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モブと夫婦ゲンカ1
しおりを挟む身なりを整えてもらって馬車の手配をお願いする。
使用人軍団一堂でオロオロしているが、大丈夫だよ?とだけ言ってルクレツィアとカムイと3人で城に向かう。
馬車の中でカムイの背中を撫でながら昨日のことを反芻していたら、なんだかむかっ腹が立ってきた。
昨日は動揺してるしアレだったけど、よく考えたら酷いよね!?現代日本で言うと、妻の連れ子を夫の実家の生贄にしようとするエネミー夫だよ!?最悪じゃん離婚案件じゃん!離婚したくないけど!
俺が甘かったと言うべきなのか。
俺の大事なものはテオも大事にしてくれると思い込んでた。
だから ーーー 夫婦ゲンカしようと思う。
テオや陛下の答えによって、俺の対応が変わる。
パターン1は、テオが折れなかった場合。
パターン2は、陛下が折れなかった場合。
パターン3は、王太子が助からない場合。
希望は持つけど準備は最悪を想定。これ基本。
まず城に着いて、竜舎に直行。すでに赤竜が東の森から来て待っててくれた。
今朝のうちにカムイに竜同士のネットワーク回線みたいなので連絡を入れてて貰った。おかげで超スムーズ。
《ほぉ…夫婦ゲンカか、面白い》
赤竜はニヤリと笑った。
「赤竜閣下にはご迷惑をおかけしますが…」
《ああ、よいよい。そろそろ退屈していたところよ。我としても、ヌシのような自動給餌き……ごほん!友人が遊びに来るのは歓迎だ》
ウワア…赤竜、俺を自動給餌器って言ったよ…。
まあね、俺はカムイを通して頻繁にプレゼント攻撃してるからね。主に食べ物の。根回しとお土産って超大事。
これは赤竜に聞いていた内緒の話だが、赤竜はこの国の東の森に住んでいるから、お互いに王家と不可侵条約を結んでいるだけのこと。初代国王とは友人関係だったが、代々知り合いとしてだらだらと付き合い、最近は自分を所有物と見てぞんざいに扱い始めた為に面倒になり、ねぐらを変えようかと思っていたらしい。
パターン1と2の時は、赤竜にはテオを含む俺たちを攫ってもらうよう頼んでいる。逃走経路を赤竜に相談していたら、面白い!と赤竜がエルトリアまで送ってくれることになった。
で、東の森に一度行って、テオにもう一回どうするか聞いて……エルトリアに遼と遥がいるから、竜で送ってもらうけどいい?って連絡して赤竜の着陸許可取ってもらって。
パターン1の時。俺が本気出して国を捨てる気なのを見てもテオの決意が変わらないのなら ーーー 拉致監禁でもしようか。
一年くらい監禁すれば意識が変わってくれるだろうか。
遼と遥にお願いして、鉄格子付きの部屋がある家でも借りて。俺の錬金術で薬でも作りながら稼いで。足も良くなってるからテオを鎖で繋いだってお世話できるよ?
ほんとはサクッと捨てようと思ってたんだけど、嫌だって叫ぶ自分が心の中にいる。
やばいね。結構病んでるよ俺。
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★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
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