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これで、おしまい

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「いっ……ぃぎゃああああああああああああああ!!!」



ルミナの絶叫が響き渡る。

大袈裟だね?んだ我慢しなさい。まあ本物を引き千切る方が痛くない気がするんだけどね?

俺は手の中のを見る。底無しの純黒。ドロドロ蠢いて気持ち悪い。



「オズワルド、その……汚物を見るような目は…」


「え?汚物に失礼だよ?」




今すぐ握り潰したい衝動を抑えて、俺はテオに笑い掛けた。汚物は処理によっては肥料や硝石などの資源になる。は産廃よりタチが悪い。



蠢くコレは《逸霊》そのものだ。

完成しているが、覚醒しなかったオリジン。取り出すことなど造作もなかった。




「………え…?え、あ…、な、なに……?あ、ああ…わた、し…死んで…な、い……???」


「《瀬田光里せだみさと》」


「!!!???」




ルミナは面白いほど飛び上がって硬直した。子供の頃にやってた青い猫のアニメみたいだね。




「たくさん怨みを買っていたね、瀬田光里。胸糞が悪くなる記録レコードだったよ」


「いっ…いや!!なに…?なんですかそれ!?私はルミナよ?カッラーラ村のルミナ!聖女ルミナ!『ローズガーデンでお茶会を』のヒロインで……ねえ?そうでしょ!?そうよね、オズワルド様!?」


「滅多刺しで刺殺されたくらいじゃ足りないね?だってお前は《逸霊》の力を利用して、直接手を下さなくても運命を捻じ曲げて100じゃないか?よくもまあ、天罰ってやつが下らなかったよね?神様の職務怠慢?そのへん含めて追及させて貰ったら、特別にするらしいよ、お前の《運命》」


「かい…へ、ん……?」


「瀬田光里、お前は地球に還す。ただの小さきものにんげんとして生きて、 ーーー 死ね。物語の主人公?冗談じゃない。派手なバッドエンド?ふざけるな。お前はただの人間として地球で死ぬんだ。殺してなんかやらない。転生にロックも掛けない。記憶も奪わない。何度も何度も何度も生まれて死ね。お前の作った因果はお前が消化しろ。疎まれて、憎まれて、虐げられ、軽んじられ、殴られ、蹴られ、犯され、殺されて」


「オズワルド様?なにを言ってるの?オズワルド様?私はルミナよ?みさとってだれ?お願い!呼んでよ!!私の名前はルミナよ!!ルミナなの!!お嬢さんでもイソラでも光里でもないわ!!わたしは、わたしは……ィ、ぃ、い、いいいいいいい、イヤ…!嫌、嫌、嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!!嫌よ!!嫌!私はルミナ!!平凡な容姿でも皆に愛されて、特別な力を持っていて、誰からも羨まれて、素敵な恋を、いっぱい、し、て……」





「瀬田光里、お前は醜い感情に晒され溺れ、惨めに踠き苦しんで死に続けると良い」






「いっ…イヤアアアアア          」






汚い悲鳴をこれ以上聞きたくなかったから、予備動作なしでルミナの身体ごと地球に送る。

さあ、失望させてくれるなよ?《廟》?




「オズ、兄様……」


「ん?」




ああ、忘れてた。

怯えさせた…かな……。




「…オズ兄様……か、かっこいい………!!」




…………嫌われてないなら、まあいいか。















手の中のソレを ーーー 握り潰した。































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次で最終話です(*´ω`*)














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