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シュレアの研究
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「これは……」
ガーリックフレイムベアステーキ(つよそう)を一口食べてシュレアがぼさぼさの黒髪の奥で目を丸くした。
「お味はどうですか?」
つい敬語で接してしまう。さすがに、まだ距離感遠いからね。ちょっと緊張する。
「……美味しいです」
「分かるわ」
「まあそうなるな」
ほっ、良かった。胸を撫で下ろせたよ。これでテーブルひっくり返されたら流石に泣いてたよ。
生活魔法で淹れたコス茶を飲み、思案しているのか黙っている。
見れば見るほど不健康そうな顔立ちで、それでいて美人だ。徹夜明けに繁りたい。ポテチとコーヒー片手に二人で時間を浪費したい。そういう不摂生に寛容そうだ。おっと妄想が。
「いきなりそれ食べてよく無表情でいられるわね」
「ああ、ステーキの完成形だよな」
感心したようなベステルタとちょっとずれているプテュエラ。ちょっとだけね。そこが愛しい。
「いえ、十分驚いています。正直、シュレアも食に対する興味が出てきました。ただ、それよりも驚いたのは貴方の浄化スキルです」
あ、そっちなんだ。まあ確かに便利だよね。身体の清潔さは保てるし、毒の分解までこなせる。なかなかの万能スキルだよ。
「種巣啓」
ぐいっと身を乗り出すシュレアさん。ぽよん、とシュレアさんの双丘が揺れた。ぽよよん、ぽよよん。なんて柔らかそうなんだ。ベステルタのような暴れん坊ではなく、プテュエラのように上向きつーんでもない。一つとして同じものはない。ここが魅惑のアイランド……。あっ見掛けによらない、ぼよんぼよんがっ。はねるっ、はねるっ。
「聞いていますか?」
「はい、何でしょう」
冷たく訊いてくるシュレアさん。でもシュレアさんが鈍感そうで助かった。ほら、ベステルタたちなんかニヤニヤしてるよ。
「貴方に協力して欲しいことがあります」
「僕にですか?」
僕にできることなんて、亜人の繁殖お手伝いっていう、神が偶々くれたような、ものすごいラッキージョブくらいしかないけど。
「絶死の森の浄化を手伝って下さい。対価は払います」
「浄化……ですか」
完全に予想外だった。ていうかこの森、浄化しないとやばいの?
「シュレアは絶死の森について研究しています。ベステルタから聞いていますね?」
ごごご、と迫力がある。
「は、はい」
確かベステルタたちが研究狂いって言ってたしね。でもどんな研究か聞いていないな。
「ちなみに、何の研究ですか?」
「絶死の森における『魔素』研究です」
おっ、シュレアさんが自慢げに胸を張った。ぽよよんと揺れている。
ていうか、まそ? 毒素ではなく?
ベステルタを見ても分からなそうに肩をすくめている。プテュエラは翼だけど。
まだよく分からないな。
「魔素とは何ですか?」
「魔素とは魔力の源となる根元物質です」
嬉しそうに話すシュレアさん。あれだな、話す人がいなかったんだろうな。
やばい、分からなくなってきた。
ベステルタは爪を弄ってるし、プテュエラはまだステーキを食べている。
「シュレアは母の研究を引き継いで長年この森を調査してきました。何人かの亜人にも話を訊き、一つの確信を持ちました。
この森は魔素が多すぎるのです」
シュレアさんの研究はお母さんからの引き継ぎだったっぽいな。そして娘はその研究を悲願としていると。なるほどね
「ふぅん……」
ベステルタも何やら考えている。
「魔素が多い原因は分かりません。しかし、魔素が多すぎると動物、環境、屈強な亜人たちにも悪影響を及ぼすことが長年の研究で分かりました」
ばっ、とベステルタが顔を上げる。
「シュレア……貴方……なぜそれをあの時言わなかったの?」
「別に。あの時は確信が無かっただけです」
つん、とそっぽを向くシュレア。何か隠している気がする。昔いろいろあったみたいだね。
ただ、今度は話が飛躍していて分からないな。
「そうですね……。これは推測なのですが、プテュエラ」
「私か?」
流石にシリアスな雰囲気になったのを感じて食べるのを止めたプテュエラ。まだちらちらと食べかけのステーキを見ているけどね。
「先程、種巣啓と暮らすようになってから楽しくなったと言っていましたね?」
「あ、ああ。そうだ。気分が晴れやかになったんだ」
「そう、それです」
シュレアさんはクールに髪をかき上げる。めっちゃ似合う。
「それはおそらく『魔素中毒』を起こしていたと考えられます」
おいおい、ちょっとおかしな方向に話が向かっている気がするな。
「中毒? 亜人が中毒だと?」
プテュエラが困惑している。
「なるほどね……」
ベステルタは何か心当たりがありそうだ。
「先程言った通り、魔素中毒は緩やかに、しかし確実に進行します。
魔素に侵されたものを食べ、その地の魔力を使い続ければどんな屈強な亜人でも体調や精神面に不調をきたします」
「にわかには信じられんな。私たちは亜人だぞ? 脆弱な人間とは違う」
うわっ、プテュエラの目が鋭い。めっちゃこわい。これが皆がプテュエラを頼る所以か。視線でフレイムベアが死ぬな。
「懸念は理解しています。しかし、多くの亜人の今と過去、彼女たちの母の記憶を聞いて確信しています。
プテュエラ、種巣啓に会う前、貴方は本当に本調子でしたか? 私はここ数年、貴方が空を轟かせる飛翔を見ていません」
「む、むう。言われてみれば確かにそうだ。ここ数年、何となく本気で飛ぶ気になれなかったんだ。そうか……確かに言われてみれば何となく怠かったかもしれん」
うーむ、と唸る。
よかった。いつものプテュエラに戻った。あの目、やばすぎるよ。猛禽類の王の目だよ。
「なるほど、分かったわ。ケイのスキルならこの森と亜人の魔素を浄化できると考えた訳ね?」
「その通りです。おそらくあの温泉湖も地下深くの魔素溜まりを浄化したから起きたものかと」
なるほどね、温泉湖を浄化した時に変な手応えがあったから、それのことだろう。
「……」
シュレアさんは凛とした瞳で僕を見つめる。……ただ冷たい訳じゃなかったんだな。意志があったんだ。
「種巣啓、改めてお願いします。この森と亜人の魔素を浄化してください。もちろんシュレアも手伝います。対価は払います」
ゆっくりと頭を下げるシュレアさん。白衣が揺れる。
ベステルタとプテュエラがびっくりした様子だ。相当珍しいことなんだろうな。
「貴方が頭を下げるなんて」
「ベステルタ。分かっているでしょ?
亜人はただでさえ子を成しづらい。それに加えて魔素中毒。亜人は外も内も限界が来ているの。貴方の言った通りです。このままでは遠くない未来に亜人は絶滅します」
シュレアさん、熱いハートの持ち主だった。冷たいなんて思って申し訳無いよ。誰よりも亜人の未来を考えていたんだね。たぶん、口振りからしてベステルタとの過去のやり取りがきっかけだったんだろう。
でも僕にも譲れないものがある。クズだ、調子に乗っていると言われても譲れないものがある。
ゆっくりと口を開く。
「正直に言うと、僕は亜人の未来という大きなものを背負うつもりはありません。面倒だからです。
僕はこの世界に来たときにある意味一度死んでいるんです。その時に、もう他人に尽くして生きるのは止めると決めました。自分のために生きると決めました。
……だから、できる範囲で協力します。それでもいいですか?」
こういうのは最初に本音を出しておいた方がいいんだよ。長く付き合っていくつもりならね
「問題ありません。『賢樹』シュレア、心より感謝いたします。ありがとう」
シュレアさんは初めてふっと笑った、気がした。
ガーリックフレイムベアステーキ(つよそう)を一口食べてシュレアがぼさぼさの黒髪の奥で目を丸くした。
「お味はどうですか?」
つい敬語で接してしまう。さすがに、まだ距離感遠いからね。ちょっと緊張する。
「……美味しいです」
「分かるわ」
「まあそうなるな」
ほっ、良かった。胸を撫で下ろせたよ。これでテーブルひっくり返されたら流石に泣いてたよ。
生活魔法で淹れたコス茶を飲み、思案しているのか黙っている。
見れば見るほど不健康そうな顔立ちで、それでいて美人だ。徹夜明けに繁りたい。ポテチとコーヒー片手に二人で時間を浪費したい。そういう不摂生に寛容そうだ。おっと妄想が。
「いきなりそれ食べてよく無表情でいられるわね」
「ああ、ステーキの完成形だよな」
感心したようなベステルタとちょっとずれているプテュエラ。ちょっとだけね。そこが愛しい。
「いえ、十分驚いています。正直、シュレアも食に対する興味が出てきました。ただ、それよりも驚いたのは貴方の浄化スキルです」
あ、そっちなんだ。まあ確かに便利だよね。身体の清潔さは保てるし、毒の分解までこなせる。なかなかの万能スキルだよ。
「種巣啓」
ぐいっと身を乗り出すシュレアさん。ぽよん、とシュレアさんの双丘が揺れた。ぽよよん、ぽよよん。なんて柔らかそうなんだ。ベステルタのような暴れん坊ではなく、プテュエラのように上向きつーんでもない。一つとして同じものはない。ここが魅惑のアイランド……。あっ見掛けによらない、ぼよんぼよんがっ。はねるっ、はねるっ。
「聞いていますか?」
「はい、何でしょう」
冷たく訊いてくるシュレアさん。でもシュレアさんが鈍感そうで助かった。ほら、ベステルタたちなんかニヤニヤしてるよ。
「貴方に協力して欲しいことがあります」
「僕にですか?」
僕にできることなんて、亜人の繁殖お手伝いっていう、神が偶々くれたような、ものすごいラッキージョブくらいしかないけど。
「絶死の森の浄化を手伝って下さい。対価は払います」
「浄化……ですか」
完全に予想外だった。ていうかこの森、浄化しないとやばいの?
「シュレアは絶死の森について研究しています。ベステルタから聞いていますね?」
ごごご、と迫力がある。
「は、はい」
確かベステルタたちが研究狂いって言ってたしね。でもどんな研究か聞いていないな。
「ちなみに、何の研究ですか?」
「絶死の森における『魔素』研究です」
おっ、シュレアさんが自慢げに胸を張った。ぽよよんと揺れている。
ていうか、まそ? 毒素ではなく?
ベステルタを見ても分からなそうに肩をすくめている。プテュエラは翼だけど。
まだよく分からないな。
「魔素とは何ですか?」
「魔素とは魔力の源となる根元物質です」
嬉しそうに話すシュレアさん。あれだな、話す人がいなかったんだろうな。
やばい、分からなくなってきた。
ベステルタは爪を弄ってるし、プテュエラはまだステーキを食べている。
「シュレアは母の研究を引き継いで長年この森を調査してきました。何人かの亜人にも話を訊き、一つの確信を持ちました。
この森は魔素が多すぎるのです」
シュレアさんの研究はお母さんからの引き継ぎだったっぽいな。そして娘はその研究を悲願としていると。なるほどね
「ふぅん……」
ベステルタも何やら考えている。
「魔素が多い原因は分かりません。しかし、魔素が多すぎると動物、環境、屈強な亜人たちにも悪影響を及ぼすことが長年の研究で分かりました」
ばっ、とベステルタが顔を上げる。
「シュレア……貴方……なぜそれをあの時言わなかったの?」
「別に。あの時は確信が無かっただけです」
つん、とそっぽを向くシュレア。何か隠している気がする。昔いろいろあったみたいだね。
ただ、今度は話が飛躍していて分からないな。
「そうですね……。これは推測なのですが、プテュエラ」
「私か?」
流石にシリアスな雰囲気になったのを感じて食べるのを止めたプテュエラ。まだちらちらと食べかけのステーキを見ているけどね。
「先程、種巣啓と暮らすようになってから楽しくなったと言っていましたね?」
「あ、ああ。そうだ。気分が晴れやかになったんだ」
「そう、それです」
シュレアさんはクールに髪をかき上げる。めっちゃ似合う。
「それはおそらく『魔素中毒』を起こしていたと考えられます」
おいおい、ちょっとおかしな方向に話が向かっている気がするな。
「中毒? 亜人が中毒だと?」
プテュエラが困惑している。
「なるほどね……」
ベステルタは何か心当たりがありそうだ。
「先程言った通り、魔素中毒は緩やかに、しかし確実に進行します。
魔素に侵されたものを食べ、その地の魔力を使い続ければどんな屈強な亜人でも体調や精神面に不調をきたします」
「にわかには信じられんな。私たちは亜人だぞ? 脆弱な人間とは違う」
うわっ、プテュエラの目が鋭い。めっちゃこわい。これが皆がプテュエラを頼る所以か。視線でフレイムベアが死ぬな。
「懸念は理解しています。しかし、多くの亜人の今と過去、彼女たちの母の記憶を聞いて確信しています。
プテュエラ、種巣啓に会う前、貴方は本当に本調子でしたか? 私はここ数年、貴方が空を轟かせる飛翔を見ていません」
「む、むう。言われてみれば確かにそうだ。ここ数年、何となく本気で飛ぶ気になれなかったんだ。そうか……確かに言われてみれば何となく怠かったかもしれん」
うーむ、と唸る。
よかった。いつものプテュエラに戻った。あの目、やばすぎるよ。猛禽類の王の目だよ。
「なるほど、分かったわ。ケイのスキルならこの森と亜人の魔素を浄化できると考えた訳ね?」
「その通りです。おそらくあの温泉湖も地下深くの魔素溜まりを浄化したから起きたものかと」
なるほどね、温泉湖を浄化した時に変な手応えがあったから、それのことだろう。
「……」
シュレアさんは凛とした瞳で僕を見つめる。……ただ冷たい訳じゃなかったんだな。意志があったんだ。
「種巣啓、改めてお願いします。この森と亜人の魔素を浄化してください。もちろんシュレアも手伝います。対価は払います」
ゆっくりと頭を下げるシュレアさん。白衣が揺れる。
ベステルタとプテュエラがびっくりした様子だ。相当珍しいことなんだろうな。
「貴方が頭を下げるなんて」
「ベステルタ。分かっているでしょ?
亜人はただでさえ子を成しづらい。それに加えて魔素中毒。亜人は外も内も限界が来ているの。貴方の言った通りです。このままでは遠くない未来に亜人は絶滅します」
シュレアさん、熱いハートの持ち主だった。冷たいなんて思って申し訳無いよ。誰よりも亜人の未来を考えていたんだね。たぶん、口振りからしてベステルタとの過去のやり取りがきっかけだったんだろう。
でも僕にも譲れないものがある。クズだ、調子に乗っていると言われても譲れないものがある。
ゆっくりと口を開く。
「正直に言うと、僕は亜人の未来という大きなものを背負うつもりはありません。面倒だからです。
僕はこの世界に来たときにある意味一度死んでいるんです。その時に、もう他人に尽くして生きるのは止めると決めました。自分のために生きると決めました。
……だから、できる範囲で協力します。それでもいいですか?」
こういうのは最初に本音を出しておいた方がいいんだよ。長く付き合っていくつもりならね
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