【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

とうや

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モブと慰問

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慰問は滞りなく進む。

動線の関係と、遥が「カガンは最後がいい!」とのことで、ロタリンギア国境付近→セルビア国境砦→カガン国境付近の順になった。

戦場になった村や森は、遺体や魔獣の死体は片付けられていたものの、未だに激戦の爪痕が残る。

避難途中で亡くなった人、勇敢に立ち向かって亡くなった人、その後の衛生状態の悪さから体調を崩して亡くなった人。命はあっても怪我をしたり、体の一部を失ったり、親や家族、恋人や親しい人を亡くした人。

孤児は教会で暮らすことになりそうなんだけど、まだまだ村とかグッチャグチャだから教会も孤児を引き取る余裕なんてない。かと言って王都の教会も飽和状態。新しい孤児院を…とか言ってるらしいがいつになるのか…。

見舞金を渡しながら思う。ああ、もう少し奴らから毟ってやれば良かった、と。

祈りを捧げると、足元から、地面から、木々から。ふわりふわりと何かが舞う。精霊たちに似ているが、白っぽい光だ。

魔獣に殺された人たちの怨みつらみは酷くて真っ黒だったけど、セルビアの兵士たちはほとんどがすでに輪廻へと帰っていた。一瞬だったから何が何だかわからなかったんだろう。痛みもなかったらいいな、と思う。




鬱々とした浄化の旅で、最後のカガン国境付近が終わってぶっ倒れた。




幸いにも辺境伯領主の館で一泊する予定だったので、気遣いに甘えて休むことにする。驚いたのはこの辺境伯の娘さん、俺がいつぞやのパーティーで説教ぶちかましちゃったお嬢さんだった。

呼吸音がおかしな音をたてる。

ああ、これじゃあ6年前みたいだな。嫌だな……オズワルドの体にガタがきてたら……。

治ったんだと思っていた。けど、少し無理をしたらこれだ。

このまま眠って目が覚めなかったら、…死んだら、どうしよう。

怖くて苦しくて。縋るものを探して手を彷徨わせる。

ちょっとゴツゴツした手が握ってくれたから、きっとテオだ。

俺としては手を握ってくれるより、一緒に寝てギュッてして欲しいんだが……うん、無理だよね。はいはい。

握ってもらった手から、あったかい体温が流れてくる。

幸せだなあ。いい旦那だよなあ。心配かけて……ほんと、申し訳ない。

睡魔が襲ってくる。

眠るのが怖かったけど……テオが手を握っててくれるんなら………大丈夫、かな。




きっと……、だい、じょ…ぶ…………。








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