【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

とうや

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侵 攻

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雪の降り頻る日。隣国の侵攻が始まる。



そして、国内でスタンピードが発生。侵攻してきたセルビアとは反対側のロタリンギア国とカガン国側から。



……本気か、これ。本気でサヴァレーゼを潰しにきたのか。



カズマの二番目だかの奥さんから、けど、魔獣用のフェロモンを大量に発注してもらったんだよね?と連絡をもらっていた。

そういうことだ。

カズマと遼、遥に頭を下げると、彼らは笑ってこう言った。「狩った素材はもらっていいの?」「臨時収入おこずかいだな♪」「帰ったら庭で焼肉しようか」……と。




侵攻して来るルートは、偶々国境の長城が崩れていた場所だ。村や町の住民はとっくに避難させた。

雪崩れ込んでくるセルビア兵。ああ、悪夢だ。




俺はその光景を、砦の上から見ていた。




伏せたカムイに腰掛けて。傍には人化した赤座が居る。

テオが視察と言って連れてきていた軍人たちも、突然に起こった大侵攻に顔色を無くしていた。




「将軍!お逃げください!お一人なら退路を…!!」


い、我が妻がいる」


「…は……?!」




意味を測りかねて側近らしい青年は言葉を失った。




俺は笑う。




ああ、ルクレツィアは泣くかな?

カムイは怯えるかもしれないし、カズマや遼や遥は「このくらい」って笑うだろう。

朱座は「まあまあだ」、ってドヤ顔しそうなんだよなあ…。


テオは?テオはどうするかな?


テオは………俺がだって知ってしまう。

嫌われたりは流石にないと思うけど、距離はできちゃうかな。

怖がらないで欲しいけど、無理かもな。




俺は立ち上がる。そして、森の中を進軍していく黒い塊を見て、笑ってみせる。




ああ…俺は酷い奴だ。



テオが ーーー 壊れててくれないかな、と思う。



時のテオは、人間として壊れていた。

俺が何でもいい。オズワルドなら、残骸でも構わない、といった風で。

最初は成り行きで。

それでも、好きになった。少しずつ。

テオも、俺自身を好きになってくれたんだと自惚れたい。

けれど、そのテオは。まともに俺と恋愛したテオは。今からの俺の行為を受け入れられるだろうか。

まともに…。そう、今から人たちにも、愛する者が居たのだと。愛されていたのだと、知ってしまったテオは。

こんな時にも、今から殺す人のことではなく、自分のことしか考えられないバケモノおれを。




俺の、こと、を… ーーー 。




目の前に翳した手で、中指と親指を擦り合わせる。

パチリと音がして、火花が散る。














轟音が、響いた。














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