖の事、絶死の森に住んでいてすでに五人の亜人と契約していること。人が増えてきたから森を切り開いて家を建てようとしていること。炎の日はアセンブラのデマで、本当は亜人が助けようとしていたこと。使徒や、カリンたちジオス教徒のこと。亜人たちも人と同じで、傷付きやすくて繊細で、豊かな心を持っていること。一度話したらいくらでも話すことが出てきてなかなか止められなくなった。
全部話すとシルビアは黙ってしまった。
うーん、いろいろ一辺に話したから混乱させてしまったかもしれない。でも、話し終えたらなんだかすっきりしたよ。もしかしたら結構不安に思っていたのかもしれない。亜人はもちろん大好きだし、僕はなんだってするつもりだけど、全部自分で抱え込んでいたからな。こうして外部の人間に相談したことはなかった。心が晴れやかだ。何でもできそうな気がする。単純だなぁ。
……もし、これでシルビアが心変わりするようなら、仕方ない。とんぼ返りで半世紀くらい森に引きこもるだけだ。全部投げ出して亜人たちに甘えまくって爛れた生活をするだけだ。
「……はー、なるほどね。何もかも突拍子もないことで、いまだに信じられないけど、それなら説明は付くのか……」
普段の言葉遣いに戻ったシルビア。ぽつぽつとつぶやく。
「信じられない?」
「うん、ちょっとね。私もこの話を貰った時から、いろいろ考えていたんだよ? だって都合が良すぎるし、フレイムベアの毛皮を定期的に卸せるなんて、意味不明じゃん? 教養はありそうだけど力も弱そうだし、商談にも慣れていない。こっちのブラフや探りにも対応できないし、おべっかもそのまま受け入れる。ただのカモだよ。世渡り下手で搾取される側の印象しかなかった。普通なら一緒に事業を起こすなんて絶対無理。でも強大な力が背後に控えていそうで、なにもかもあべこべ。もしかしたら私を騙しているのかもしれない。ただ、怪しいけど、私も復讐のためお金のために深く考えないことにした。ケイが詳しく教えてくれないことも、考えないようにした」
うわ、がっつり不信感持たれていた。しかもシビアな人間分析もされていて凹む。仲良くできていたと思っていたのに。でもその通りだ。僕は自分のことを明かさないで、信頼を得ようとしていた。それって詐欺師の手口だよね。当然か。ああ、これは本当に半世紀引きこもりコースかもしれないな。
『……』
プテュエラが僕の雰囲気を察して剣呑な目つきになっている。でも、まだ待ってくれ。
「でもね」
シルビアは僕の手を取った。あれ、流れ変わった?
「でもね、今の話聞いてやっと腑に落ちたよ。ケイはただ亜人のために頑張っていただけの、お人よし。身に余る力を手に入れた一般人。それでも慣れない虚勢や論理的な思考で、何とか亜人の境遇を変えようと足掻いていたんだね。話し方からいろんなことが分かったよ」
そんな分かりやすい話し方していたかな。おかしいな。
「だって、なんだか亜人のこと話すケイ、楽しそうだったよ?」
楽しそう。そうか。そうだね。楽しかったのかもしれない。亜人は強くてかっこよくて、僕に無いものを持っている。だから一緒にいると元気を貰えて、誇らしくて、彼女たちの境遇が悔しくて……。
「だからケイを信頼することにする。あんなに他人について楽しそうに話して、ころころ表情変える人が、私を騙せるわけないし、騙す必要もないもん」
「……ありがとう、シルビア」
僕がそう言うとシルビアはにっこりと笑ってくれた。営業スマイルじゃない。親し気な笑い方だ。
「こちらこそ。私を信じて秘密を話してくれたんだよね。ありがとう。これから本当にパートナーとしてよろしくね。ケイの資金力には期待しているからね?」
これは搾り取られそうだ。亜人とは別のものをね。でも、悪くないか。
それから僕たちは壁が無くなっていろんなことを話した。シルビアの口調も砕けて嬉しかった。あの敬語はやっぱり僕を疑っていたからなんだろう。ちなみにズボラなのはブラフとかではなく素だそうだ。でも下着に関してはワザとで、いろんな側面から僕に探りを入れようとしていたらしい。商人こっわ。でも、これじゃ放置下着を拝めるのは終わりかな……。残念。
でもよかった。怖かったけど話してよかった……。
『……ありがとう、ケイ。
だからこそお前に何かあったとき、私は……』
0
お気に入りに追加
1,408
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる