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ステーキwithトマト
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「あら、二人ともすっかり仲良しね」
「そうみたいだな」
拠点に戻ると、ベステルタたちがニヤニヤしながら出迎えてくれた。
あれ、唐突に涙が出そうになった。いや、何か誰かが暖かく迎えてくれるって尊いね。
「はあ」
冷やかす二人にシュレアがめんどくさそうに相槌を打った。
この三人組は昔からこんな感じなのかもね。君らの方が仲良くて羨ましいよ。あ、四人組なんだっけ。名前忘れちゃったけど。
「その子はどうしたの?」
ベステルタがシュレアの抱えている苗木に気付いた。
「浄化作業中に協力してくれた子です。
一緒に来たいという意志が見られたので、ケイが許可しました」
「それくらいの大きさで意志があるのは珍しいんじゃないか?」
「そうですね。もしかしたら進化するかもしれません」
さらっとシュレアが言ったけど進化とかあるのね。でもまあ、ダイオークなんかも元はただのオークだろうしあり得るのか。そうするとどんな種族になるんだろう。楽しみだ。
「早速日当たりの良い場所に植えてあげましょう。その前にケイ、名前を付けて下さい」
(……)
名前かあ。予想してたけどやっぱり僕がつけるのね。でもあらかじめ考えておいたんだ。
「リンカ、ってのはどう?」
「女の子と決まった訳じゃないですよ?」
「ケイはわたしたちがいるのにまだそんな気があるのね」
「ちょっと引くぞ」
三人とも不評。な、なぜだ。
「別にそんな意味はないよ。鈴が鳴っているみたいで綺麗でしょ?」
植林から連想したんだけどね。ぱっと頭に浮かんだのがそれだった。
「ふむ、まあそれなら」
「わたしたちの子供にもお願いね」
「悪くないな」
よかった。理解を得られた。いくら守備範囲が広くても、流石に苗木にまで発情する変態人間だとは思われたくないよ。
そのまま日当たりの良い場所にリンカを植えた。もぞもぞ枝やら幹の身体を動かしていたから、根の張り具合とかを確かめていたのかもしれない。
(……)
満足したような感情が伝わってきた。よかったよかった。何だか可愛いな。毎日水やりしよう。
「これからよろしくね、リンカ」
(……う)
あっ、喋った? 微かに声が聞こえた気がする。うちのリンカちゃんはお利口なのです。
拠点に戻るとベステルタとシュレアがやいやい話していた。どうしたんだ?
「シュレア、もう一度お願い。野菜部って何かしら?」
「野菜を育て、食べ、その素晴らしさを伝える部活動です」
「部活動?」
「部活動ってなんだ?」
ベステルタとプテュエラはピンときていない。そりゃそうだ。シュレアが無表情なのに枝角ぴかぴかなのはスルーしよう。
「うーん、興味あることや好きなことを見付けて、楽しんで取り組む活動だよ」
部活動の定義なんて考えたことも無かったけどこれでいいのかな。
「ふぅん、何だか楽しそうね。わたしも部活始めてみようかしら」
「私も気になるな。興味のあることか……」
「野菜部はシュレアが部長なので、入りたい人は言ってください」
「部長?」
「責任者のことです」
「ほー」
三人でわやわや話している。女三人寄れば姦しいというけど、そんな感じだね。楽しそうだ。
「何か考えてみるわ」
「ああ。何だかワクワクするしな」
よかった。僕が会う前の彼女たちは暗かったから、もっと楽しんで欲しいな。
ー
晩御飯何にしようかな。まぁ、もう決まっているんだけどね。見てよあのシュレアの顔。不機嫌そうな口許がぴくぴくしているよ。たぶんよだれ垂れそうなんだよ。シュレア、木の性質が強いせいかけっこう樹液を分泌してしまうらしい。だからまあ、いろいろと甘いんですよ。
「部長、よだれが垂れそうですよ」
「失礼ですね。そんなもの垂らしません」
むっとして否定される。枝角ぴかぴか。ベステルタたちが、なぜシュレアをよくからかうのが分かってきた。めっちゃ楽しい。あと和む。本人マジで分かってないのかな?
あー、鏡とか無いかあ。デイライト? に行ったら買ってあげよう。お金稼がないと。そろそろ行かなきゃな。迷宮都市だっけ?
ていうか、迷宮都市ってなんだ?
今さら気になりだした。迷宮ってことはダンジョンか? ダンジョンがあるのか? もしそうならちょっと楽しみだ。
「ねえ、迷宮都市ってやっぱりダンジョンがあるの?」
この際訊いてしまおう。また忘れるかもしれないからね。
「あるらしいわよ? だから冒険者や商人がたくさん集まっているらしいわ」
「ダンジョンからは宝が出るみたいだからな」
「経済的に豊かな都市のようです」
へぇー、やっぱりダンジョンか。ということは地下何層とかあって、フロアごとにボスがいる感じかな。目指せ、前人未到の迷宮踏破! ってやつかな。
色んな利権が入り乱れていそうだ。ギルドとかさ。
「じゃあ各ギルドの代表が連携して治めているのかな?」
「ギルド……?」
「ああ、冒険者ギルドや商業ギルドのことですね。もちろん各ギルドの代表はいるみたいですが、トップのデイライト伯爵が治めているようですよ?」
デイライトって家名だったんかい。
じゃあ、しっかりギルドの手綱握っているのかな? 富と見合ったリスク抱えてそうな都市だし、有能じゃないと無理そうだよね。
それにしても都市か。家以外にもいろいろと買いたいものあるんだよね。料理道具とかベッドとかさ。
「デイライト行ったら料理道具と調味料たくさん買って美味しいご飯作るよ」
「ありがとう。期待しているわ」
「いつでもいいぞ。半日で飛んでいくからな。私ならすぐだ」
「野菜料理を是非お願いします」
はは。みんな楽しみにしてくれているな。頑張らないとな。
「じゃあご飯作るよ。今日もステーキだけど、この前取ってきたトマトも一緒に焼くよ」
「何か変わるの?」
ベステルタが首を傾げて訊いてくる。彼女は見た目が筋肉もふもふ系余裕お姉さんなのに、こういう子供っぽい仕草してくるから油断できない。かわいい。
「変わるよ。肉だけでも美味しいけど、トマトの酸味や甘味、旨味で美味しさ倍増さ」
やっぱりこってりした肉には酸味が合うからね。古代から続く組み合わせにはちゃんと訳がある。
「ああ、もうエグい渋い不味いトマトの形をした何かをもう食べなくて済むのですね……」
シュレアは不機嫌そうに感動している。器用だな。
「シュレアはそんなに野菜が好きだったのか。知らなかったな」
「確かに、みんなでご飯食べるなんてしたことないしね。何だか不思議だわ」
そんな心暖まるエピソードをBGMに、あっという間に完成だ。焼くだけだからね。
そろそろ、本格的に料理作りたいよ。特に煮込み料理をやりたい。
大きな鍋を買って、ありったけの材料をぶちこむんだ。ここは広いから回りに迷惑もかけないし。ラーメンなんかも作りたいな。
待ってろよ、僕のグルメライフ。あ、いつもお世話になっています繁殖ライフ様。
「「「………………」」」
あ、頂きます。言うの忘れてた。すごい見られてる。みんな律儀に待ってくれるんだよね。このままじゃ暴動が起きる。
「じゃあ、頂きます」
「「「頂きます」」」
頂きます、は僕がやっていたら真似し出したんだよ。何だか嬉しかった。もう誰かが頂きます、って言うのを聞かないと思ってたからさ。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
シュレアが熱く深い溜め息を吐いた。すっごい艶やかなんですが。顔は相変わらず不機嫌なしかめっ面だけど。
「むっ、確かに旨いな! 野菜なんてたまにしか食べなかったが、毎回食べてもいいかもしれん。相乗効果だな」
「ふぅん、悪くないじゃない」
「きゃりり……やっとトマトを食べることができました……きゃり」
シュレアが歯軋り? みたいな音を出している。あれかな、プテュエラの「くぴっ」みたいなやつかな。喜んで貰えたなら何よりだ。
「素晴らしいぞ! 肉と野菜の調和を感じる。食べれば食べるほど食べたくなるっ!」
「プテュエラ、貴方は分かってくれると信じていました」
「うむ!」
がしっ、と握手する二人。
あっ、ベステルタがさみしそうだ。
「……ごめんなさい、わたしにはまだ良さが分からないの。ニンニクは好きなのだけれど」
しゅんと項垂れる筋肉お姉さん。
あちゃーって顔をする残りの二人。プテュエラはおろおろしているし、シュレアは……何かすごい顔でベステルタを見ている。たぶん申し訳なさそうにしているんだと思う。わかんねえ。
でも、そう。ベステルタって余裕ぶってるけどさみしがり屋なんだよね。嫉妬深いし。ちょっと病ん病んしているよね。でもいいんだ。見た目なんて関係ないし、誰もが図太い訳じゃない。本当のことなんて自分で気付けるはずもない。ベステルタは繊細なんだよ。あー抱き締めてあげたい。後で抱き締めよう。
「大丈夫だよ、ベステルタ。君は肉が好きなんだよね? 肉に合う野菜料理なんていくらでもあるからさ。今日はその欠片を味わったに過ぎないよ。だから安心してね」
「……ケイがそういうなら大丈夫ね。二人ともごめんなさい。さあ、食べましょう」
ベステルタは微笑んで食べ始めた。
「あ、あれだ。ケイが何とかしてくれるさ。くぴっ」
「ベステルタ。野菜の可能性は無限大です。気を落とさないで下さい。一緒に美味しい肉と合う野菜料理を考えましょう」
プテュエラはプレッシャーかけるとポンコツだな。見た目はビシッとした軍人なんだけどな。ギャップがすごい。
シュレアは不健康そうな顔色にぼさぼさの黒髪で、不機嫌な目付きだけど、すごく気遣いできるよね。めっちゃいい子。さりげなくベステルタに寄り添ってるし。
ちょっとしんみりしちゃったけど、結局会話が弾んで楽しく食べた。よかったよかった。
その後は念願の食後繁りタイムだ。まずは浄化マッサージで前々々戯していくよ。ベステルタとプテュエラはすっかりこれが好きみたいでうれしい。シュレアも心地良さそうだ。ぐへへ、病み付きにしてやるぜ。
それで、初めて三人で繁ったが、流石に防戦一方だったよ。シュレアの触手は反則だ。あれ、柔らかくもできるみたい。樹液も出してくるし、前衛二人を支える有能な後衛だよ。久しぶりに好き放題にやられてしまった。くそう。でも、この絞られてる感、最高だ。しばらくはこのままでいいや。
その夜はみんなでくっついて寝た。いい加減新しいベッド調達しないとなぁ。
「そうみたいだな」
拠点に戻ると、ベステルタたちがニヤニヤしながら出迎えてくれた。
あれ、唐突に涙が出そうになった。いや、何か誰かが暖かく迎えてくれるって尊いね。
「はあ」
冷やかす二人にシュレアがめんどくさそうに相槌を打った。
この三人組は昔からこんな感じなのかもね。君らの方が仲良くて羨ましいよ。あ、四人組なんだっけ。名前忘れちゃったけど。
「その子はどうしたの?」
ベステルタがシュレアの抱えている苗木に気付いた。
「浄化作業中に協力してくれた子です。
一緒に来たいという意志が見られたので、ケイが許可しました」
「それくらいの大きさで意志があるのは珍しいんじゃないか?」
「そうですね。もしかしたら進化するかもしれません」
さらっとシュレアが言ったけど進化とかあるのね。でもまあ、ダイオークなんかも元はただのオークだろうしあり得るのか。そうするとどんな種族になるんだろう。楽しみだ。
「早速日当たりの良い場所に植えてあげましょう。その前にケイ、名前を付けて下さい」
(……)
名前かあ。予想してたけどやっぱり僕がつけるのね。でもあらかじめ考えておいたんだ。
「リンカ、ってのはどう?」
「女の子と決まった訳じゃないですよ?」
「ケイはわたしたちがいるのにまだそんな気があるのね」
「ちょっと引くぞ」
三人とも不評。な、なぜだ。
「別にそんな意味はないよ。鈴が鳴っているみたいで綺麗でしょ?」
植林から連想したんだけどね。ぱっと頭に浮かんだのがそれだった。
「ふむ、まあそれなら」
「わたしたちの子供にもお願いね」
「悪くないな」
よかった。理解を得られた。いくら守備範囲が広くても、流石に苗木にまで発情する変態人間だとは思われたくないよ。
そのまま日当たりの良い場所にリンカを植えた。もぞもぞ枝やら幹の身体を動かしていたから、根の張り具合とかを確かめていたのかもしれない。
(……)
満足したような感情が伝わってきた。よかったよかった。何だか可愛いな。毎日水やりしよう。
「これからよろしくね、リンカ」
(……う)
あっ、喋った? 微かに声が聞こえた気がする。うちのリンカちゃんはお利口なのです。
拠点に戻るとベステルタとシュレアがやいやい話していた。どうしたんだ?
「シュレア、もう一度お願い。野菜部って何かしら?」
「野菜を育て、食べ、その素晴らしさを伝える部活動です」
「部活動?」
「部活動ってなんだ?」
ベステルタとプテュエラはピンときていない。そりゃそうだ。シュレアが無表情なのに枝角ぴかぴかなのはスルーしよう。
「うーん、興味あることや好きなことを見付けて、楽しんで取り組む活動だよ」
部活動の定義なんて考えたことも無かったけどこれでいいのかな。
「ふぅん、何だか楽しそうね。わたしも部活始めてみようかしら」
「私も気になるな。興味のあることか……」
「野菜部はシュレアが部長なので、入りたい人は言ってください」
「部長?」
「責任者のことです」
「ほー」
三人でわやわや話している。女三人寄れば姦しいというけど、そんな感じだね。楽しそうだ。
「何か考えてみるわ」
「ああ。何だかワクワクするしな」
よかった。僕が会う前の彼女たちは暗かったから、もっと楽しんで欲しいな。
ー
晩御飯何にしようかな。まぁ、もう決まっているんだけどね。見てよあのシュレアの顔。不機嫌そうな口許がぴくぴくしているよ。たぶんよだれ垂れそうなんだよ。シュレア、木の性質が強いせいかけっこう樹液を分泌してしまうらしい。だからまあ、いろいろと甘いんですよ。
「部長、よだれが垂れそうですよ」
「失礼ですね。そんなもの垂らしません」
むっとして否定される。枝角ぴかぴか。ベステルタたちが、なぜシュレアをよくからかうのが分かってきた。めっちゃ楽しい。あと和む。本人マジで分かってないのかな?
あー、鏡とか無いかあ。デイライト? に行ったら買ってあげよう。お金稼がないと。そろそろ行かなきゃな。迷宮都市だっけ?
ていうか、迷宮都市ってなんだ?
今さら気になりだした。迷宮ってことはダンジョンか? ダンジョンがあるのか? もしそうならちょっと楽しみだ。
「ねえ、迷宮都市ってやっぱりダンジョンがあるの?」
この際訊いてしまおう。また忘れるかもしれないからね。
「あるらしいわよ? だから冒険者や商人がたくさん集まっているらしいわ」
「ダンジョンからは宝が出るみたいだからな」
「経済的に豊かな都市のようです」
へぇー、やっぱりダンジョンか。ということは地下何層とかあって、フロアごとにボスがいる感じかな。目指せ、前人未到の迷宮踏破! ってやつかな。
色んな利権が入り乱れていそうだ。ギルドとかさ。
「じゃあ各ギルドの代表が連携して治めているのかな?」
「ギルド……?」
「ああ、冒険者ギルドや商業ギルドのことですね。もちろん各ギルドの代表はいるみたいですが、トップのデイライト伯爵が治めているようですよ?」
デイライトって家名だったんかい。
じゃあ、しっかりギルドの手綱握っているのかな? 富と見合ったリスク抱えてそうな都市だし、有能じゃないと無理そうだよね。
それにしても都市か。家以外にもいろいろと買いたいものあるんだよね。料理道具とかベッドとかさ。
「デイライト行ったら料理道具と調味料たくさん買って美味しいご飯作るよ」
「ありがとう。期待しているわ」
「いつでもいいぞ。半日で飛んでいくからな。私ならすぐだ」
「野菜料理を是非お願いします」
はは。みんな楽しみにしてくれているな。頑張らないとな。
「じゃあご飯作るよ。今日もステーキだけど、この前取ってきたトマトも一緒に焼くよ」
「何か変わるの?」
ベステルタが首を傾げて訊いてくる。彼女は見た目が筋肉もふもふ系余裕お姉さんなのに、こういう子供っぽい仕草してくるから油断できない。かわいい。
「変わるよ。肉だけでも美味しいけど、トマトの酸味や甘味、旨味で美味しさ倍増さ」
やっぱりこってりした肉には酸味が合うからね。古代から続く組み合わせにはちゃんと訳がある。
「ああ、もうエグい渋い不味いトマトの形をした何かをもう食べなくて済むのですね……」
シュレアは不機嫌そうに感動している。器用だな。
「シュレアはそんなに野菜が好きだったのか。知らなかったな」
「確かに、みんなでご飯食べるなんてしたことないしね。何だか不思議だわ」
そんな心暖まるエピソードをBGMに、あっという間に完成だ。焼くだけだからね。
そろそろ、本格的に料理作りたいよ。特に煮込み料理をやりたい。
大きな鍋を買って、ありったけの材料をぶちこむんだ。ここは広いから回りに迷惑もかけないし。ラーメンなんかも作りたいな。
待ってろよ、僕のグルメライフ。あ、いつもお世話になっています繁殖ライフ様。
「「「………………」」」
あ、頂きます。言うの忘れてた。すごい見られてる。みんな律儀に待ってくれるんだよね。このままじゃ暴動が起きる。
「じゃあ、頂きます」
「「「頂きます」」」
頂きます、は僕がやっていたら真似し出したんだよ。何だか嬉しかった。もう誰かが頂きます、って言うのを聞かないと思ってたからさ。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
シュレアが熱く深い溜め息を吐いた。すっごい艶やかなんですが。顔は相変わらず不機嫌なしかめっ面だけど。
「むっ、確かに旨いな! 野菜なんてたまにしか食べなかったが、毎回食べてもいいかもしれん。相乗効果だな」
「ふぅん、悪くないじゃない」
「きゃりり……やっとトマトを食べることができました……きゃり」
シュレアが歯軋り? みたいな音を出している。あれかな、プテュエラの「くぴっ」みたいなやつかな。喜んで貰えたなら何よりだ。
「素晴らしいぞ! 肉と野菜の調和を感じる。食べれば食べるほど食べたくなるっ!」
「プテュエラ、貴方は分かってくれると信じていました」
「うむ!」
がしっ、と握手する二人。
あっ、ベステルタがさみしそうだ。
「……ごめんなさい、わたしにはまだ良さが分からないの。ニンニクは好きなのだけれど」
しゅんと項垂れる筋肉お姉さん。
あちゃーって顔をする残りの二人。プテュエラはおろおろしているし、シュレアは……何かすごい顔でベステルタを見ている。たぶん申し訳なさそうにしているんだと思う。わかんねえ。
でも、そう。ベステルタって余裕ぶってるけどさみしがり屋なんだよね。嫉妬深いし。ちょっと病ん病んしているよね。でもいいんだ。見た目なんて関係ないし、誰もが図太い訳じゃない。本当のことなんて自分で気付けるはずもない。ベステルタは繊細なんだよ。あー抱き締めてあげたい。後で抱き締めよう。
「大丈夫だよ、ベステルタ。君は肉が好きなんだよね? 肉に合う野菜料理なんていくらでもあるからさ。今日はその欠片を味わったに過ぎないよ。だから安心してね」
「……ケイがそういうなら大丈夫ね。二人ともごめんなさい。さあ、食べましょう」
ベステルタは微笑んで食べ始めた。
「あ、あれだ。ケイが何とかしてくれるさ。くぴっ」
「ベステルタ。野菜の可能性は無限大です。気を落とさないで下さい。一緒に美味しい肉と合う野菜料理を考えましょう」
プテュエラはプレッシャーかけるとポンコツだな。見た目はビシッとした軍人なんだけどな。ギャップがすごい。
シュレアは不健康そうな顔色にぼさぼさの黒髪で、不機嫌な目付きだけど、すごく気遣いできるよね。めっちゃいい子。さりげなくベステルタに寄り添ってるし。
ちょっとしんみりしちゃったけど、結局会話が弾んで楽しく食べた。よかったよかった。
その後は念願の食後繁りタイムだ。まずは浄化マッサージで前々々戯していくよ。ベステルタとプテュエラはすっかりこれが好きみたいでうれしい。シュレアも心地良さそうだ。ぐへへ、病み付きにしてやるぜ。
それで、初めて三人で繁ったが、流石に防戦一方だったよ。シュレアの触手は反則だ。あれ、柔らかくもできるみたい。樹液も出してくるし、前衛二人を支える有能な後衛だよ。久しぶりに好き放題にやられてしまった。くそう。でも、この絞られてる感、最高だ。しばらくはこのままでいいや。
その夜はみんなでくっついて寝た。いい加減新しいベッド調達しないとなぁ。
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