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モブとスパイ大捕獲
しおりを挟むヴァッサロ邸の硝石畑を埋めた。
硝石の廃棄は水で希釈して……とか考えていたんだが面倒になった。あの時のことを思い出して頭痛と吐き気と動悸がして見たくもなかったし。
まー、これがあったら硝酸とか硫酸作ってニトロとか作れそうな気配がするが、そこまでやったら文明が崩壊する。俺の精神が死ぬ。埋めよう。
雷魔法でバクテリアを死滅させる。肥料とかに使えそうだったけど、カムイの排泄物も混じってるからバクテリアが進化してそうで怖いし。
業者呼んで解体して、巨大換気扇と撹拌器は魔女様立ち会いの元、完全破壊。業者の中にも「これはなんだ」って聞いてくる産業スパイなのか軍事スパイなのかがいたみたいだから、これが爆発のカラクリだと勘違いさせておく。大事に撹拌器の破片を盗んで持って行ってるけど、スパイよ。それ、動物のウンコ付きだからな?ただのウンコだぞ?そこ、執事。ブフォ!とか噴き出しちゃダメ。
《ねえねえ、オズ?カムイのウンコ、どこですればいい?》
……………忘れてた。
仕方ないので人化してトイレトレーニング。すぐに覚えた。うちの子優秀。
硝石畑のあった場所には花を植えてもらった。
黒色火薬を作っていた時間を花壇の水遣りにしたら、花の周りに光の粒がチラチラして見える。日に日に増えてギラギラしてきて怖いので、魔女様に虫だったら駆除して良いかと聞いたらまさかの精霊だった。
俺の魔力が美味いらしい。
とうとう精霊にまで自動給餌器認定された。くそう。
「精霊は図々しい子達が多いけど、こっちも図々しく色んなお願いすると良いよ?君のお願いなら、絶対喜んで聞いてくれるから」
魔女様は笑う。
お願い、かあ…。
色とりどりの光の粒が、クルクルと楽しそうに俺の周りを回る。これはこれでイルミネーションみたいで綺麗だ。
「そうだなあ…。俺はみんなに良くして貰ってるから今のとこお願いすることは無いんだけど、この屋敷の人たちの事を助けてやってくれないか?良い人たちばっかりなんだよ」
光の粒たちは嬉しそうに舞い踊り、屋敷中に散っていく。
そして……あちこちから響く悲鳴。
「え…?え?え?ええ!?」
「あーらら?この屋敷の警備も意外にザルだねえ?」
スパイ大作戦ならぬ、スパイ大捕獲…。
知らせを受けて慌てて帰ってきたテオに話すと、使用人の数人が他国のスパイだったことが判明した。
光の粒こと精霊たちは、悪意のある人間たちに襲い掛かったようだ。
俺さ……助けてやってくれって言ったけど、敵を襲えって言ってないよね?
怖い。精霊怖い。
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