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買い食い
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・先鋒、串焼き
『プテュエラ、ほら肉だよ。オークだって。うわっ、じゅわっとしてうまい!』
『どれどれ……、くっ。ぎっとぎとの脂が胃に染み渡るな……。肉には脂だ。オークの癖にこんなに旨いのか……。ダイオーク根こそぎ狩るか』
『やめたげて』
・次鋒、肉まん(おそらく)
『わっ、肉まんだ! これ、たぶん肉まんだよ。おー、生地がふわふわだなー』
『なんだこれは……! こんな食べ物があっていいというのか……。白いふわふわの中に濃い肉汁がパンパンに詰まっている……。白いふわふわすごいぞすごいすごいケイ作れるか?』
『うーん、ちょっと厳しいかな』
・中堅、ドネルケバブ(みたいなやつ)
『ケイ、さっきのすごかったな! でっかい肉を削ぎ落としていたぞ!』
『ケバブみたいだし、ああいうスタイルなんだろうね。あっ、これは野菜も一緒で美味しいなあ。甘辛のタレがいいね』
『タレ……? この茶色い肉にかかったやつか? うっ、なんだこれは? 私の知らない味だ。ああっ、いくらでも食べられるっ』
『今まで塩味ばっかだったしね』
・副将、からあげ(マスキュラスではないことを祈りたい)
『さくじゅわ』
『プテュエラ帰ってきて』
『さくさくじゅわじゅわ』
・大将、丸焼き(牛っぽい何かの肉)
『ふぉぉぉぉぉ』
(プテュエラのテンションが一番高い。やっぱり肉には豪快さを求めたいんだろうな。目が怖いよ)
『あああああああ』
(後で口の回り拭いてあげよう)
そんなこんなで、屋台通りを一通り満喫した僕たち。ゴドーさんに両替してもらってよかった。張り切って食べちゃったよ。
屋台通りから少し離れた小高い広場のベンチに座って、さっき買った甘くて暖かいお茶を飲んでいる。隣には見えないけどプテュエラも腰かけて、不可視化させたお茶を魔法で浮かせて飲んでいる。
『ああー、心が安らぐ』
『まったくだな……。すごいな人の街は。こんなに新鮮で楽しいなんて思わなかった』
『そう思ってもらえたならよかったよ』
はしゃぎまくっていたしね。あっ、これはもしかしてデートってやつか。手でも繋ごうか。いや、プテュエラは翼しかないんだった。
『どうしたケイ? 腰に手なんて回してきて』
『いや、なんとなくね』
プテュエラはウエストはほっそりしているんだけど、お尻回りはボリュームある。意外と筋肉質だが、柔らかい。空を飛ぶためなのかな。機能美だね。むにむに。いつまでも触っていたい。
『はは、なんだ。くすぐったいぞ。我慢できないのか?』
『いや、そういう訳じゃないけど。いや、そういう訳だけど』
流石に僕も時と場所は選ぶし、わきまえてるよ。わきまえているよ? ただ、こうやってまったりする時間も必要だなって。宿屋でベステルタも呼びたいけど大丈夫かな。三人で繁ったら床が抜けそうな気もする。それは失礼か?
しばらくまったりお茶しつつ、他愛もない話をしていた。そろそろ日が沈むな。宿に向かうか。
『あっ』
『どうした?』
『宿の場所分からない』
『……』
その後、何とか人に訊いてゴドーさんおすすめの宿『遠吠え亭』にたどり着けた。どこかで読み書きの練習もしなくちゃな。
・遠吠え亭
「いらっしゃい。お一人様か?」
渋い声で愛想良く出迎えてくれたのは、隻眼の狼だった。まあ獣人なんだけど。ゴドーさんとはまた別の迫力がある。
「どうした?」
「いえ、何でもないです。えっと、鍛冶屋のゴドーさんに紹介されて来たんですが」
「証はあるか?」
証? 証とは何だろう。身分証なら無いのだけど。
「すみません、証とは何ですか?」
「……あんたがゴドーの言ってた客なら『羽』を見せて欲しい。これで分かるか?」
ああ! なるほど。プテュエラの羽か。僕は魔法の鞄から羽を取り出して見せる。
「これでいいですか?」
「ああ、間違いない。ゴドーが見せたのと同じだ。疑って悪かったな。ようこそ、遠吠え亭へ。俺は狼人族のブラガだ。歓迎するぜ、亜人様の契約者ケイ。ジオス教徒としてな」
最後に小声で付け足した。よかった。それなら話が早いな。有難い。
周りを見る。幸い人も疎らだ。小声で話しかける。
「やっぱりジオス教徒のことは大声で言わない方がいいですか?」
ブラガさんは顔を寄せて話す。こえぇけど顔は狼だから何か癒される。
「ああ。表向きには排斥されているからな。やめておけ。俺の知っている限りではこの街でジオス教徒なのはカリンちゃんと、ゴドー、そして俺くらいだ」
詳しい数は把握できていないが、と付け足す。たぶんトップがいないから横の繋がりで何とかするしかないんだろうね。むやみにジオス教徒だって公言できないんだし。
「事情を知っているのは本当に助かります。部屋を案内してもらっても?」
「おう。大きめの四人部屋を取ってある。飯は部屋に運べばいいな?」
「はい、お願いします」
めっちゃスムーズだ。ありがとうゴドーさん。定宿はもうここでいいな。いや、孤児院に泊まらせもらうのもありか?
「それとゴドーから伝言だ。明日一度顔出せってよ」
「ありがとうございます」
「あと、その、この亜人様の羽貰ってもいいか」
ブラガさんが言いにくそうにしている。
「いいですけど何かに使うんですか?」
「いや、ジオス教徒として亜人様の御神体が欲しくてな……」
頭をぽりぽり掻くブラガさん。
あっ、後ろの物陰からから小さな耳がぴょこりとはみ出している。あっ、狼子供と目が合った。
ははあ、あの子が欲しがっているんだな。ブラガさんもだろうけど。
「もちろん。ご家族分渡しますよ。何人ですか?」
「ほ、本当か? すまない。感謝する。家族は俺、嫁、息子の三人だ」
よし、ちょうど亜人たちと同じ人数だ。僕は魔法の鞄から亜人素材(爪、枝、羽)を取り出してカウンターに並べる。ちなみに爪はブラガさん用で、小さめの尖ってないやつだ。危ないからね。本当に危ないからね。
「おい、何だこれは! 羽じゃないのか?」
「僕は三人の亜人と契約しているんですよ」
私の契約亜人は三人です。
「嘘だろ? 言い伝えでは一人と契約するだけでも、莫大な力と引き換えに限界を超えた精力と体力を持っていかれるって聞いたが。向こうから渡ってくる魔力に耐えきれず爆発するとも」
化け物を見るかのような視線だ。その話、亜人排斥の誇張入っている気もするけどなあ。
ちょっと自慢しておこう。
「僕にかかれば亜人三人を同時に相手取れますよ」
正直きついけど。
「すげえ……男として尊敬するぜ。握手してくれ」
「それほどでも」
がしっ、とモッサモサに毛深い手とシェイクハンド。え、この手で料理作っても大丈夫なの?
…………
……
「ベステルタ、孤児院はどうだった?」
「言葉は通じないけど楽しかったわ。子供たちといっぱい遊んだのよ」
広目の部屋で、わいわいとブラガさんが持ってきてくれたご飯を食べる。シュレアも召喚したかったけど「部長ですので」という謎理由で断られた。無駄に使命感がありすぎる。
「カリンも親切にしてくれたし、あんなにたくさんの獣人や人間と交流するなんて初めてだから新鮮だったわ」
キラキラ目を輝かせるベステルタ。少し子供っぽく感じる。いや、当然か。たぶん幼少期に子供同士で遊ぶこと無かっただろうし。童心に返ったんだろうな。
「良かったね?」
「ええ、本当に。これだけでも来て良かったと思えるもの。ケイ、ありがとうね」
「飯も旨いしな」
感動の雰囲気を食い気で乱すプテュエラ。お前はそれでええんか。そんなにいっぱい頬張って、あの軍人クール怜悧フェイスはどこ行ったんだ。もう気高い軍人じゃなくて飢えた雑兵だよ。そんないっぱい食べる君が好き。いっぱいちゅき。
「そうね……おいしいけど、何か足りなくない?」
ちょっとだけ声のトーンが落ちるベステルタ。ふむ。
運ばれたご飯は至って普通のもの。一汁三菜で、バランスも取れている。
ふーむ。僕にはむしろとても健康に気を使った食事に思えて好印象だけど。
「ああ、確かにこうガツンと来るものがないな」
ガツガツと美味しそうに食べているのに何てこというんだ。ブラガさんに謝れ。
「でも、料理の感想聞かせてくれって言われたんでしょ?」
そうなんだよな。
料理受け取るときに、真剣な顔で「是非頼む」と言われてしまった。研究熱心なんだな、と思っていたけど。まあ明日素直に答えよう。二人の感想も聞いておこうか。
「うまかったがガツンと来なかったな」
「うまく言えないけど、正直物足りなかったわ」
そう言われるとそう思えてきてしまうな。
うーん、よく考えたら冒険者みたいな肉体労働者の街では、バランス取れた料理より、ガッツリこってりの方が受けるのかもね。
ブラガさんの拘りもあるだろうけど。僕も繁った後に精進料理とかは食べたくないしな。
「それで、明日はどうするんだ?」
座り込んで、けぷ、と可愛らしいげっぷをしてお腹をさするプテュエラ。ベステルタはちゃんと綺麗に食べて口まで拭いている。この違いはなんだ。
「とりあえずどこかでベステルタと一緒にゴドーさんとこで寸法測るよ。その時は召喚するね」
「了解よ。早く街を歩きたいわ」
ワクワクした感じのベステルタ。大手を振って歩けるようになるのは、もう少し先だろうけどなー。流石にそんなに早く作れないよね?
「後は……冒険者ギルドに登録して、ベステルタが会ったことある商人を商業ギルドで問い合わせてみるか。あっ、スキル調べなきゃな。まあ、これは後回しでもいいかな」
他にも家具や調理道具必要だし。
あー、めんどくさい。いいや、その場のノリで決めよう。そうだよ、異世界に来たんだからもっと場当たり的でいいのさ。楽に生きよう。快楽に忠実にね。
「なら……今日はもう」
「繁る?」
二人が獰猛な顔で見てくる。やべえな、日中してなかったから溜まってそうだ。頻度おかしいけど。
といっても防音なんかされてないし、あまり大きい音は出せないからこそこそ繁った。
ぬっこぬっこ。ぬぷぬぷ。粘液と粘膜をゆっくりこすり合わせる。
そろりそろり。
しげりしげり。
ある意味スローライフだね。こういうのもいいもんだ。
『プテュエラ、ほら肉だよ。オークだって。うわっ、じゅわっとしてうまい!』
『どれどれ……、くっ。ぎっとぎとの脂が胃に染み渡るな……。肉には脂だ。オークの癖にこんなに旨いのか……。ダイオーク根こそぎ狩るか』
『やめたげて』
・次鋒、肉まん(おそらく)
『わっ、肉まんだ! これ、たぶん肉まんだよ。おー、生地がふわふわだなー』
『なんだこれは……! こんな食べ物があっていいというのか……。白いふわふわの中に濃い肉汁がパンパンに詰まっている……。白いふわふわすごいぞすごいすごいケイ作れるか?』
『うーん、ちょっと厳しいかな』
・中堅、ドネルケバブ(みたいなやつ)
『ケイ、さっきのすごかったな! でっかい肉を削ぎ落としていたぞ!』
『ケバブみたいだし、ああいうスタイルなんだろうね。あっ、これは野菜も一緒で美味しいなあ。甘辛のタレがいいね』
『タレ……? この茶色い肉にかかったやつか? うっ、なんだこれは? 私の知らない味だ。ああっ、いくらでも食べられるっ』
『今まで塩味ばっかだったしね』
・副将、からあげ(マスキュラスではないことを祈りたい)
『さくじゅわ』
『プテュエラ帰ってきて』
『さくさくじゅわじゅわ』
・大将、丸焼き(牛っぽい何かの肉)
『ふぉぉぉぉぉ』
(プテュエラのテンションが一番高い。やっぱり肉には豪快さを求めたいんだろうな。目が怖いよ)
『あああああああ』
(後で口の回り拭いてあげよう)
そんなこんなで、屋台通りを一通り満喫した僕たち。ゴドーさんに両替してもらってよかった。張り切って食べちゃったよ。
屋台通りから少し離れた小高い広場のベンチに座って、さっき買った甘くて暖かいお茶を飲んでいる。隣には見えないけどプテュエラも腰かけて、不可視化させたお茶を魔法で浮かせて飲んでいる。
『ああー、心が安らぐ』
『まったくだな……。すごいな人の街は。こんなに新鮮で楽しいなんて思わなかった』
『そう思ってもらえたならよかったよ』
はしゃぎまくっていたしね。あっ、これはもしかしてデートってやつか。手でも繋ごうか。いや、プテュエラは翼しかないんだった。
『どうしたケイ? 腰に手なんて回してきて』
『いや、なんとなくね』
プテュエラはウエストはほっそりしているんだけど、お尻回りはボリュームある。意外と筋肉質だが、柔らかい。空を飛ぶためなのかな。機能美だね。むにむに。いつまでも触っていたい。
『はは、なんだ。くすぐったいぞ。我慢できないのか?』
『いや、そういう訳じゃないけど。いや、そういう訳だけど』
流石に僕も時と場所は選ぶし、わきまえてるよ。わきまえているよ? ただ、こうやってまったりする時間も必要だなって。宿屋でベステルタも呼びたいけど大丈夫かな。三人で繁ったら床が抜けそうな気もする。それは失礼か?
しばらくまったりお茶しつつ、他愛もない話をしていた。そろそろ日が沈むな。宿に向かうか。
『あっ』
『どうした?』
『宿の場所分からない』
『……』
その後、何とか人に訊いてゴドーさんおすすめの宿『遠吠え亭』にたどり着けた。どこかで読み書きの練習もしなくちゃな。
・遠吠え亭
「いらっしゃい。お一人様か?」
渋い声で愛想良く出迎えてくれたのは、隻眼の狼だった。まあ獣人なんだけど。ゴドーさんとはまた別の迫力がある。
「どうした?」
「いえ、何でもないです。えっと、鍛冶屋のゴドーさんに紹介されて来たんですが」
「証はあるか?」
証? 証とは何だろう。身分証なら無いのだけど。
「すみません、証とは何ですか?」
「……あんたがゴドーの言ってた客なら『羽』を見せて欲しい。これで分かるか?」
ああ! なるほど。プテュエラの羽か。僕は魔法の鞄から羽を取り出して見せる。
「これでいいですか?」
「ああ、間違いない。ゴドーが見せたのと同じだ。疑って悪かったな。ようこそ、遠吠え亭へ。俺は狼人族のブラガだ。歓迎するぜ、亜人様の契約者ケイ。ジオス教徒としてな」
最後に小声で付け足した。よかった。それなら話が早いな。有難い。
周りを見る。幸い人も疎らだ。小声で話しかける。
「やっぱりジオス教徒のことは大声で言わない方がいいですか?」
ブラガさんは顔を寄せて話す。こえぇけど顔は狼だから何か癒される。
「ああ。表向きには排斥されているからな。やめておけ。俺の知っている限りではこの街でジオス教徒なのはカリンちゃんと、ゴドー、そして俺くらいだ」
詳しい数は把握できていないが、と付け足す。たぶんトップがいないから横の繋がりで何とかするしかないんだろうね。むやみにジオス教徒だって公言できないんだし。
「事情を知っているのは本当に助かります。部屋を案内してもらっても?」
「おう。大きめの四人部屋を取ってある。飯は部屋に運べばいいな?」
「はい、お願いします」
めっちゃスムーズだ。ありがとうゴドーさん。定宿はもうここでいいな。いや、孤児院に泊まらせもらうのもありか?
「それとゴドーから伝言だ。明日一度顔出せってよ」
「ありがとうございます」
「あと、その、この亜人様の羽貰ってもいいか」
ブラガさんが言いにくそうにしている。
「いいですけど何かに使うんですか?」
「いや、ジオス教徒として亜人様の御神体が欲しくてな……」
頭をぽりぽり掻くブラガさん。
あっ、後ろの物陰からから小さな耳がぴょこりとはみ出している。あっ、狼子供と目が合った。
ははあ、あの子が欲しがっているんだな。ブラガさんもだろうけど。
「もちろん。ご家族分渡しますよ。何人ですか?」
「ほ、本当か? すまない。感謝する。家族は俺、嫁、息子の三人だ」
よし、ちょうど亜人たちと同じ人数だ。僕は魔法の鞄から亜人素材(爪、枝、羽)を取り出してカウンターに並べる。ちなみに爪はブラガさん用で、小さめの尖ってないやつだ。危ないからね。本当に危ないからね。
「おい、何だこれは! 羽じゃないのか?」
「僕は三人の亜人と契約しているんですよ」
私の契約亜人は三人です。
「嘘だろ? 言い伝えでは一人と契約するだけでも、莫大な力と引き換えに限界を超えた精力と体力を持っていかれるって聞いたが。向こうから渡ってくる魔力に耐えきれず爆発するとも」
化け物を見るかのような視線だ。その話、亜人排斥の誇張入っている気もするけどなあ。
ちょっと自慢しておこう。
「僕にかかれば亜人三人を同時に相手取れますよ」
正直きついけど。
「すげえ……男として尊敬するぜ。握手してくれ」
「それほどでも」
がしっ、とモッサモサに毛深い手とシェイクハンド。え、この手で料理作っても大丈夫なの?
…………
……
「ベステルタ、孤児院はどうだった?」
「言葉は通じないけど楽しかったわ。子供たちといっぱい遊んだのよ」
広目の部屋で、わいわいとブラガさんが持ってきてくれたご飯を食べる。シュレアも召喚したかったけど「部長ですので」という謎理由で断られた。無駄に使命感がありすぎる。
「カリンも親切にしてくれたし、あんなにたくさんの獣人や人間と交流するなんて初めてだから新鮮だったわ」
キラキラ目を輝かせるベステルタ。少し子供っぽく感じる。いや、当然か。たぶん幼少期に子供同士で遊ぶこと無かっただろうし。童心に返ったんだろうな。
「良かったね?」
「ええ、本当に。これだけでも来て良かったと思えるもの。ケイ、ありがとうね」
「飯も旨いしな」
感動の雰囲気を食い気で乱すプテュエラ。お前はそれでええんか。そんなにいっぱい頬張って、あの軍人クール怜悧フェイスはどこ行ったんだ。もう気高い軍人じゃなくて飢えた雑兵だよ。そんないっぱい食べる君が好き。いっぱいちゅき。
「そうね……おいしいけど、何か足りなくない?」
ちょっとだけ声のトーンが落ちるベステルタ。ふむ。
運ばれたご飯は至って普通のもの。一汁三菜で、バランスも取れている。
ふーむ。僕にはむしろとても健康に気を使った食事に思えて好印象だけど。
「ああ、確かにこうガツンと来るものがないな」
ガツガツと美味しそうに食べているのに何てこというんだ。ブラガさんに謝れ。
「でも、料理の感想聞かせてくれって言われたんでしょ?」
そうなんだよな。
料理受け取るときに、真剣な顔で「是非頼む」と言われてしまった。研究熱心なんだな、と思っていたけど。まあ明日素直に答えよう。二人の感想も聞いておこうか。
「うまかったがガツンと来なかったな」
「うまく言えないけど、正直物足りなかったわ」
そう言われるとそう思えてきてしまうな。
うーん、よく考えたら冒険者みたいな肉体労働者の街では、バランス取れた料理より、ガッツリこってりの方が受けるのかもね。
ブラガさんの拘りもあるだろうけど。僕も繁った後に精進料理とかは食べたくないしな。
「それで、明日はどうするんだ?」
座り込んで、けぷ、と可愛らしいげっぷをしてお腹をさするプテュエラ。ベステルタはちゃんと綺麗に食べて口まで拭いている。この違いはなんだ。
「とりあえずどこかでベステルタと一緒にゴドーさんとこで寸法測るよ。その時は召喚するね」
「了解よ。早く街を歩きたいわ」
ワクワクした感じのベステルタ。大手を振って歩けるようになるのは、もう少し先だろうけどなー。流石にそんなに早く作れないよね?
「後は……冒険者ギルドに登録して、ベステルタが会ったことある商人を商業ギルドで問い合わせてみるか。あっ、スキル調べなきゃな。まあ、これは後回しでもいいかな」
他にも家具や調理道具必要だし。
あー、めんどくさい。いいや、その場のノリで決めよう。そうだよ、異世界に来たんだからもっと場当たり的でいいのさ。楽に生きよう。快楽に忠実にね。
「なら……今日はもう」
「繁る?」
二人が獰猛な顔で見てくる。やべえな、日中してなかったから溜まってそうだ。頻度おかしいけど。
といっても防音なんかされてないし、あまり大きい音は出せないからこそこそ繁った。
ぬっこぬっこ。ぬぷぬぷ。粘液と粘膜をゆっくりこすり合わせる。
そろりそろり。
しげりしげり。
ある意味スローライフだね。こういうのもいいもんだ。
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